クリエイティブを属人化せずに「体系化」する。NSが開発したツール「アイデア工具」

2021/11/12
ニュースタ!編集部

NEW STANDARDでは、メディア『TABI LABO』の運営で得られたデータを元に、ミレニアルズのインサイトを可視化する「インサイトツール」を独自開発し、他事業に活用しています。

今回は、インサイトツールのなかでもアイデア発散のCDX(クリエイティブ・デジタルトランスフォーメンション)に特化したツール「アイデア工具」について、編集者の大嶋が解説します。

「アイデア出し」を体系化するツール

「アイデア工具」は、コンテンツを生み出す際のはじめの一歩である「アイデア出し」をサポートするツールとして開発されました。

アイデア出しや企画づくりには想像以上に時間がかかります。多くの方がブレストやアイデア出しに費やしている時間は、本当に必要な時間なのでしょうか? そこで、クリエイティブを属人化させずに「体系化」することで、アイデア発想のプロセスの効率化を目指したのが「アイデア工具」でした。

「アイデア工具」には主に2つの機能があります。1つは、特定のキーワードを入れることで瞬時に「マインドマップの可視化」ができる機能です。メンバーが思考の整理のために同様のプロセスに取り組んでいたことがありましたが、このようにツール化することで抜け漏れなく瞬時にチームで共有できるというメリットがあります。

2つめが『TABI LABO』の記事データをもとにした「アイデア一覧」です。『TABI LABO』では世界中のミレニアルやZ世代のトレンドに関する情報を収集し、読者に届くように文脈や背景を添えて発信しています。このツールを使えば、特定のキーワードとそれに紐づく言葉をランダムに抽出し、瞬時に1000個ほどの組み合わせで羅列してくれるのです。

たとえば「ビール」と入力すると、「ビールと渋谷区」や「ビールと大統領」といったように多種多様な組み合わせが浮かび上がります(もちろんすぐに使えそうなものもあれば、まったく意味が分からないような不思議な組み合わせも出てきます)。

ブレストの「効率化」と「底上げ」

「アイデア工具」を活用すれば、つい暗黙知になりがちな「アイデア出し」の知見が可視化されていくと考えています。言い換えるとすれば、これまでは会議の場で特定の人が「Aっていうアイデアはどう? Bもいいかもね。逆にCはどう?」とポンポン思いつくままに話していたようなことが、メンバーの誰もがアクセスできるツール内で可能になりました。

そうすると、ブレストの「効率化」と「底上げ」ができると考えています。

弊社ではコンテンツの内容やクライアントへの提案、社内イベントを考えるとき、数えきれないほどの「ブレスト」が行われています。なかには無自覚にブレストになっている雑談の時間などもあるでしょう。「アイデア工具」があれば、事前リサーチにかかっていた時間や、会議中にホワイトボードやポストイットを用いていた時間が短縮され、効率化を図れます。

また、ブレストの底上げにも効果的です。これまでアイデア出しに苦手意識を持っていたメンバーも、羅列している組み合わせから気になるものを選ぶようになるので、参加のハードルがグッと下がります。これがチーム全体の底上げにつながります。また、属人化したアイデアには「抜け漏れ」が発生しがちです。「アイデア工具」は、会議の後半に出てきそうな奇想天外なアイデアも瞬時に一覧になるため、その網羅性も魅力です。

アイデアを「企画」に近づけるためのフレーム

「アイデア工具」は、アイデアの発散をする際には活用できるものの、企画づくりに慣れていないメンバーからすると「それをどう使うの?」という疑問が湧くこともあります。そこで、発散したアイデアを収束するためのフレークワークをつくりました。

それが、アイデアを

①テーマ(お題)
②新規性・意外性(アイデア工具)
③コンテクスト(TABI LABO)

の3つに分解し、それぞれの掛け合わせによって精度を上げていくという方法です。

たとえばビールをテーマにすると、「アイデア工具」によってさまざまなキーワードの組み合わせが出てきます。ここでは「新規性・意外性」として「ビールと大統領」というアイデアを使ってみることにします。これだけではただのパッと出たワードに過ぎませんが、ここにコンテクストとして、『TABI LABO』に掲載している記事のカテゴリーやタグを掛け算します。たとえば『TABI LABO』ではローカルというテーマで多数の記事を作成した実績があるので、それを掛け算してみます。

このフレームワークを軸にアイデアを収束させていくと、「世界各国の大統領が愛している、自国のクラフトビール自慢」といったアイデアにまとめられます。他にも

キャンプ×水瓶座×出会い

といった3つで収束させると「水瓶座大集合! 水瓶座キャンプinフェス!」といったアイデアが見えてきます。

このように収束させたアイデアを元に、実際の企画や提案を考えていくと、よりスムーズに、より新鮮なコンテンツへと近づいていくことができるのです。

クリエイティブに関わる人たちの前に常に立ちはだかる「新しいアイデアはないか」「なにかおもしろいことはできないか」。それらの壁を少しでも低くするためのツールが「アイデア工具」だと考えています。

アイデア工具を使うことで属人的だったクリエイティブのプロセスを体系化し、「アイデア出し」のチーム内での基準を底上げできます。するとメディアの企画立案やクライアントへの提案の質の向上にもつながっていくと考えています。

今後もNEW STANDARDでは独自に開発したアイデア工具やインサイトツールを活用し、企業やブランドの従来の価値を新しい基準や価値観で捉え直し、クリエイティブやコミュニケーションを創造することに取り組んでいきます。

ニュースレター

毎週配信!新しい価値(イミ)創造のためのTipsや
最新のTHINK TANKレポートをお届けします。詳しくはコチラ >

このシリーズをもっと読む

NEW STANDARDロゴ

私たちは
ミレニアルズ及びZ世代のスペシャリストとして、
新しい価値(イミ)創造を
“ユーザー起点”でアジャイルに実現する、
ブランドDXカンパニーです。