ミレニアルズやZ世代の生の声を起点に、国内外でいま生まれている新しい基準や価値観を紹介する「ニュースタンダードセミナー!!」の第9回が、9月27日(水)にオンラインで開催されました。
今回のセミナーは、「世代論の1歩先へ。これから求められるZ世代マーケティングとは」というテーマで、特別ゲストにはデジタルネイティブ世代をターゲットにした事業開発やマーケティングを得意とする株式会社manage4の佐々木駿さんをお招きし、Z世代マーケティングの現在地や、Z世代というバズワードの落とし穴についてお話いただきました。
セミナーの後半では、NEW STANDARD社のZ世代リサーチャーも交えてリアルボイスセッションを実施。その一部をご紹介します。
【今回のセミナーの登壇者】
最近、注目している企業やブランドはありますか?
ミレニアルズ世代を代表して佐々木さん、Z世代を代表して金沢さんと高田さんに「最近、注目している企業やブランド」について、その理由とともにお聞きしました。
金沢(Z世代):私が注目しているのは「&nd by rom&nd(アンド バイ ロムアアンド)」です。ローソンと韓国コスメ「rom&nd(ロムアンド)」が共同開発したブランドなんですが、発売前のカウントダウンプロモーションからX(旧Twitter)を中心に話題になっていて、発売3日で30万個売れたという異例のヒットを記録したそうです。事前のプロモーションがK-POPアイドルのデビュー時の手法に似ているなとも感じて、発売と同時に話題の山場が来るのがとても興味深かったです。コンビニコスメなのでZ世代も手に取りやすいですし、見た目も小さくてかわいいんです(笑)。
参照:&nd by rom&nd 公式Instgramアカウント
高田(Z世代):私は「Coachtopia(コーチトピア)」と書かせてもらいました。CoachtopiaはCoachのサブブランドなんですが、サステイナブルな完全循環型のビジネスモデルで、Z世代をターゲットにブランド開発をしているのが特徴的です。具体的には、廃棄物を活用してリメイクした製品をデザインしたり、環境活動家や映画製作者、ファッションデザイナーなど様々な分野で活躍するZ世代のコミュニティとも共創しています。アメリカ、カナダ、イギリスで先行ローンチしていて、2023年の10月上旬には日本にも上陸予定です。サステイナブルなだけでなく、Z世代のコミュニティと連携しているところがポイントだなと感じていて、新しい兆しの発信者となる層を巻き込んでいくブランド開発はこれからもっと増えていきそうだなと感じています。
佐々木さん(M世代):僕は「ドン・キホーテ」と「MITTAN」という方向性の異なる2つを書かせてもらいました。まずドン・キホーテは、10〜20代のZ世代従業員の声を取り入れながら「キラキラドンキ」のようなZ世代向けの店舗を作ってしまうなど、振り切ったワンコンセプトの仕掛け方がとてもうまいなと感じています。現場から離れている人たちだけで考えているのではなく、しっかり現場の声やトレンドをしっかり抑えているのが結果として出ているのではないかなと思います。
佐々木さん(M世代):もうひとつがMITTAN(ミッタン)です。先ほど高田さんが話していた「Coachtopia」のサステイナブル文脈にも近いのですが、短サイクル消費や大量廃棄といったアパレル業界の問題に対して、修繕や染め直しといったリペアの価値を大事にしているところや、天然素材を使った現代の民族服を提案する、というアプローチに注目しています。MZ世代の価値観ともマッチしていると思い挙げさせていただきました。
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Z世代が好印象を抱くキーワードをあえて1つ挙げるとするなら?
続いての質問は「キーワード」についてうかがいました。本セミナーではこれまでも「レトロブーム」や「タイパ」など、MZ世代に関するさまざまなキーワードを取り上げてきましたが、今回は「好印象を抱くキーワード」について。2023年9月時点、「好印象」を抱くのはどんなキーワードなのでしょうか。
金沢(Z世代):私は「ニッチさ」と書かせていただきました。さまざまな情報が溢れているからこそ「私だけが知っている」「自分と周りの友だちだけが知っている」「本当に好きなマニアの人だけが知っている」など、ニッチな情報や場所、お店などがますます求められるようになってきた印象です。人とは少し違うオリジナリティを求める感覚にも近いかもしれません。
高田(Z世代):私は日本語で「本物の」という意味の「オーセンティック」を挙げました。Z世代にとって「作り込まれたもの、編集されたもの」よりも、本物でオーセンティックだと感じられるもののほうが好印象を抱かれると思います。たとえば、BeRealのようなSNSが人気になったのも「飾らない、ありのままの姿」が心地良いのではないでしょうか。SNSで友人やフォローしているインフルエンサーと自分をつい比べることに疲れてしまったZ世代が、今よりもっと等身大で気ままに過ごしたい、と感じている兆候なのかもしれません。
佐々木さん(M世代):僕が書いたのは「セミクローズド感」というキーワードです。これまでのオープンなSNSから、つながりのある友人同士でコミュケーションするようなSNSが増えていたり、食事をするにしても気心の知れた仲間がやっている少しだけクローズ(=セミクローズド感)があるお店を選んだりと、そういった居心地の良さを求める傾向にあるんじゃないかなと感じています。Z世代の金沢さんや高田さんが挙げていた「ニッチさ」「オーセンティック」も根底には似たニュアンスを感じますね。
金沢(Z世代):いま、佐々木さんの「セミクローズド感」というキーワードを聞いて、 “まさに!” と感じました(笑)。友だちの友だちがやっているお店に行こうか、など、最近はまさにそんな会話がすごく増えているなと感じています。