
選択肢や情報があふれる現代において、若者の価値観や行動パターンは想像以上に細分化しています。では、現代の20代はいま、何を基準にお金や時間を使っているのでしょうか。
彼らの本音を探るために、今回私たちが着目したのが「旅」です。日常から離れて自分でお金と時間をやりくりする旅という場は、その人が本当に大切にしたいことや、無意識の優先順位が最もダイレクトに表れる「鏡」のような存在だからです。
実際に20代のリアルな会話や行動を紐解いていくと、ひと口に「旅行」と言っても、求める体験や行動の理由は人によって驚くほど大きく違っていました。
「20代の消費マインド」と一括りにするのではなく、それぞれの違いに目を向けること。今回は、彼らの行動を分析する中で見えてきた代表的な6つの価値観をご紹介します。


「どこに行くか」という目的地よりも、「誰とどう過ごすか」という関係性が何より大切なタイプです。観光地を巡るよりも、電話を繋ぎながらみんなで宿を探す時間や、現地でオリジナルグッズを作る体験など、仲間と同じ時間を過ごして形に残すプロセスそのものを楽しんでいます。
Airbnbなどの一棟貸しの宿に泊まって地元のスーパーで買った食材で「宅飲み出張編」のような空気を楽しんだり、「tabiori」のようにしおりを作れる共有アプリで準備から盛り上がったり、帰宅後に親しい身内だけの鍵アカウントで思い出を共有したりと、集まる空間や体験そのものが旅の目的になっています。

日常の「あれこれ迷って選ぶ疲れ」から解放され、心身をフラットに戻したいタイプです。あらかじめスケジュールをギチギチに詰め込まず、宿でしっかり体力を回復させてから、その場の思いつきで気ままに動いてみるマイクロより小さな「ナノ・アドベンチャー」を好みます。普段の生活では節約で出費を削り、旅先の美味しい食事に思いきりお金を使うメリハリも特徴です。
あえてノープランで過ごせる本や温泉のあるおこもり宿やオールインクルーシブの宿をはじめ、街全体を宿に見立てる「まちごとホテル」やSTAY JAPANによる農泊のように、自分たちのペースで気兼ねなく心身を休息させられる環境が好まれています。

決まりきったコースよりも、「何が起こるかわからない面白さ」にあえて飛び込むタイプです。予約のミスや急な予定変更といったトラブルすらも、後で友達に話す「美味しい土産話」として楽しめる柔軟さがあります。
サイコロや抽選で行き先が決まるJR西日本の「グルメサイコロ」やPeachの「旅くじ」のように、「仕組まれた偶然」を楽しんだり、地元のスナックやローカルスーパーに突撃してみたり、AIを使ってあえて思いもよらない穴場を調べたりと、自分の予想を超える体験をすすんで引き寄せようとします。

すべての行動の理由が「推し」にあるタイプです。イベントが決まると、移動費やホテル代は賢く計算して極限まで切り詰めますが、推しのグッズや会場近くの便利な宿には迷わず投資します。
新幹線内で限定音声が聴けるJR東海の「推し旅」や、早朝の身支度や充電を支える高速バスの「VIPラウンジ」、推しカラーのドリンクやアクスタ用スタンドを備えた特化型ホテルなど、自分たちの動きをよく理解して後押ししてくれるサービスに強い信頼を寄せています。

定番の観光地やSNS映えだけに満足せず、その土地の歴史や文化、モノづくりの背景にあるストーリーに深く触れたいタイプです。他人の評価ではなく自分が心から納得できる「自分ウケ」を大切にし、旅を「自分の感性や知性を深めるための自己投資」と捉えています。
伝統工芸、ものづくり、食文化、文化・教養など、さまざまな大人のたしなみを体験できる「Otonami」や、伝統工芸の工房を訪ねる福井県の産地周遊イベント「RENEW」、現地での暮らしを擬似体験する農泊や「WWOOF」など、土地の文化や作り手の想いに直接触れられる体験を選ぶ傾向にあります。

「失敗したくない」「予定が狂ったら嫌だな」という不安が先に立ち、なかなかタイプです。旅そのものが嫌いなわけではなく、「断ると気まずい」「来るだけでいい」といった分かりやすい理由や口実がある時に重い腰を上げます。また、「いつでもやめられる」という気楽な逃げ道があることが、動くための前提条件でもあります。
直前まで手数料なしで時間を変更できる「スマートEX」や、直前までキャンセル料がかからない宿泊予約サービスなど、万が一の予定変更やキャンセルに対する心理的な負担を減らしてくれる仕組みが、彼らの一歩を後押ししています。

今回取り上げた6つの価値観を比較してみると、一言で「20代の若者」と括るのが難しくなるほど、求めている体験も行動の理由も大きく異なっていることが分かります。そして、この「旅」という場で見せる違いは、彼らが日常の買い物やサービスの選び方、友人関係で見せる「お金や時間の使い方の基準」そのもの。
「それぞれのタイプのインサイトは、日常のどんな買い物や行動に繋がっているのか?」
「実際のインタビューから見えてきた、彼らの本音とは?」
★★★


レポートのフルバージョンでは、インタビューのリアルな生の声や、それぞれのタイプが日常で見せる具体的な買い物の行動、マーケティングに活かすためのポイントをまとめています。
ぜひダウンロードしてご覧ください。

このシリーズをもっと読む
NEW STANDARDをもっと知る
NEW STANDARDは
「新しい意味」を創造し、世界の捉え⽅を広げる
ミーニング・デザインカンパニーです