VUCA社会を生き抜くために、企業には「ダイナミックケイパビリティ」が必要だ──久志尚太郎(NEW STANDARD CEO)

2022/08/01
久志尚太郎

テクノロジーの急速な発展やパンデミックなどをきっかけに、社会環境が大きく変わろうとしています。将来を予測することが困難となるなかで、企業はどのように変化に対応していけるのでしょうか。

経営学者デイヴィッド・J・ティース氏はVUCA社会において最も重要な経営戦略として「ダイナミックケイパビリティ(変化対応的な自己変革能力)」を提唱しました。環境や状況が激しく変化するなかで、企業にはその変化に対応して自己を変革する能力が求められているわけです。

本記事では、これからの時代におけるダイナミックケイパビリティの重要性について、NEW STANDARDの事例も交えつつも代表の久志尚太郎が考察します。

企業が持つ価値の
出力方法と出力先を変える

VUCA社会では、その変化に対応するように人々の購買行動も多様化/複雑化し、機能価値だけでなく商品の持つ意味が重視される「意味消費」の時代が訪れました。

「購買とは投票行動である」という考え方があるように、ブランドやプロダクトは意思表示や社会貢献の視点から選ばれるようになり、企業には利益追求だけではないブランドパーパス(存在意義≒ユーザーにとっての新しい意味)が求められるようになりました。

あらゆるステークホルダー(顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、株主など)の利益に資する「ステークホルダー資本主義」とも呼ばれる時代において、わたしたちNEW STANDARDは企業のブランドやプロダクト、サービスに対して従来とは異なる意味や解釈を与えることで、消費者や社会にとって「新しいスタンダード」となりえるものを提供してきました。

関連記事:新しいスタンダードは、「意味(価値)」の解釈を変えることで生まれる

企業やブランドの変革を支援するなかで、私たちが大切にしているのが「ダイナミックケイパビリティ」という概念です。カリフォルニア大学バークレー校のデイヴィッド・J・ティース氏によって提唱されたダイナミックケイパビリティは、「環境や状況が激しく変化する中で、企業がその変化に対応して自己を変革する能力」を意味します。

ダイナミックケイパビリティは、外部環境の変化に対応する能力(サイジング)、社内の資源を再編成する能力(トランスフォーミング)、社会変化を察知する能力(センシング)の3つに分けられます。企業は業界危機や顧客ニーズの変化といった外部環境変化を敏感に察知し、適切なタイミングで組織を再構成/変容させていくことが求められるわけです。

私たちはダイナミックケイパビリティを「企業の持っている価値を見つめ直し、その出力方法と出力先を変えること」だと解釈しています。ピボットのように事業全体の方向性を変えるのではなく、その企業の中核にある価値は変えずに、異なる事業やサービス、コミュニケーションの形態で世の中に届けていく──。ダイナミックケイパビリティは組織に対する「意味のイノベーション」だと考えているわけです。

Z世代やミレニアル世代の
インサイトを熟知していることが
『TABI LABO』の価値

私たちNEW STANDARDも、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの最中で大きな組織変革を求められました。運営するイベントスペース&カフェ「BPM(=Beats Per Moment)」は閉鎖を余儀なくされ、売上がゼロの事態に。経営的にも非常に厳しい期間が続きました。

なかでもNEW STANDARDを成長戦略に乗せるためのベースをつくったのが、「メディア事業をシンクタンク事業へ転換する」という決断です。これまでは「企業の伝えたいこと」を『TABI LABO』というメディアを通じて消費者に届けてきましたが、これからは「Z世代やミレニアル世代のユーザーの声」を解釈し、企業に届けていくといった構造の転換です。

2014年の創業以来、自社を「TABI LABOの運営を行なうメディア企業」として位置づけていましたが、事業の多角化に伴って2019年にNEW STANDARDへと社名を変更。そのタイミングで自社事業の持つ価値について見つめ直しました。

NEW STANDARDはZ世代/ミレニアル世代を中心にユーザーを抱える『TABI LABO』の運営を行っているからこそ、誰よりもZ世代やミレニアル世代のインサイトを熟知していることが価値ではないかと気づきました。だからこそ、メディアを単なる発信媒体として捉えずに、そこで培った価値をさまざまなかたちで出力していくことが重要だと気づいたわけです。

元『WIRED』日本版編集長の若林恵さんが「メディアの価値って、『声の大きさ』ではなくて、『耳の良さ』に宿る」と語られていたように、メディアとは対象となるユーザーのインサイトや社会のコンテキストを拾い上げる機能をもっているわけです。

だからこそ広告収益だけで運営されるメディア事業をZ世代やミレニアル世代専門のシンクタンクに転換し、レポートの作成、企業のコンサルティング、価値創造のフレームワークの提供等を行うことにしたのです。

例えば、『TABI LABO』の運営で得られたデータを元に、Z世代/ミレニアル世代のインサイトを可視化する「インサイトツール」の開発や、Z世代/ミレニアル世代の当事者の声をクライアント企業に届ける「ニュースタンダードセミナー!!」の開催、『TABI LABO』の運営を通じて可視化されてきたトレンドをまとめたレポートの発行など、メディアのもつケイパビリティや価値の出力先を多様化する取り組みにこれまで挑戦してきました。

関連記事:ユーザーの興味や社会のトレンドをいかにして定量化するか?

そうした取り組みを体系化し、シンクタンク型の組織となるNEW STANDARDでは、MZ世代総合研究室、デジタルツール研究開発室、デザイン&アート思考研究開発室という3つの研究室を設置します。各研究室では、ミレニアルズ及びZ世代のユーザーインサイトやデータをもとに、NEW STANDARDならではの独自のケイパビリティを開発していきます。

柔軟な組織変革に必要なのは
価値創造型の
デジタライゼーション

ダイナミックケイパビリティを持つ組織(=変化に柔軟に対応可能な組織)を実現するためには、サービス開発を素早く行うための手法であるデザイン思考やアジャイル開発に対応できる人材やケイパビリティが必要であると私たちは考えています。

しかし、PA(情報処理推進機構)が公表する「DX白書2021」の中では、国内企業の多くが企業起点ではないユーザー起点から生まれたケイパビリティの定着に苦戦していることが指摘されています。

だからこそ、NEW STANDARDでは大企業がダイナミックケイパビリティを獲得できるように支援するべく、新規ブランドの立ち上げや既存ブランドの再創造をワンストップで支援するサービス「BDX(ブランド デジタルトランスフォーメーション)」などの商材を提供しています。

BDXでは、ユーザー起点でのブランドアイデンティティの策定を行うだけでなく、ブランドをデジタルトランスフォーメーションする際に必要となる全ての要素を提供することで、企業の変革を手厚くサポートしています。

関連記事:ブランドの価値を再構築し、最大化させる。NEW STANDARD社が提供する新サービス「BDX」

目まぐるしく移り変わる時代のなかでイノベーションを起こし続けるためには、変化に対応し自己変革する能力が必要です。新しい基準で価値を捉え直し、世の中に新たなスタンダードを生み出すことを支援してきたNEW STANDARDは、独自のケイパビリティを武器に企業のダイナミックケイパビリティの獲得をこれからも支援していきます。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。


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