いま、生活者の価値観や行動様式は、かつてないスピードで複雑に変化しています。2026年現在、これまでマーケティングの主流であった効率主導や、SNSを中心としたオープンなコミュニケーションに対して、明らかな揺り戻し(カウンター)の気運が見られ始めています。
本レポートでは、M・Z・α世代を中心とした独自の調査をもとに、2026年に押さえるべき文脈を5つの重要な「キーワード」として整理しました。生活者の変化の兆しを掴み、次なる意味づくりを加速させるための資料として、これからの新しい価値創造をするための基軸となるヒントをお伝えします。

04. 自己編集型ラベリング|更新し続ける「自分」ってなんだ?

ラベルは一方的なものではなく自分を見つけ、更新するツール
他者から一方的に、固定された社会的属性などで分類される従来の「ラベリング」が多様化とともに崩れつつある一方、自己理解のために「ミクロなラベル」を主体的に選んでいく、新たなラベリングカルチャー「自己編集型ラベリング」が形成されています。
背景には、アルゴリズムによる決めつけや、アイデンティティの一貫性を求められること からの脱却があると考えられます。「〇〇女子」「〇〇男子」といった記号に囚われず、 常に更新し続ける自分でありたいというインサイトから、定期的にSNSや連絡先をリセッ トするような行動も見られます。
重要なのはラベリング自体の否定ではなく、むしろ「MBTI」や「界隈」といった、よりミクロなラベルを主体的に活用し、うまく共通言語にしながら自分自身を柔軟に再発見・ 再発信し続けている、という現代的な文脈です。
ラベリングをツールやコンテンツとして楽しむ風潮
Z世代と30・40代の女性を対象にしたMERY Z世代研究所の2024年の調査によると、「MBTI診断を知っている、または診断をしたことがある」と答えた 30・40代の女性は24.5%だったのに対し、Z世代の女性は67.3%と大きく上回りました。
MBTIの実施率の比較でも、30・40代では17.4%だったのに対し、 Z世代では41.3%と倍以上のスコアであることがわかりました。 Z世代がMBTI診断の印象として、「自己分析や自己理解の参考になる(48.0%)」「会話のきっかけやネタになる(40.1%)」と回答しているように、あくまでツールやコンテンツとして楽しんでいる様子がうかがえます。
「自己編集型ラベリング」な事例
・最適なアルゴリズムより「セレンディピティ」を:“あなた向け”に最適化されすぎたレコメンド環境は、視野の狭窄(閉塞感)や「見えざる操作」への不信感につながっています。過剰なパーソナライズを拒絶し、予測不能な偶然の出会いや客観性を求め直す動きが広まり始めています。
・ジャーナリングや日記に見る内省/リフレクショントレンド:客観的な枠組みで自分を分類する「診断」に対し、日々の感情や思考を書き出すことで主観的な素の自分を深く掘り下げるアプローチです。「自分を正しく知りたい」「ブレない軸を持ちたい」という強い欲求を満たす手段として注目されています。
・骨格から性格診断まで。細分化しつづける「診断系」:従来の血液型や星座占いから大きく進化し、MBTIや骨格診断、パーソナルカラーなど多岐に渡るジャンルへ爆発的に拡大。個人の特徴をより精密に言語化・可視化して、自分を知るためのツールとして細分化し続けています。
「自己編集型ラベリング」から読み解く、次なる消費潮流

“今この瞬間の自分に合う”という「余白消費」
他者から貼られたラベルに従うのではなく、気分や環境に合わせて「今の自分」を主体的に編集し続ける現代人。「自己編集型ラベリング」から読み解く次なる消費潮流は、「アイデンティティの流動性を支える消費」だと考えることができます。
彼らは、固定されたブランドイメージよりも、自らの変化に合わせて役割や使い方をカスタマイズできる柔軟性(余白)を求めています。自己をアップデートし続けるプロセスそのものを支援する商品やサービスが、今後の市場を牽引していくのではないでしょうか。
★★★
レポートのフルバージョンでは、以下5つのキーワードについて詳細を解説しています。
ぜひ時代の「コンテクスト(文脈)」を捉えるヒントにしてみてください。
01 | アンチ・オートメーション 「⼿触り」「ひと⼿間」を求める若者たち。
02 | ハイパー・ローカリズム 暮らしもSNSも、マイクロに。
03 | Re:⻘春 「冷笑」を吹き⾶ばせ。
04 | ⾃⼰編集型ラベリング 更新し続ける「⾃分」ってなんだ?
05 | ネオ・誠実さ時代 ポーズじゃない、向き合う⼒。



