さらに変容する若者の検索行動。キーワードは「タムパ」と「ミーム」?──ニュースタンダードセミナー!!レポート【“TikTok売れ”編】

2022/11/17
ニュースタ!編集部

私たちの社会はいま大きな変化を迎えており、さまざまな課題を世界規模で共有しています。従来の「当たり前」が通用しない中、より良い世界や社会を構築するための、新しい基準や価値観が生まれています。それらを生み出す中心にいるのが、まさにミレニアルズやZ世代です。

NEW STANDARDは今年、ミレニアルズ及びZ世代のスペシャリストとして、新しい価値(イミ)創出のためのケイパビリティを、情報感度の高い数百万人規模のミレニアルズ及びZ世代と共に開発するシンクタンク「NEW STANDARD THINK TANK」を設立しました。

「ニュースタンダードセミナー!!」は、隔月でさまざまなテーマを掲げ、「NEW STANDARD THINK TANK」のリサーチャーを中心にミレニアルズやZ世代の生の声をお届けするオンラインセミナーです。

7月に開催された第四回セミナーでは、「TikTok売れ」と「これからの旅行」をテーマにセッションを行い、M/Z世代のリアルボイスを引き出しました。今回は「TikTok売れ」のパートを、ダイジェストでお届けします。

ミレニアルズとZ世代から生まれる
新しい基準や価値観を知る

【今回のセミナーの登壇者】
ゲスト:志村 美咲様(株式会社電通デジタル デジタルプランナー)

久志 尚太郎 (NEW STANDARD株式会社 代表取締役)
松本 興人(NEW STANDARD株式会社 General Manager)
金沢 桃花(NEW STANDARD株式会社 THINK TANK Researcher / TABI LABO SNS Strategist)
湯瀬 胡桃(NEW STANDARD株式会社 THINK TANK Researcher / TABI LABO SNS Strategist)
進 啓三郎(NEW STANDARD株式会社 CX Planner)

キーワードは「タムパ」と「ミーム」
さらに変容する若者の検索行動

日経トレンディが発表した「2021年ヒット商品ベスト30」でウマ娘を抑え1位を獲得したのが、「TikTok売れ」という現象です。TikTokで紹介された意外な商品が売れまくるという現象に名前がつきました。

そんなTikTokの人気の秘密や「TikTok売れ」を理解するための二つのキーワードが、「タムパ」と「ミーム」です。

Z世代は、コストパフォーマンスよりもタイムパフォーマンスを大切にする「タムパ志向」が強く、レコメンドによって高度に最適化され、ハッシュタグを通じて自分が求めているテイストに合った情報や、仲間にすぐに出会えるSNS検索(タグる)を好んでいます。倍速視聴や切り抜き動画、 “ながら見”などは当たり前です。さらに、簡単にマネとアレンジを重ねて楽しみながら広がっていく「ミーム」で、今流行ってるハッシュタグにのっていくのです。

「ググる」という検索行動が「タグる(SNS検索)」に変容し、それは今、さらに「トクる(受け身型検索)」という行動に変化していることも見逃せません。こちらもミレニアルズやZ世代のインサイトを捉える上で、重要なキーワードになるでしょう。

今日は私たちがいま最も“沼”だと思っている、TikTokの世界についてみていきましょう。

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実際、いまTikTokの世界はどうなっているのでしょうか? 「若者が歌って踊っているだけのアプリ」という認識はもう捨てた方がよさそうです。いまやお役立ち情報から癒し、エンタメ、ファッション、アニメ、言葉の壁を超えた投稿まで、かなり多様なコンテンツと出会うことができます。

アルゴリズムによって最適化され、ユーザー滞在時間の80%を占める「おすすめ」フィードの存在も、受け身型の視聴を促進させています。

参考記事:今さら聞けない。「TikTok売れ」って実際どうなの?

また、アメリカではTikTokでバズったレシピを再現し、実際にデリバリーで注文することができるサービスも開発されています。収益の一部はバズレシピのクリエイターに還元されるようで、TikTokを軸に、個人クリエイターの可能性を大きく広げているように思えます。

参考記事:「TikTok」でバズったレシピを作って届けてくれるデリバリーサービスが登場

さらに、昨年試験導入されたのは「TikTok Resumes」というプログラム。動画と音声を使って自分の経歴も特技も自由に表現できるもので、実際にどうアピールするかは個人のクリエイティビティ次第。

#tiktokresumesをつけて動画を投稿することで、「Shopify」や「Movers+Sneakers」などTikTokと提携している企業へ直接送ることができるといいます。クリエイティブな発想が求められる職種には、もう従来の履歴書のような「型」は不要、という新しい価値観が色濃く反映されているのではないでしょうか。

参考記事:TikTok、履歴書の代わりに「PR動画」を企業に送れるプログラムをローンチ

ここからは、実際のセッションの中からM&Z世代のリアルボイスを聞いていくことで、「TikTok売れ」について深堀りしていきます。

TikTokのなにが私たちを
“沼らせて”いるのか?

湯瀬(Z世代):一応何十人かフォローはしてますが、基本フォロー欄は見ていません!1日3時間くらいスワイプしているんですが(笑)、見ているのは「おすすめ」欄ですね。私が沼っているのは、実は音源なんです。フォローしている人の好みは人それぞれ違うと思うんですが、音源は多様なユーザー同士の共通言語になって、全く違う好みの人とも「こういう面白いのもあるよ!」とシェアし合うきっかけになるんですよね。だから私は「TikTok音源沼」です(笑)。

松本(M世代):仕事のリサーチのために始めたのですが、リサーチが終わった後も「続きが気になる」とか「何度も見たくなる」という巧みな作りで、自分の時間がコントロールできなくなりそうで、怖くてアンインストールしてしまいました。今はYouTubeをうまく使って、興味のあるコンテンツを見るようにしていますね。

金沢(Z世代):整理整頓系とドッキリ・イタズラ系に沼ってます。「けいさんと太郎」というアカウントが大好きなので、ぜひ見てみてください!こういうおもしろ系の動画でも、YouTubeはちょっと長く感じちゃいますね。でも意外と周りの友達にはYouTube派も多いので、皆にもっとTikTokの面白さを知ってほしいですね。

進(Z世代):僕は実は、沼ってません…。まだ10代の子が使うものというイメージが強いですね。街中でも女子高生がTikTokの撮影をしているのをよく見かけるので、そう思っているのかもしれません。ただ、短尺動画自体はYouTubeのショート動画やInstagramのリールなどで見ています!ショート動画で興味のあるヒトやコトに出会って、深堀っていくという使い方をしています。

志村(M世代):生活お役立ち系、アイドルなどの癒し系、おもしろエンタメ系を見ていますが、TikTokはそんなに沼っていませんね。私がメインで活用しているのはInstagramですね。TikTokには何も考えずにボーッとできる時間を求めているような気がするし、Instagramは知人の近況とか特定の情報収集とか、目的を持って使っているという違いがある気がしています。

あなたが最近TikTokを見て
購入したものについて教えて!

金沢(Z世代):私はもう絞りきれないほど買っていて、日用品からコスメまでめちゃくちゃお世話になっています。「こんな便利なのあるんだ!」とすごい発見があって、いいなと思ったものを軽い気持ちですぐに保存してますね。今日はその中でもお気に入りの扇風機を持ってきました(笑)。
TikTokには「セレンディピティ消費」という「ときめきでモノを買う」傾向があると言われているんですが、私含めて、膨大な情報量の中から比較検討ではなくて「ときめき」でモノを買うZ世代は多いと思いますね。

志村(M世代):私はTikTok買いしたことはまだないですね。やっぱり10代、20代の若い子向けという印象で、自分ごとが少し難しかったです。逆に周りの友人たちの声を聞いていると、私たちの世代の中では「Insta買い」は日常的に起きていますね。やはりプラットフォームと商材、アクティブユーザーの属性の設計が、肝心なのかなと思います。

松本(M世代):DAISOの釣りルアーを買いました。存在は知っていたんですが、TikTokでめっちゃ釣れている動画を見て、思わず買ってしまいましたね。そういえば先日、Z世代の方に広告に関するインタビューを行ったのですが、彼らが「広告だと名言しているコンテンツのほうが信頼度が高い」と言っていたので、TikTokなどでも購買を換気したい時は、そうした透明性を大事にするといいのかなと思います。

進(Z世代):僕はTikTokに沼っていないので、YouTubeの話になってしまうのですが……。レストランやホテルを探す時に、YouTube動画を参考にしてます。昔はレビューサイトを見ていたのですが、動画の方が全体的な情報量も多く、発信している人の属性を参考にしたりできるのでいいですね。まとめサイトとかよりも、ショート動画を参考にすることが多くなりました!

湯瀬(Z世代):いろんなSNSを日々分析する中で、どんなおすすめよりもTikTokのアルゴリズムを信じているので、たまたま出てきた「美顔脱毛器」を買いました(笑)。Instagramでもレビュー投稿をよく見ますが、セルフブランディング目線が強すぎて信用しづらいんですよね。TikTokは多くレビューが上がっていたりすると、動画をつくる労力とかも含めて、信用できますね。

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そのほかにも、こんなキーワードが出てきました🔎

・アルゴリズムを使い倒すために、徹底的にアルゴリズムを「教育」しています
・コロナで日本の「ローカル」に対する目線が変わった
・「ホカンス」で楽しむ「渡韓ごっこ」を計画中!

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