ミレニアルズやZ世代の生の声を起点に、国内外でいま生まれている新しい基準や価値観を紹介する「ニュースタンダードセミナー!!」の第11回がオンラインで開催されました。
今回のセミナーは、TikTok×クリエイターで課題を解決 -スモールマスから生まれる新たなマーケティング- というテーマでお届けしました。特別ゲストに、TikTokプロモーションのエキスパートである株式会社Nateeの朝戸太將さんや、人気動画クリエイターのほのぴすさん、ウンパルンパさんもお迎えし、ファンダム(ファン起点のモメンタム)とともに形成されるスモールマスコミュニティの背景や、価値観の細分化が進むこれからの時代のマーケティングのあり方についてお話いただきました。
(後編「コメントコントロール」「ワードづくり」人気動画クリエイターが結果を出すために意識していること はコチラから)
ここではまず、Nateeの取締役CRO朝戸さんにお話しいただいたセッション1「メディア化するクリエイター。共創による話題づくりの秘訣」の一部をご紹介します。
「日本一のYouTuberと聞いて、誰を思い浮かべますか?」
Natee朝戸太將さん(以下:朝戸):我々Nateeは2018年創業のスタートアップですが、クリエイターを活用したショートムービーマーケティング支援を中心に、TikTokへフルコミットしてきた会社です。2024年1月からはWOWsというクリエイターの事務所も立ち上げ、今日登壇しているウンパルンパさんにも所属いただいています。
突然ですがみなさん「日本一のYouTuberは?」と聞かれて誰を思い浮かべますか?
実はYouTubeのチャンネル登録者数を見ると、Junya.じゅんや、Sagawa/さがわ、Bayashi TVなど、なんと上位6名がショート動画出身のクリエイターになっているんです(2024年1月時点 yutura調べ)。もちろん、ヒカキン、東海オンエアなど10年以上トップYouTuberとして活躍し続けられている素晴らしいクリエイターのみなさんもいますが、ショート動画クリエイターが時代の寵児となってきていることはお分かりいただけるのではないでしょうか。
企業がプロモーション活用する上で知っておきたい「TikTokの変化」
朝戸:なかには、今でも「TikTok=女子高生のSNS」と認識している方が多いかもしれませんが、直近1年を見ても年齢構成比が上がってきています。とくに25-44歳が伸びていて、どの世代でも当たり前のように使い、消費行動を促すプラットフォームに変化してきました。最近のプロモーションではリテールや小売と連携することで売り上げに貢献するような取り組みも増えてきましたし、認知拡大だけではなく、売り場との連携においても欠かせないツールになりつつあると感じています。
そして何より、TikTokにおいてはクリエイターが先頭を走っていますので、どんなコンテンツがウケるのかという理解を深めながら、ファンやコアなコミュニティに火をつけて、そこからバトンを渡していくようにマス層に広げていくことが重要だと感じています。
ショート動画のメリットは「短い時間で深い情報を与えられる」こと
朝戸:初めてTikTokに挑戦するクライアント様からの要望でよく聞くのが「とにかくバズらせたい、UGC(ユーザー生成コンテンツ)をたくさん生みたい、真似されるクリエイティブを作りたい」といったものなのですが、前提としてUGCでバズるのは稀なケースだと思ってください。お気持ちはとても分かるのですが……(笑)。
ショート動画の良いところは、何より短い時間で深い情報を伝えることで、ファネルを超越しやすいというところだと考えています。たとえば美容商材などは、UGCで真似されて売れていくというより、しっかり商品のベネフィットが伝わり、ドラッグストアなど身近な接点でいかに手に取りたくなるかどうかを設計する必要があります。一方、飲料などコンビニ含めて配下先が多く、そもそもの認知を広げていくことが大事な場合にはUGCも1つの手法にはなると思いますので、どうすればよりユーザーが面白がってコメントや反応をしやすくなるか、しっかりプランしていく必要があります。ただ私の持論としては、企業プロモーションで活用する際は、あまりUGCを第一目的にしないほうがいいんじゃないかな、と感じるケースがほとんどです。
プロモーションを共創していくクリエイターは、どのように見極めれば良いか
朝戸:クリエイターとの共創が重要というのはお伝えしてきましたが「では、どのようなクリエイターとお仕事をすればいいのか」と、その判断に悩む方もいらっしゃるかと思います。
基本的には、以下の3つのステップで考えます。
①ショート動画を見た方にどんな態度変容をしてほしいか
②その態度変容はどんなシーン(シチュエーション)で切り取ると実現するか
③そのシーンに強みがあるクリエイターは誰か
たとえば「美容ブラシ」が商材で、「前髪のハネ毛を簡単にキレイにできる」というベネフィットにメリットを感じて欲しい場合、どのような切り取り方が良いのか。専門的に検証するのが良いのか、デートの日の絵を思い浮かべてもらうのが良いのか。そのシーンを描くにはどのクリエイターが得意なのか、のようなステップで考えていきます。
ショート動画を活用したプロモーションに向いている商材の特徴としては、やはり「変化が分かりやすい(絵で伝えやすい)」「情緒的価値感で動きやすい」の2つが挙げられると思います。動画で情報量を多くできるとはいえ、平均1分前後の短い時間のなかで「あ、これ欲しい」というスイッチを入れる必要があるので、変化が分かりづらく、エモーショナルに伝えづらい商材の場合はインパクトが小さくなってしまう傾向にあるので注意が必要です。
***
後編では、ほのぴすさん、ウンパルンパさんをお迎えし、「コメントコントロール」「ワードづくり」人気動画クリエイターが結果を出すために意識していること というテーマでご紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
※本記事では、セミナーの内容を一部編集してまとめております。