いま、生活者の価値観や行動様式は、かつてないスピードで複雑に変化しています。2026年現在、これまでマーケティングの主流であった効率主導や、SNSを中心としたオープンなコミュニケーションに対して、明らかな揺り戻し(カウンター)の気運が見られ始めています。
本レポートでは、M・Z・α世代を中心とした独自の調査をもとに、2026年に押さえるべき文脈を5つの重要な「キーワード」として整理しました。生活者の変化の兆しを掴み、次なる意味づくりを加速させるための資料として、これからの新しい価値創造をするための基軸となるヒントをお伝えします。

01. アンチ・オートメーション|「手触り」「ひと手間」を求める若者たち

「ままならなさ」を求めるデジタルネイティブ世代
世の中のデジタル化や⾃動化が進む⼀⽅、⽣活者の間で実際に⼿を動かして何かを成し遂げることで「⾃分らしさや主体性」を再確認しようとする動きが⾒られます。「アンチ・オートメーション」は、最適化や効率化の恩恵を受けつつも、⾃らの⼿にコントロールを取り戻そうとする⽂脈(コンテクスト)です。
その背景には、情報社会のなかで「消費するだけの“受け⾝”になっているのではないか」という、⾃分を⾒失うことへの危機感があるでしょう。その特徴として、趣味やライフスタイルにおいても、意図的に「ままならなさ(なかなか思い通りにはいかないこと)」を求める傾向があります。
また、⾃分と向き合う時間から⽣まれる「⽣活のリアリティ」や、他の誰にも消費されない(搾取されない)「⾃分だけの物語」を欲する傾向もあります。
「効率至上主義への疑問」の顕在化
15歳〜69歳の男⼥1,200名を対象にしたセイコーグループの2024年の調査によると、73.8%の⼈が「時には⽴ち⽌まってひとつのことを考えたい」、⼀⽅で、52.4%は「⽴ち⽌まって考える時間がとれていない」と回答。
時間の使い⽅において「タイパ派」は47.3%、「じっくり派」は52.8%とほぼ半数ずつで、じっくり派のなかでも41.2%が「タイパがよい過ごし⽅ができても、”豊かな⽣活(時間の使い⽅)”とは思わない」、53.9%が「時間効率を⾼めても、⼼が満たされるわけではない」と回答しており、約2年前から「効率⾄上主義への疑問」が顕在化しています。
「アンチ・オートメーション」な事例
・ベランダ菜園・手仕事(梅酒・味噌など):うまくいく確証がなく、人間の思い通りにならない発酵や植物の成長(=ままならなさ)そのものが、日常の癒やしやコントロール権を自らに取り戻す時間になっています。
・編み物・刺繍:マニュアルはあっても、力加減や毛糸選びによって仕上がりが変わる独自の体験を通じて、深い自己充足感や達成感を得ています。
・飲食のセルフカスタム(麻辣湯、コンビニセルフ二郎など):従来の完成された料理を受け取るスタイルへのカウンターとして、具材を自分で選んで手を加えるプロセス自体を「ちょっとしたイベント」として楽しんでいます。
「アンチ・オートメーション」から読み解く、次なる消費潮流

過保護な設計から、「ゆだねる設計」へ
現代の主体性は、すべてをゼロからつくり出す⾃給⾃⾜的な価値観とも異なり、企業やAIが⽤意した “叩き” を利⽤しながら、最後の仕上げに「⾃分のエッセンス」や「らしさ」を加え、⼯夫する楽しさを⾒出すことにあります。
そのため、企業にとってはすべてを効率化・最適化する「過保護な設計」ではなく、⽣活者の遊び⼼を信頼しながら「⾃分の⼿で成し遂げた」 という主体性と充⾜感が得られるような設計をすることが、今後ますます消費潮流のポイントになってくるのではないでしょうか。
★★★
レポートのフルバージョンでは、以下5つのキーワードについて詳細を解説しています。
ぜひ時代の「コンテクスト(文脈)」を捉えるヒントにしてみてください。
01 | アンチ・オートメーション 「⼿触り」「ひと⼿間」を求める若者たち。
02 | ハイパー・ローカリズム 暮らしもSNSも、マイクロに。
03 | Re:⻘春 「冷笑」を吹き⾶ばせ。
04 | ⾃⼰編集型ラベリング 更新し続ける「⾃分」ってなんだ?
05 | ネオ・誠実さ時代 ポーズじゃない、向き合う⼒。



