【クライアントインタビュー】開封率10%台から40%超への改革。「コンテンツ力」に注力したメールマーケ施策の秘訣とは(京都芸術大学)

2025/01/27
ニュースタ!編集部

NEW STANDARDでは、2023年10月より京都芸術大学のニュースレターを活用した顧客エンゲージ向上施策をご支援させていただきました。

日本で初めて4年制の通信制芸術大学を開設するなど、新たな芸術教育に取り組む「京都芸術大学」は、デザインやクリエイティブに強みを持つ当社とも親和性が高く、本施策は京都芸術大学における「DX推進プロジェクト」の一環としてスタートしました。取り組みから約1年で、10万IDに対して開封率40%以上を維持するニュースレターに育ったという背景にはどのようなポイントがあったのでしょうか。

ここでは、京都芸術大学 DX推進ご担当の木原考晃さんをお迎えし、NEW STANDARDのCX Planner 渡部成二とともに振り返りたいと思います。

【お話を聞いた人はこちら】

「つい開きたくなる、読みたくなる」ニュースレターへの刷新

——まず始めに、今回のプロジェクトの概要を教えてください。

NEW STANDARD(以下:NS)渡部:京都芸術大学さんとは、2023年10月から主にニュースレターの立ち上げと運用サポートでお取り組みさせてもらっています。「大学のメディア化」を共通言語に、NEW STANDARDが長年のメディア運営で得たナレッジやノウハウを盛り込み、ニュースレターを通じた認知拡大をご支援しています。プロセスにおいては独自のAIツールも大いに活用しており、今日はそのあたりも深堀りできればと思います。

参照:【WORKS】京都芸術大学|「京都芸術大学 Newsletter」の立ち上げおよび運用サポート

京都芸術大学 木原さん(以下:木原さん):我々としては、京都芸術大学におけるDX推進の一環としてNEW STANDARDさんにお声がけをしました。とくに興味深かったのが「AI×人の力」でキュレーションし、コンテンツ化が成立できること。もう1つは休眠IDを含めたステークホルダー全体に対する「エンゲージメントの向上」が期待できたことです。

——なるほど。当初抱えていた課題はどのようなものだったのでしょうか?

木原さん:従来、私たちがニュースレターなどで提供する情報は、出願情報やイベント案内といった、プロモーションに関するトピックのみに限られていました。結果として、開封率はおよそ10%台で推移しており、一般的な企業メルマガの開封率に近い数字をなんとか維持しているような状態でした。学校ビジネスにおいてIDの母数を確保すること自体は専門としている会社もたくさんありますし、それほど難易度が高いわけではないのですが、「質」となると別問題です。通学課程にせよ、通信課程にせよ、受講ポテンシャルの低い方に投げかけてもまったく響かないので、どのようにエンゲージを維持していけるかは学校法人の永遠の課題でもありました。一方、NEW STANDARDさんとの取り組みでは内容を刷新し、広くアートや芸術に興味を抱けるようなコンテンツ設計をいただきました。結果的に、現在のような高いエンゲージに結びついているのだと思います。

ニュースレターで扱うべきテーマを丁寧に定義

——ニュースレター登録者の興味関心を高めるために、渡部さんはどのような提案をしたのですか?

NS渡部:まずは弊社NEW STANDARDが毎週発行しているニュースレターのノウハウやコンテクストをケーススタディとしてご提案しました。その中で京都芸術大学さんのスペシャリティを存分に活かす必要があるので、新たに一緒にコンテンツの軸を構築しました。

——コンテンツの軸の構築は、具体的にどういったプロセスを?

NS渡部:まずはニュースレターの中身(コンテンツ)に興味を持ってもらうために「芸術やデザイン、アートをどういう定義や解釈で捉えるべきなのか」のすり合わせにしっかり時間をかけました。たとえば「デザイン」という言葉ひとつでも、グラフィックデザインだけではなく、それらがランドスケープや思想、宗教的価値観などに紐づいてくることもあります。そういった解釈をすべて書き出し、京都芸術大学さんの教育指針や想いと足並みを揃えながら、学生さんたちが興味を持ってくれるであろうキーワードをリストアップしていきました。


(Newsletterは主に、注目トピックスや教授のコラム、講座の紹介などで構成される)


AIを活用した高精度なキュレーション&サマリー

—— コンテンツ制作における「AI×人の力」を活用したプロセスについて教えてください。

NS渡部:当社のニュースレター制作において1番最初にスタートするのが、キュレーションという情報収集のステップになります。当社には自社メディア「TABI LABO」の運営にも活用している「AIキュレーションツール」という仕組みがあるのですが、それらを活用して毎週20本ほど、芸術やデザイン、アートに関するトピックを選出しています。その中から、最後の5〜8本に絞り込む作業のみ「人の力」を使い、大学のニュースレターで発信するものとして意義・意味があるのだろうか、という視点での精査や、メディアの知見・編集的なナレッジを掛け合わせ、大学の教員の方々、そしてプロジェクトメンバーとのオンライン編集会議を設けて最終判断をさせていただいております。


(NEW STANDARDが独自に保有するAIキュレーションツールを活用して情報を収集)


——なるほど。トピックの選定後のプロセスについても教えてください。

NS渡部:トピックが決まったら、ここでもAIを活用して「3行サマリー」を作っていきます。呼び名の通り、選定したトピックをそれぞれ3行でサマライズしたものです。そのアウトプットの良し悪しについては、毎週打ち合わせをさせていただいている我々でないと肌感が察しきれない部分ではあるので、編集的な視点も交えながら確認していきます。その後、完成したコンテンツを京都芸術大学さん側で使用しているプラットフォームでメール配信していただき、翌週に振り返りをしながらPDCAを回していきます。

木原さん:私自身、芸術大学に勤めながらも、教員たちがどういうことに興味を持っていて、どんなニュースに触れているのかというのは実はよく知らない世界ですし、当初は何がフィットするのかわからなかったんですね。そのなかで、NEW STANDARDさんがAIキュレーションツールを活用して選んでいただいているトピックは教員たちからも好評ですし、絞るのに悩んでしまうくらい毎回おもしろいニュースが用意されているので、素直にすごいなと感心しています。世界中にこれだけニュースがあるなかでピックアップするのは大変だと思いますが、効率よくAIを活用できているんだろうなという印象です。

NS渡部:ありがとうございます。我々もできるだけ教員の方たちの選定の負担が少なくなるように取り組んでいます。プロジェクトが始まって3週目くらいの頃に、ある教員の方から「こういうトピックをやりたい」と逆提案をいただいたことを思い出しました。あれは自分の中ではとても大きな分岐点になっていて、前向きに参画いただくことでさらにワンチームになっていけそうだな、と手応えを感じた瞬間でした。

高エンゲージを土台に、新たなマネタイズポイントを模索

——このニュースレター施策における大学内での評価などはいかがでしょうか。

木原さん:施策全体の設計が評価されることが多いですね。今までアプローチできなかったような顧客に対してもアプローチできており、かつ継続的に高いエンゲージで接点を持ち続けられていることが評価されていると思います。

NS渡部:AIを活用したキュレーションやサマリー制作については、本施策のとても重要なオペレーションではあるものの、あくまでも手段のひとつだと考えています。それらに加えて、編集会議での会話や考察のなかで生まれるアイディエーションも非常に重要だと思っています。

木原さん:はい、私も週1回の編集会議が楽しいです。癒しの時間です(笑)。

——とても良いサイクルが回っているようですね。今後のさらなる狙いやビジョンはありますか?

木原さん:まず、配信ID数がどんどん増えているなかで、それでも10万IDに対して開封率40%以上を維持できているということが、日々のPDCAが回っている証拠の1つだと思います。また、高いエンゲージが確保できていることで、新たな事業を展開する際の基盤が強化されていると考えています。その土台をNEW STANDARDさんと作ることができたので、今後はたとえば一般の方が参加できる公開講座を連携することもできますし、この土台をベースにさまざまな施策を考えていくことができると思います。

プッシュ型⇄プル型を、コンテンツパワーで行き来する

——渡部さんの視点から、さらにアップデートしていきたいところはありますか?

NS渡部:現状のニュースレター配信が、いわゆる「プッシュ型」の施策であるとしたら、それらに加えて、たとえばSEOコンテンツを起点に完全な新規顧客を獲得していくような「プル型」の施策も展開できないかと考えています。新規顧客にニュースレター登録していただき、毎週のメールを通じてタッチポイントを持ち続けるようなジャーニー設計ができると、さらにできる施策が増えそうな印象です。

木原さん:NEW STANDARDさんの強みは、やはりメディア事業がベースにあるので、コンテンツやキュレーションの質が高いところだと感じています。たとえば、扱うトピックに関する教員との有意義なディスカッションなど、我々職員でもなかなかできない領域なんですよね。一方でNEW STANDARDさんは教員が専門的なことを投げかけても、それに対してしっかり受け答えしていただいているので、そういったクオリティ面での安心感は素晴らしいなと思います。

NS渡部:ありがとうございます。冒頭でもお伝えした通り、我々としてはAIなどのテクノロジーの力も存分に活用しながら、編集者のナレッジを掛け合わせてクライアント様の課題解決に向かい合っておりますので、木原さんにはそのあたりに共感・並走いただけてとても感謝しております。

——今日は貴重なお話をありがとうございました。

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