受発注の関係から、“共に問題を解く関係へ” ——NEW STANDARDのビジネスプロデューサーが実践する「共同意思決定の設計」

2026/02/09
久志尚太郎

営業職の交渉というと、「価格を下げられないように守る」「条件を勝ち取る」といった駆け引きを思い浮かべがちです。でも実務で起きているのは、もっと地味で、もっと重要なことです。

交渉とは、相手の中で止まっている意思決定を前に進め、両者が納得して「決められる状態」をつくる行為です。言い換えると「共同意思決定の設計」です。

クライアント側には、予算枠、稟議、関係部署の合意、上司説明、リスク回避など、表に出にくい制約が必ずあります。一方でこちら側にも、成果を出すために譲れない条件や、品質担保の前提があります。交渉で重要なのは、どちらが強いかではなく、論点を整理し、互いの制約を可視化し、選択肢をつくり、客観的な基準で合意することです。

NEW STANDARDが考えるビジネスプロデューサーの価値は、うわべだけのトークのうまさではなく、この「設計力」にあります。「相手が何を決めきれていないのか」「何が決まれば前に進むのか」を読み解き、会話の順番を組み立てます。質問の意図を受け止め、論点を分解し、代替案を準備し、合意の形に落とすのです。

つまり、交渉を“勝負”にしないことで、むしろ条件は動きやすくなります。強く見せるより、決めやすくする。これがNEW STANDARDのビジネスプロデューサーが大事にしていることです。

受発注の関係性ではなく「一緒に問題に取り組むチーム」へ

NEW STANDARDのビジネスプロデューサーが目指すのは、クライアントとの関係を発注に閉じることではありません。目標は、同じゴールを共有し、同じ課題を横に並んで見て、一緒に解く「チーム」になることです。受発注の構図が強まるほど、会話は「お願い」「対応」「要求」「防衛」に寄り、互いに守りに入ります。

当たり前ですが、そのような関係性では本音を共有することは難しいものです。背景情報が出ないまま条件だけを詰めると、実行段階でのズレや手戻りが起き、結果的に双方が損をします。一方、「チーム」の関係になると、意思決定に必要な情報が自然と集まり始めます。「なぜこの条件が必要なのか」「どこがリスクなのか」「何が社内で引っかかっているのか」を共有できると、交渉は“綱引き”ではなく“最適解”になります。単価の話だけでなく、スコープ、優先順位、納期、体制、成果物の定義、検収条件など、成果に直結する設計要素を一緒に整えられるからです。

チーム化は、表面的に仲良くすることではありません。相手に合わせることでもありません。相手を尊重しながら、問題に対しては厳密であること。合意を急がず、前提を揃えること。そして「私たちも同じゴールを見ています」という姿勢を、言葉と行動で示すこと。ビジネスプロデューサーの役割は、この関係性の土台をつくることです。クライアントの意思決定の質を上げ、結果としてプロジェクトの成功確率を上げる。NEW STANDARDのビジネスプロデューサーの交渉は、同じゴールを共有し、同じ課題を横に並んで見て、一緒に解く「チーム」のための実務です。

『ハーバード流交渉術』に学ぶ、共創関係のつくり方

共創関係は、センスや相性で生まれるものではなく「型」が必要です。型を学ぶ際に参考にしたいのが、ハーバード流交渉術の考え方です(ロジャー・フィッシャー&ウィリアム・ユーリー著:『ハーバード流交渉術』三笠書房)。ポイントは「駆け引き」をやめて、価値創造に切り替えること。

第一に「人と問題を切り離す」こと。相手の担当者や調達部門を敵とみなすと、会話は感情戦になり、論点が歪みます。相手のメンツや不安は尊重しつつ、解くべき問題(条件・納期・品質・責任範囲)に対してのみ論理的に向き合います。

第二に「立場ではなく利害」で捉えること。相手の「もっと安く」「もっと早く」という主張の裏には必ず理由があります。予算枠なのか、上司説明なのか、失敗できない事情なのか。その利害が分かるほど、解決策の選択肢は増えます。

第三に「オプションを広げる」こと。値下げする/しないの二択から離れ、スコープ分割、納期調整、段階導入、体制変更、成果物の定義見直しなど、複数案を設計します。

第四に「客観的基準」。相場、工数根拠、過去類似、第三者指標といった“モノサシ”で合意することで、主観のぶつかり合いを避けることができます。

そして最も重要なのが「BATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement)」です。日本語では「交渉が決裂したときに取る最善の代替案」のことで、BATNAを用意しているかどうかでこちらの交渉力は決まります。代替案があることで無理な条件に飲まれず、落とし所の設計に集中できます。共創関係とは、相手に迎合することではなく、原則と準備で「納得できる合意」をつくることです。

「対立構造」から「並列構造」に転換すべき理由

プロジェクト推進が難しくなる多くの原因は、論点ではなく構図にあります。発注者と受注者が向き合う「対立構造」では、会話の目的がいつの間にか“相手を動かすこと”に変わります。すると、相手は情報を出さなくなり、こちらも守りに入ることになります。特にコンサル・広告領域のように不確実性が高い仕事では、背景情報が欠けたまま条件だけ固めると、後で必ずズレが生じます。結果、追加要求や手戻りが起き、関係性も悪化します。

そこで必要なのが「並列構造」への転換です。並列構造とは、クライアントと同じ側に立ち、同じ問題を横に並んで眺めること。「あなたの要求」対「こちらの都合」ではなく、「このプロジェクトを成功させるために、何をどう決めるべきか」を一緒に考える状態です。この構図になると、相手は制約条件を話しやすくなり、制約が共有されれば、現実的な設計ができます。

並列化の実務はシンプルです。まず冒頭でゴールを揃えます。「私たちも成果を出したい。だから前提や認識を揃えたい」と宣言するのです。次に論点を整理し、人と問題を分けます。最後に選択肢と基準を持ち込み、相手が社内で説明できる材料を提供します。

例えば、並列構造に切り替えるときは、会議をこの順番で設計します。
①ゴール共有(成果の定義や課題認識を揃える)
②論点整理(今日決めることを明確にする)
③利害の深掘り(制約・不安・社内判断を確認する)
④オプション提示(最低3案)+客観基準で合意する

ビジネスプロデューサーは並列化を推進するために、会議の場で意図的な設計が求められるのです。

NEW STANDARDのビジネスプロデューサーが目指す、クライアントとの関係性

NEW STANDARDのビジネスプロデューサーは、「プロジェクトの質を上げる主体性をもったパートナー」です。単に質問や要望に“答える”だけだと、相手の本当の不安や期待は置き去りになり、会話は徐々に閉じていくことになります。私たちが大切にするのは、“応える”ことです。相手が何を気にしていて、何を前に進めたくて、どこで迷っているのか。その気持ちを受け止めた上で、判断材料と選択肢を提示し、次の意思決定に接続します。

そのために、「主従の空気をつくらないこと」も重要です。もちろん礼節は大前提ですが、過剰な敬語や卑屈さは、無意識に「発注者が上、受注者が下」という構図を強化します。構図が固定されるほど、クライアントは率直に言いづらくなり、結果として本質情報が出てきません。チームとして並列に立つには、丁寧さを保ちながらも、目的の共有・論点の整理・前提の合意を自然にリードする姿勢が必要です。

理想の状態は、会議の終わりに「何を決めたか」「次に何を決めるか」が明確で、クライアントが社内説明できる材料を持ち帰れていること、そして「一緒に考えてくれる」という信頼が積み上がっていることです。ビジネスプロデューサーの交渉力とは、関係性の上で条件を通す力ではなく、関係性そのものを“決められる状態”に整える力だと私たちは考えています。

<NEW STANDARDではビジネスプロデューサーを募集しています>

NEW STANDARDは現在、ビジネスプロデューサーを募集しています。私たちは、受発注を超えて「同じ側に立ち、価値創造の質を上げる仕事」に向き合っています。

クライアントの本音を引き出し、論点を整理し、選択肢を設計して合意へ導く。そんな力を磨きたい方、業界外からの挑戦も歓迎です。ご応募お待ちしています。


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