REPORT|【AdverTimes Days】スマホにおけるブランディングの成功事例とデジタル×テレビ連動について
2017/05/18

〜ブランド認知から購買まで一気通貫するファネル統合型コミュニケーション〜

2017/05/18

去る4月26日・27日と2日間に渡って東京国際フォーラムで開催された「AdverTimes Days(アドタイ・デイズ)」。広告・マーケティングの未来を見据えるこのイベントにおいて、TABI LABO、DAC、そしてディスカバリーチャンネルの3社が合同でパネルディスカッションの壇上に立ちました。それぞれプラットフォームもビジネスモデルも異なる3社がこの場に会す、その真意とは?

登壇者プロフィール

久志 尚太郎
 株式会社TABI LABO
 代表取締役

砂田 和宏
 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)
 ブランドマーケティング本部副本部長

平田 正俊
 ディスカバリー・ジャパン株式会社
 営業統括本部長

久志
本日は、スマホにおけるブランディングの成功事例と、デジタル×テレビ連動について、われわれ株式会社TABI LABOと、ディスカバリーチャンネルさん、DACさんと3社で色々とお話しを進めていきたいなと思っております。 まず当社の概要からお話しさせていただきます。 われわれTABI LABOはウェブメディア事業と広告制作事業をやっておりまして、創業からちょうど3年経ちます。

この5月から4期目に入るんですが、昨今キュレーションメディアとか、バイラルメディアとか色々と話題になりましたけれども、われわれは現在、記事だったり動画だったりを、他のメディアさんと同じように自分たちで取材や撮影を行ってコンテンツ制作をしています。 それ以外にも、もうずっとやっているんですが、クライアント様と一緒にイベントをやったりとか、読者の皆様とイベントやったりとか、そういったことも手がけています。

さらに、今年はTABI LABOの世界観を体現したようなリアル店舗ですね。今ちょっと準備が遅れているんですが、8月ぐらいにオープンできるかなというふうに思っておりまして。それ以外にも、あとサンプリングの「PERO」っていうかわいいパッケージに、いろんなクライアント様の商品を入れて配るみたいな、販促サンプリングの新規事業を5月にスタートさせていただきます。なので、テキストコンテンツや動画、最近ではVRコンテンツなんかも制作したり、イベントをやったり、「コンテンツを作る」っていうことを主軸にはしつつも、ウェブだけではなくて、クライアント様と一緒にそれらをマーケティングに活用したりとか、よりクリエイティブに寄せたりとか、そういったことを3年間ずっとやってきました。

ちなみになんですが、ちょっとまだ詳細は言えないんですけども、今年は動画コンテンツからの派生としてテレビ番組もスタートする予定でして、われわれはウェブを飛び越えてリアルな場だったり、ウェブ以外のメディアだったり様々なタッチポイントにコンテンツを提供していく会社を目指しておりますので、ぜひ、今後とも見ていただいたりとか、気にかけていただけると嬉しいなというふうに思っております。 そして、われわれはメディアを作るだけでなく、クライアント様と一緒にマーケティングプロモーションを考えたり、クリエイティブに特化したりとか、そういったことをやっています。あそこにブースがあるんですけども、そこに描かれているイラストも、社内にイラストレーターを抱えていて、全部DIYで作っているので、ぜひそんなところも感じていただければなというふうに思います。

砂田
DACの砂田です。 よろしくお願いします。DACは創業21年目を迎えまして、メディアレップとして、媒体社様のご支援をずっとやってきています。 その中でも、今年4月からこのブランドマーケティング本部という部署を立ち上げました。これは、従来の、いわゆるプログラマティック広告では再現しきれないようなお客様のニーズを、どうやってかなえていくかということを主軸にした部署です。インターネット広告は基本的に人にターゲティングしていくことをメインに広告の技術をずっと磨いてきましたけれども、昨今特にブランドを抱えていらっしゃるクライアント様からのお問い合わせで、「ブランドセーフ」という言葉が適切かどうかはわかりませんけれども、メディアにちゃんとしたコンテンツを作ってもらった上でブランドメッセージを顧客に届けたいというニーズが高まってきております。

それに対して、DACはこのブランドマーケティング本部を作ることによって、媒体社様と一緒に広告主様の課題を解決していきたいと考えています。 こちらに「プランニング・クリエイティブ・ディストリビューション・アナリティクス」というふうにありますね。

例えば、クライアント様が久志さんのTABI LABOさんや平田さんのディスカバリーチャンネルさんと一緒にコンテンツ自体を作っていただくことはできると思うんですけども、作っていただいたものをより広げていったりとか、広告主様のマーケティングの中でも、KPIに合わせて計測をして、それでPDCAサイクルを作るといった、バックエンドというか、そのような対応が即できるような組織を作りたいな思っています。

平田
ディスカバリーチャンネルのご紹介をちょっとさせていただきたいと思います。皆さん、この中でディスカバリーチャンネルという名前を聞いたことある方は多いと思うんですけれども、実際見たことがあるという方は、もしかしたら少ないかもしれません。私たちはいわゆるトラディショナルメディア、テレビメディアなんですけれども、他のテレビメディアと大きな違いというのは、ディスカバリーチャンネルというブランドをすでに確立しているというところだと考えています。

通常のテレビと同じように、スポットCM、タイムCMなどの枠の販売も行っていますが、私たちが特に力を入れているのは、自分たちのブランドとタイアップしながら、クライアント様のブランドをリフトアップできるようなコンテンツ制作です。このコンテンツ制作というのは、60分番組、30分番組から、今スクリーンでご覧になっていただいているような30秒の映像まで、私たちは幅広くプロデュースすることができます。

映像制作に関しては、私たちの番組を制作しているプロデューサーが全部管理していきますので、「ディスカバリークオリティー」と呼ばれているんですけれども、そのディスカバリークオリティーでクライアント様のニーズに応えた映像制作というのができるような体制で、今広告ビジネスを伸ばしている会社でございます。

特に今回、久志さんからご案内させていただいているように、ブランドがとても大切であるという考えが共通しているので、後ほど詳しくお話ししますけれども、中長期的なビジネスパートナーとして、TABI LABOさんとぜひ組ませていただきたいということで、今日はここへ参りました。よろしくお願いします。

久志
よろしくお願いします。われわれは3社で業務提携を、正式には※5月に発表させていただくんですが、もうすでに動いておりまして、われわれがスマートフォン領域の中でのリレーションを管理しながら。ディスカバリーチャンネルさんがCSテレビとあとはグローバルで展開しているメディアブランド。DACさんにはテクノロジーとデータというところを担保いただきながら、今3社で様々な取り組みを始めています。今日は少しその話もさせていただければと思います。
※2017年6月末に正式発表予定

これまでのファネルは分断されていた。

久志
その前に、「スマホでのブランディング」って何かっていうところを、それ自体がかなり広義な言葉ですので、少し事例も交えて、われわれが考えていることを少しここで共有させていただきます。このスライドを見ていただくと分かると思うんですが、「あの◯◯社の◯◯が今だけ50%オフ」っていうような広告、インターネット上でよく見ると思うんですね。

今までいわゆるマス広告、テレビだったり、新聞、雑誌が担ってきたところっていうのは、「あの◯◯社の◯◯」っていうイメージ、物語を作ってきた。「今だけ50%」の部分に関しては、刈り取り獲得という、まさにDACさんが色々やられてきたというところなんですけれども、そういったとこで二分されていたのが今までのインターネット広告だったと思います。砂田さん、この辺簡単にお話しいただいてもいいですか。

砂田
そうですね。このバナーのイメージなんですけど、上下分断してこれを広告として配信した場合に何が起こるかって言うと、多分何も起こらないんです。何を売ってるのか分からないですし、それがどういう商品で、何ができるのかが理解できない。基本的には、「あの」って言ったときに、それが想起されるような状況が生まれなくてはいけない。

その皆さんが想像した、それが安くなっているから欲しくなるという広告の構造が多分皆さんの体験としてあると思うんですけども、今回われわれがブランディングって呼んでいるところって、上の部分ですね。「あの何何」っていうのを皆さんに第一想起していただけるように、広告を通じてどういったことがやっていけるかってことを考えていく、というような形です。もう少し全体的、いわゆるマーケティングの考え方でいくと、こんな感じですね。

従来ブランディングっていうのは、いわゆる4大マス媒体であったりとか、屋外であったりとか、普段目にするような場所で認知を獲得し、認知を獲得したのちに興味関心を醸成し、購入意欲を高め、最終的に購買に至るというかたちで、これ全てはこうじゃないですけども、例えばテレビCMがあって、新聞、雑誌、その下に店頭の通販だったり、SPだったり、インターネットがこれまでの状況だったのかなと。「あの何何」っていうのを作っていたのは、ファネルで言うと上のほうだったというふうに考えてます。

われわれが今回3社で取り組みたいと思っているのは、このファネルを変えていくことです。どういうことかと言うと、あのファネル、今ではテレビCMに接触しない方も増えてきています。モバイルのほうが先に接触するコンテンツもたくさん増えてきています。そういったところで、それぞれのメディアのあり方っていうものに合わせて広告主のメッセージを解釈していきたい。

もう少し具体的に言うと、この「ブランドトゥルース」と「メディアトゥルース」っていう言葉をわれわれ提唱していきたいなと思っているんですけども、ブランドトゥルースというのは、ブランド自体が持っている世界観であったりとか、ブランド自体が捉えている世界。いわばブランドにとっての価値観です。

こちら側のメディアトゥルースというのは、メディア企業様が、それぞれのユーザーを抱え込んでいるメディアの価値観ですね。例えばディスカバリーさんだったらディスカバリーという世界観があって、TABI LABOだったらTABI LABOの世界観があると思うんです。

今回そのブランドリフトさせていくために何が一番重要かって言うと、それぞれの媒体ごとに広告主と交われる、どこかコアになるようなアイデアがあるんではないかと。この部分を「ブランドコンテンツ」というふうに呼んでいきたいなと思っています。つまり、いわゆるバナー広告を出しといて、たくさん大量にリーチを稼ぐということではなくて、自然なコンテンツ、それぞれの媒体が持ってる適性に合わせたコンテンツによって、これが自然にユーザーの心の中に染み込んでいくような仕組みを作ろうと考えています。

成功するスマホでのブランディングとは? 「レクサス」の場合

久志
ありがとうございます。砂田さんがおっしゃったように、インターネット上でもブランディングが必要というところで、ブランディング領域のコンテンツを考えるときに、ただ「安いから買ってくれ」とか、ターゲティングで一生懸命にユーザーを追いかけて「興味あるよね」という施策ももちろん大事なんですけども、先ほど言ったメディアとブランドが抱える価値観が重なり合う部分を軸にしてブランディング、いわゆる「あの◯◯社の◯◯」をユーザーに伝えていくことで、ブランドのイメージを上げていって、ブランドリフトができるんじゃないかと。むしろ、ネット側でもそれをしていかないといけないよね、と考えています。

ちなみに当社ですが、新聞、雑誌などが担ってきたファネルのちょうど中間のところをずっとやってきております。広告領域でいろんなクライアント様と取り組んできたことに、非常に手応えを感じておりまして、今後もこれを強化していきながら、さらにファネルの上のほうもインターネットでできるんじゃないかというところで、今3社で集まって色々と協議しています。 今までわれわれが何をやってきたのか。先ほどあったこのメディアトゥルースと、ブランドトゥルースが重なる部分、それを軸にしたブランドリフトってどういうことなのかっていうことを、当社が過去やってきた事例を交えて、少し分かりやすくお話しさせていただければなと思います。

例えばなんですけども、左側はTABI LABOですね。右側がレクサスさん。それが重なったときに、じゃ、本当にここと重なり合うブランドコンテンツを生み出す本当に素晴らしいアイデアは何かって言うときに、「グランピング」というキーワードが出てきまして、これを軸にインターネット広告でブランディング、ブランドリフトしていこうというプロモーションを昨年展開させていただきました。こちらの映像をご覧ください。

久志
ちょっと映像について簡単に説明させていただきますと、これで表現しているのは例えばレクサスのスペックがめちゃくちゃ高いよとか、安くなってるよというそういった訴求ではありません。車っていうのはインフラになっていて。じゃあ、さらにその上のライフスタイルだったりとか、レクサスを所有したときのライフスタイルのイメージ、「レクサスに乗った先」にあるものをどういうふうに取得していくのかということをコンセプトにした映像になってます。

もうちょっと付け加えていくと、この映像はすでにレクサスのこと知っているとか、興味がある人向けに作っているブランドイメージになっています。かつコンテンツの編集の方向としては、どちらかと言うとテレビやホームページなどでも流していいような、そういった好きな人がじっくり見れるようなリッチな動画フォーマットを採用して作っています。

これとは別に、レクサスにまだ興味がない、しかもスマホでパラパラとコンテンツを見ているようなユーザーの方、潜在的なレクサス顧客の方にどういうふうにアプローチしていくのかという動画がもう一個ありますのでご覧ください。これもTABI LABO×レクサスさんで作ったブランドコンテンツなんですけども、もっとスマートフォンに特化したものになってます。

これ、よく最近われわれもフードの動画を使うんですが、ただフードのこと言うんではなくて、本当にそのキャンプ、グランピングに行った先でこんなの作れたらすごいいいよねとか、すごいリッチに見えるよね、こういうライフスタイルを送りたいよねっていうようなコンテンツです。

先ほどのブランティング動画と軸は同じなんですけども、こっちはスマートフォンによりレクサスさんとこういうライフスタイルに憧れる方に向けて、最適化した動画フォーマットです。これは両方ともTABI LABOとレクサスが考える新しいブランドのあり方、ブランドイメージ、ブランドリフトの作り方というコンテンツになります。

成功するスマホでのブランディングとは? 「午後の紅茶」の場合


あと、もう一つ事例があります。これはキリンビバレッジさんの事例なんですけども、当社と午後の紅茶で取り組んだ、これも一昨年からやってる事例です。我々は世界中のライフスタイルを常にウォッチしている会社でして、いろんなトレンドだったりとか、世界観みたいなものを常にリサーチしています。その中で「スムージー」がムーブメントとして起きていましたので、それを軸に、スムージーと午後の紅茶を掛け合わせて新しいブランドイメージというのを午後の紅茶で作れるんじゃないかというのがこちらの動画になってます。

今、いわゆるフードの動画メディアさんが結構多いですけれども、そういったメディアが来る前から我々はずっとこういうことをクライアント様と一緒にやらせていただいておりました。これもやっぱり「20代は特に夏になかなか午後の紅茶を飲まなくなるんだよね」という課題から、だったらスムージーとかアイスキャンディとか、そういったレシピをもって僕らの世代、20代中盤から30代の「やってみたい、買ってみたい」を呼び起こすようなコンテンツを作っていきましょうと。なので、先ほどからお話ししているブランドコンテンツを用いたブランドリフト、ちょうどこのブランドとメディアが重なり合うところですね。スマホ領域でのブランディングっていうのは、まさにこういった事例なのかなと思っております。

これもオーガニックで30万回以上再生されていて、データもあって、購買意向が40%以上向上しているというようなデータも出てまして、「買ってくれ買ってくれ、安い安い」という以外の手法でネットの中でブランドイメージをアップさせることができたりとか、それだけでなく、実際に購買に繋がるというデータも出ております。 さてここらからは、スマートフォン領域ではないディスカバリーチャンネルさんがどういうことを考えて、どういうことをやってきたのかということを少しお話しいただきます。

「枠売り」とは違う、テレビでのブランディングとは? 「スバル」の場合

平田
それでは、私たちはテレビメディアとしてどのようなことをしてきたかという事例を一つご紹介させていただければと思います。弊社ディスカバリーチャンネルで、先日スバルのレガシィという車のローンチに関してのキャンペーンを一気にまかせていただくことがありました。

先ほど砂田さんや久志さんからもありましたけれども、「ブランドとブランドが重なり合ってブランドリフトしていく」ということは、私たちもグローバルとして考えていることでして、やっぱりディスカバリーのブランドが、新たなプロダクトのブランドに交わることによってそのブランド価値がさらに高められれば、クライアントさんのニーズに応えたことになると思っているので、そこにすごく力を入れてやってきたキャンペーンです。

久志
これ、いわゆるCMなんですけれども、ディスカバリーチャンネルさんが面白いのは、枠を売ってると言うよりは、番組とこのCMをシームレスにつなげているところですよね。

平田
はい。皆さんご存知かもしれませんけれども、ディスカバリーチャンネルというのは、テクノロジーや、ネイチャーや、そういう番組を非常に多く制作していまして、こちらのような海の番組もたくさん作っています。それと同じクオリティーでクライアントさんの映像を作っていくっていうことができないかなというふうに常々思っていて、レガシィとのタイアップでそれを実現することができました。シームレスに視聴者に対して映像を届けるということがブランドリフトに繋がるというふうに考えて、この映像もプロデュースしました。ちなみに、この当時スバルのレガシィは、日本の車メーカーではなく、海外のブランドとコンペティターとして戦っていきたいという想いがありました。なので、レガシィを少し海外ブランドのようなテイストで見せています。こちらの映像はクライアントさんにすごく評価していただきまして、最終的には日本のみならず、他の国でのキャンペーンでもこの映像を使うということになり、グローバルで広がっていきました。

私たちはグローバルブランドなので、日本で成功したものを海外に広げていくということも可能なメディアだと言えます。グローバルというメディアでの展開は私たち自身で可能なんですけれども、いわゆるデバイスへの横展開というものを私たちはこれからやっていかなければいけないというふうに考えていて、ディスカバリーのブランドにマッチしたスマホを中心としたメディアということで、今回TABI LABOさんと色々話をさせていただきました。私たちが久志さんたちと組むことによって、まさにデバイスへの横展開が可能になるんですね。

砂田
これ、映像のクオリティーがかなり高いですよね。制作スタッフは、番組のスタッフなんですか?

平田
はい。アジアで言いますと、シンガポールに番組のプロデューサーがいるんですけれども、これに関してもそのプロデューサーが日本に実際に来たりしています。これ実はオーストラリアで撮影をしているんですけども、番組プロデューサーがオーストラリアに行って、クライアントさんとコミュニケーションを取りながら作っています。

今、3社がパートナーとなる理由 ファネル統合型のコミュニケーションを目指す

非常に面白いなと思ったのが、実は当社もウェブメディアをスタートしてから、実は一回も「枠を売る」っていう考え方で広告を作ったり販売したことがないんですね。それは決して枠売りが悪いということではなくて、われわれの当初のコンセプトから、ユーザー体験をいかに上げていくのかっていうことを考えていまして。もちろん広告では広告表現をさせていただいてるんですけども、広告と通常コンテンツにあまりにも乖離がありすぎると、それって結局ノイズになってしまうという考えが当初からありましたので、いかに通常のコンテンツと広告をシームレスに見せていくのかに注力しています。

先ほどありましたが、メディアとブランドの重なり合いからどうやってブランドコンテンツ、ブランドリフトを作っていくのかということをずっと考えてまして。それをディスカバリーチャンネルさんはグローバルで何十年も続けてこられてるということで、今回DACさんも含めてなんですけれども、3社でCSテレビと、あとはスマートフォンの動画、それにただブランドリフトする、ブランドコンテンツを作るだけではなくて、DACさんのデータとテクノロジーを使ったファネル統合型のコミュニケーションやプロモーションができるんじゃないかというところで、今3社でやらせていただいております。ちょっとこれからその話をさせていただきますね。

3社がこれから取り組んでいくこととしては、われわれTABI LABOがモバイル領域のクリエイティブを担保していきながら、ディスカバリーチャンネルさんが、テレビというタッチポイントと、ここにブランドって書いてありますけど、クライアント様のロゴとか名前と、メディアさんのロゴが一緒に重なるというのはかなり異例なことだと思っていて、そういったブランドを活用させていただきながら、よりモバイル最適化、テレビとの連動を意識していきながら、それをテクノロジーとデータで繋げていきますよということを展開しています。

これはファネルがどうこう、テレビがどうといった個別の話ではなくて、もっとネット、モバイルを中心にして、今まで分断されていたファネルに対してできることがあるんじゃないかというのが出発点です。もちろんその規模としてはまだまだ大きくないかもしれないですけども、このファネルを認知から理解、検討まで、統合したコミュニケーション、マーケティングができるんじゃないかというふうに考えておりまして、それを今着々と既存のクライアント様も含めて進めているような段階です。そのときに、ここまで何度もお話しさせていただいてますけども、われわれが非常に大切だと思っていることが、この図です。

クライアント様が考えている真実と、メディアが持っている真実とコンテキストと、その重なり合う部分をいかに両者が歩み寄ってぶつけていくことができるのか。それがわれわれが考えるブランドコンテンツであり、これを中心に、ここの右側で言ってるのはどういうことかというと、まず最初はメディア側とクライアント様のブランドコンテンツと読者が接点を持っていただいて、こっからさらにブランドトゥルース、クライアントさんが持っているブランドの真実に近づいていっていただけるような、そういったコミュニケーションをできればと思っております。砂田さん、まずこの辺をご説明いただければ。

砂田
はい、繰り返しになると思うんですけども、例えば最近App Storeの、モバイルの有料アプリランキング1位はAdBlockなんですよ、ずっと。AdBlockを使ってる人って多分まだそんなに多くはないと思うんですけれども、アジア圏とかだと、多いエリアの30%がAdBlockを利用してるような状況なんですよ。なので、われわれ大量のデータを保有していろんなマーケティングを展開してきましたけれども、そもそも広告がまったく届かないゾーンっていうのが海外ではすでに出てきています。日本はそうではないと言い切れないと考えたときに、単純に改良措置をして、スペースを買うっていうモデルだけで今後マーケティングやっていくことはかなりきついんではないかなと考えてます。

そういったことを含めると、このブランドコンテンツっていう、あくまでコンテンツの一部としてユーザーさんに受け入れていただけるような中に、いかにブランドメッセージを織り込んでいけるかっていうのは、多分われわれが回を重ねて、量を重ねていくことによって、初めて皆さんに提供できるクオリティーをどんどん高めていけると思いますし、今まで個別で、それぞれのやり方でやってきたけれども、われわれ3人が集まって話をすればするほど、お互い無かった部分を補え合えると分かってきていますので、より早く皆さんにお届けできるような形にしていきたいなと思います。

久志
まさに僕らがやろうとしてることはこれなんですね。ブランドコンテンツってアイデアを、認知側の一番上のファネルでも使いながら、それは軸をずらさずに最後の検討まで持ってくることによって、よりユーザーにとって、読者にとって、UXのいい体験でブランドイメージを上げたまま、検討、購入まで繋がっていけるんじゃないかっていうのをずっと考えていまして。

今まで、上のほうのファネルでは、「あの◯◯社の◯◯が」というイメージ訴求をずっとしてるんですよね。でも、下のほうのファネルになってくると、「安い安い安い、買え買え買え」みたいな、そういった広告になってて、どうしてもそれはやっぱりノイズになりがちで。上でやってることと下でやってることが本当は同じマーケティング、同じプロモーションであるのに、実は繋がっていなかったりとか、実はまったく別なことが起こっているっていうことが、今マーケティング業界の中で起こってることなんじゃないかなというふうにわれわれは考えています。

なので、この重なり合った部分のブランドコンテンツ、呼び名にはいろんなアイデアがあって、なんでもいいんですけど、われわれはいったんこれを「ブランドコンテンツ」と呼びますが、このコンテンツを軸に、それぞれのタッチポイントで最適なフォーマットに編集していきながら、最後の検討までユーザーに届けていくことができると思っています。

すでにここにデータを掛け合わせたりですとか、ディスカバリーチャンネルさんを使ったりですとか、最後のアドネットワークで使ったりとか、われわれのようなメディアでブランドを作っていくこともどんどんできるようになってきていると思っているので、今まではファネルを統合してユーザーとコミュニケーションを取るっていうことがなかなか難しかったんですが、スマホがこれだけ普及してきている中で、またさっきのAdBlockみたいな話もある中で、これが一つ有効的なマーケティング施策なんじゃないかというふうに考えておりまして、今3社で色々取り組ませていただいてます。 ディスカバリーチャンネルさんは、ある種ずっとこれをやられてきたと思うんですけれど、どうですか?

平田
そうですね。そういう意味で言いますと、やはり日本国内のみならず世界でブランドを大事にしていくということで、中長期的な取り組みをするブランドがすごく多いですし、やはりそれゆえに国をまたいでのクライアントさんも増えています。先ほどありましたように、タッチポイントはたくさんあればあるほどいいと思うんですけれども、やはりそのタッチポイントに合わせて、ブランドを大事にしながらちゃんとシフトしていくっていうことを考えていかないといけません。

例えば、分断されたファネルでのコミュニケーションを運動会のリレーとして見ると、バトンを渡していったときに、もしかしたらどこかでそのバトンを落としてしまうリスクがあると思うんですね。そう考えると、やはりファネルをちゃんと一つに統合して、つまり一人の走者がずっと走り続けることによって、一気通貫してブランドがちゃんと伝わっていくというふうに思いますので、ブランドを大事にしながら、それぞれのタッチポイントで少しずつ最適化して届けていくことをやっていきたいなというふうに思っています。

現状のテレビの普及率とスマホの普及率を考えると、やはりスマホというデバイスがとても大切になりますので、スマホでファネルの下の部分だけのコミュニケーションをやっていくと、プロモーションが弱くなってしまうと思いますね。

久志
なので、われわれ今までずっとクライアント様と向き合ってきながら、ダイレクトセールスなので直接クライアント様とずっとお話しをして、課題をヒアリングさせていただいて、どういったクリエイティブ、われわれの持っている真実やコンテキストであれば、クライアント様に貢献できるのかっていうことを考えてきた中で、われわれだけではなく、多分ディスカバリーチャンネルさんもそうですし、DACさんもそうだと思うんですけども、今本当にターニングポイントなんですね。

動画がこれだけ普及し始めて、今まではPVを追えば良かったよねとか、インプレッション追えば良かったよね、そこで効率的に刈り取れば良かったよねというのが、これまでのインターネットメディアだったりとか、インターネット広告の中のすごく中心的な考え方だったと思うんですが、ここ1、2年、いや、ここ半年ぐらいで急激にかなり大きい方向転換期に来てるんじゃないかなと思っています。

その一つに動画があります。今、いろんな動画広告がありますが、たくさんの人に見せること自体、つまり、インプレッションを稼いだりすることや再生させることが主なKPIにならずに、重なり合いのブランドコンテンツをちゃんと作っていきながら、スマホでも、「あの◯◯社の◯◯が」ということは伝わるような、そういったコンテンツ、そういったマーケティングプロモーションというのは必要不可欠であり、そういったものを求められてるんだなというのをすごく感じております。

インターネット広告をやってると、KPIとか、CPIって色々あってなかなか難しいことだと思うんですよね。社内で、それKPI達成してないじゃんとか、違うじゃんとか、なんだよそれ、みたいな話なっちゃうんですけれども、おそらくDACさんでもそういったところももちろん大事なんだけれども、それ以上のこともやっていかないといけないっていう危機感もあって今回ご一緒させていただいていると思います。

そういった時代と言いますか、ターニングポイントを向かえてると思いますので、ぜひ、ここにいらしてる方にご興味を持っていただきながら、一方でまだまだこれからの取り組みだとも思ってますので、この取り組みをより発展的なものにしていきたいなというふうに考えています。砂田さん、さっきインターネットKPIの話が出たので、一言いただけますか?

砂田
私たちは今まで数字だけを追いかけてきた会社なんですけれども、やはり数字を追いかけていけばいくほど、最後クリエイティブ最適化みたいな話にたいてい陥っていくんですけれども、「クリエイティブ最適化って何?」って話で、それは「このコピーよりこっちのコピーが良かった」みたいな伝わりやすさの話しをしてるだけだったりするんですよね。いわゆるインターネットの中だけでのクリエイティブの話。

ただ、やっぱりマスメディアだったりとか、本当の物を作っていってらっしゃるTABI LABOさん達とお話ししていくことで、われわれのほうもクリエイティブ最適化ってちょっとおかしなキーワードだというふうに思ってますし、そもそもここにあるブランドコンテンツっていう言葉で表現されているものが、その先のクリエイティブに変わっていって、より高いCPIをたたき出すバナーになるのかもしれないですし。 別にそれが映像だから映像のまま、例えば16:9だったり、1:1だとか、そういう画角の話とかをしてるわけじゃなくて、やはりブランドのメッセージが一番伝わるのはどういう表現がいいのかっていうことを徹底的に考えるパートナーが多分今までいなかったんじゃないかなと思います。

われわれも胡坐をかいてたわけじゃなくて、一生懸命やってきたんですけども、そのただ、クリックレートを上げていくっていうところに対する努力も必要なんですが、それとは別の軸でこれをやっていくことによって、多分皆様今まで体験したことないような、より高い広告効果をたたき出すことができると思いますし。先ほどのキリンさんの事例のように購買意向が高まる、しかも差別化が非常に難しい清涼飲料水っていう領域で40%ものブランドリフトをしていくって、ものすごく大変なことだと思うんです。

普通のスポットセールを大量投下するのではなく、あれがちゃんとターゲットに届いてるっていうのも本当にエキサイティングなことだなと思います。

久志
僕らももちろん、クライアント様に対して価値還元をするために、きっちりとクリエイティブをクライアント様のKPIに基づいて料金化していくんですが、メディアとしてのKPI、いわゆるPVとか色々あると思いますけれど、じつは創業1年半から2年目ぐらいに、それを追うのをやめたんですよ。なんで追うのをやめたか。インターネットKPIを追っていくとどうなるかというと、メディアが崩壊するんですね。だって、それは「バズればいいや」という考え方。ユーザーにどう思われても関係ないから、メディアのブランドを棄損してでも、とりあえずバズったほうが偉い、みたいなことになってくる。

結局何がやりたかったんだ、ここでどういう世界観を僕らは作っていきたいのか、みたいなことが分からなくなってしまった時期があって、それを一回やめようという選択を、1年半から2年目ぐらいにしました。

その結果、すごく良かったことは、自分たちの、先ほど左にあったメディアトゥルースとか、コンテキストみたいなことが明確になったおかげで、クライアント様に価値還元できるクリエイティブだったりとか、僕らの手段みたいなものが増えて、結果会社としては非常にプラスになったり、クライアント様には喜んでいただけたんですね。単純に言うと、当社の売り上げがあがったりとか、クライアント様にも価値還元できるようになったっていうことが実際起こってまして。

なので、もちろんKPIを達成していくっていうのは非常に重要ですし、今までのインターネットKPIが全て無駄だとはまったく思ってませんけれども、まったく違う価値観とか「軸」が今インターネットの世界でも出てきていて、それを求められてきているのかなというのを非常に感じております。

そのときに重要なのは、ディスカバリーさんがずっとやってきたクリエイティブ、物づくりだったりとか、今DACさんにもおっしゃっていただきましたけれども、単に色違いのクリエイティブを作るとかそういったことではなくて、本当に何か0から1で作っていくようなそういったクリエイティブですね。

先ほど看板を手作りしましたというふうに言いましたけど、そういった物づくりの価値観とか、実際のスキルみたいなものが、今後より重要になってくると思っています。 当社は今従業員50人ぐらいの会社なんですが、結構クリエイターが多くて、大抵のものは社内で作っているんですが、とても非効率なんですね。

非効率なんですけれども、その非効率から生まれてくるアイデアだったりとか、クリエイティブっていうのが、結果として色々効果的、効率的に回ってくるということもあるというふうに実感しておりますので、今後そういった、本当に「温かみのある」という言葉を使うと、なんだそれって言われそうなんですけれども(笑)、本当にクライアント様のトゥルースと、われわれの信じているトゥルース、コンテキストを掛け合わせて、いいブランドコンテンツを作っていきながらファネルを統合し、最後の検討購買まで繋げていきたいなというふうに考えております。

今回、われわれがやろうとしていることは何か、スマホのブランディングについては少しお話しできたかなというふうには思っています。今後われわれがやるのは、質の高いクリエイティブとメディアブランドを活用したファネル統合型のコミュニケーションです。それを3社で実施していきたいというふうに思っておりますので、ぜひご興味を持っていただいて、これからも注視していただければ幸いです。

現在、色々お引き合いをいただいており、すでに動いているものもありますが、※5月中に正式にプレスリリースを配信させていただいて、7月から皆様のお手元にというか、どこかで見ていただく機会も増えてくるんじゃないかなと思っておりますので、ぜひ、よろしくお願い致します。 また、このファネル統合型コミュニケーションの話だけでなく、かわいいサンプリング(http://tabi-labo.com/281658/pero)だったりとか、VRとか、イベントとか、そういったこともやっておりますので、ぜひ今後とも忘れないでいただいて、時々思い出して、あいつら面白いことやってるなと。面白いことやりたいなと思ったときには、ぜひお声掛けいただけると非常にありがたいです。 そろそろ時間ですよね。はい。本当に長い時間聞いていただいて、どうもありがとうございました。
※2017年6月末に正式発表予定

こちらの記事で触れている「TABI LABO×DAC×Discovery Channel」プロジェクトに関するお問い合わせ・資料請求はinfo@tabi-labo.comまで。