ミレニアルズ、またはミレニアル世代は、1980年代前半から1990年代中盤頃に生まれ、テクノロジーと共に成長してきた「デジタルネイティブ世代」だと言われています。自らの成長とネットワーク技術の進化やソーシャルメディアの台頭がリンクしており、以降に続くZ世代にも大きな影響を与えた「価値変革のパイオニア」とも言えるでしょう。ここでは、そんなミレニアルズを理解するための8つのポイントを紹介していきたいと思います。
01.
デジタル&多様性のパイオニア
ミレニアルズは物心がついた頃からパソコンが身近なものとして存在し、2000年代に登場した検索エンジンをはじめ、その思春期を携帯電話やメッセージアプリの進化とともに育った「デジタルネイティブ世代」とも言われます。それまでのTVや雑誌を中心にした、一方向のマスコミュニケーションから、徐々にインターネットやSNSが生活に深く浸透していくなかで、個に紐づく多様な情報収集やシェアの概念に変革が起きました。
それらの変化は、趣味や働き方の多様化はもちろんのこと、日頃のライフスタイルからコミュケーション方法にまで及び、さらにはLGBTQやSDGsといった新しい概念を取り入れ、世界をリードしてきました。そのような時代の変化やテクノロジーの進化をポジティブに享受し、世界の広がりを身をもって体感した世代とも言えるかもしれません。
>ミレニアルズは、日々進化するデジタルを活用しながら、世界の多様性に気づきはじめた世代
02.
出世よりもQOLとコスパが大事
ミレニアルズは従来の終身雇用型の働き方から脱却し、より自由なワークライフバランスや、リモートワーク・パラレルワークなどの実践を一気に加速させた世代です。ピラミッド型の出世コースを目指すだけではなく、ベンチャーやスタートアップといった起業への挑戦、またライフスタイルの主軸を仕事ではなく「旅」や「家族」「趣味・興味」などに置き、ロングスパンで進むべき道を考える人も多い傾向にあります。もともとは医療や健康関連で使われていた「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」という言葉が一般的に使われるようになったのも、ミレニアルズの価値観に当てはまっていたからでしょう。
また、ミレニアルズはそれ以前の世代と比べると「見栄」に対する興味が薄く、いかにコスパの良いものを選ぶか、という考えにシフトした世代でもあります。LCCやプチプラなど、より機能性や実用性を重視するものが台頭した背景にも、彼/彼女たちの経済状況や価値観が関係していることは間違いないでしょう。
>QOLを見直し、より自由なワークライフバランスを求めたミレニアルズ
03.
シェアリングエコノミーの拡大。所有から共有へ
ミレニアルズの「住宅や自動車などの所有物を増やしたくない」「合理性を重視したい」「つながりや体験は大事にしたい」といった価値観は、シェアリングエコノミーとの相性が良く、テクノロジーの進化や長引く不況の影響もあり、急速に拡大しました。カーシェアやシェアサイクル、シェアハウス、コワーキングスペースなどのようにパッとイメージできるものから、ファッションアイテムのレンタルサービスや、レジャー用品、家電といったものまで広く「シェアをする」という概念が受け入れられるようになりました。
また、遊休資産の有効活用という観点から、空き家・空き空間の活用が積極的に叫ばれるようになったのもミレニアルズを代表する特徴のひとつと言えるでしょう。それらはサステナビリティの観点からも推奨され、所有が当たり前だった時代から、共有する時代へ、と変化を見せました。
>ミレニアルズは合理性を重視し「シェア」の概念を急拡大させた
04.
より暮らしをミニマルに。シンプルさを追求
ミニマリストは、「minimal(最小の)」から派生した言葉で、本当に大切なもの以外を極力減らし、よりシンプルに生きるという価値観で、ミレニアルズを中心に世界的に広まりました。
そこには物理的に「モノを持たない」という価値観に加え、マインドや生き方も “よりシンプルにしたい” という情報過多への反動や、モノ消費がスタンダードだったX世代的価値観からの揺り戻しとも言える現象が感じられます。
ミニマルに生きることのメリットとしては「本当に大切なものに気づける」「お金や時間、労力を節約することができる」「所有物を減らすことで引っ越しや転職のフットワークも軽くなる」といったものが挙げられ、外的要因に左右されない “自分らしさ” を大切にするミレニアルズならではの価値観を感じさせます。
>ミレニアルズは、選択肢が増えたからこそ、大切なものと向き合いたい世代
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05.
検索や情報収集はSNSで。タッチポイントの変化
デジタルネイティブ世代であり、かつ急速にSNSが生活に浸透してきたミレニアルズは、日常的な情報収集や、自分が欲しいトピックの集め方を大きく変化させてきた世代です。
とくに特徴的なのが、Instagramのハッシュタグ機能の広がりです。絶景スポットや話題のグルメ、新しい宿泊施設など、写真や動画で知りたい情報への触れ方が革新的に変わっていきました。また、1つのテーマに特化しているアカウントなども増えた ことで、より深く、かつ自分の感性と近しいものをフォローし、ディープに情報収集することも可能になりました。
また、Twitter(現X)のようにリアルタイムでニュースやトピックが追えるものを最適に設定させておくことで、よりスピーディに、かつ自動的に、自分が欲しい情報だけを得られるようになりました。
>SNSの進化をポジティブに享受。ライフスタイルを変化させたミレニアルズ
06.
サウナ、フィットネス、キャンプ。自分と向き合う時間を重視
コロナというかつてない大きな出来事は、社会人歴を重ねたミレニアルズたちが自身の働き方やライフスタイルを見直す上で、甚大な影響を及ぼしました。多くの人にとって、睡眠時間や食事、アルコールとの付き合い方、オンオフの切り替えなどを考え、自分自身の体調やメンタルヘルスと向き合うきっかけとなりました。
昨今、ミレニアルズを中心にブームと言われるサウナや、トレーニング/フィットネス、自然の中で時間を過ごすキャンプなどは、いずれもセルフコンディショニングと関連が深いものばかりです。デスクワークから離れて自分自身と向き合う時間を作ることで、身体的な心地よさはもちろん、頭のリフレッシュや、半強制的なデジタルデトックスを求めていることが読み解けます。
通勤がスタンダードな時代と、テレワークがスタンダードな時代、両方を経験しているミレニアルズだからこそ、自分が心地よくいられる時間を大切に考えているのかもしれません。
>ミレニアルズは、コロナ禍を経て、よりセルフコンディショニングを求める傾向へ
07.
情報や価値観のベースは欧米。ライフスタイルにも影響
デジタルネイティブ世代と言われるミレニアルズですが、そこにGAFAと呼ばれるアメリカの巨大IT企業が大きく影響していることは誰もが認めるところでしょう。Google、Apple、Facebook、Amazonは、ミレニアルズにとってリアルタイムでライフスタイルを変化させたビッグ・テックであり、必然的に日頃触れるニュースやカルチャーも、北米を中心としたものになりました。
その点、物心ついたときからアジアのエンターテインメントやカルチャーに触れており、かつビッグ・テック企業の苦戦を横目で見ているZ世代は、また違った感覚を持っていると言っても良いでしょう。
またミレニアルズは、ワークライフバランスやウェルビーイングなどの観点から、各国の「幸福度指数」などにも意識が向きました。軒並み上位にランクインするフィンランドやスウェーデンなど北欧各国への羨望や、それらの価値観を自分たちの働き方や子育てにも取り入れたい、と考えるようになった世代でもあります。
>北米のビッグ・テックや北欧の幸福度指数がライフスタイルに影響
08.
仕事では「リスキリング(学び直し)」 を求められるミレニアルズ
2022年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語にノミネートされ、注目が集まる「リスキリング(学び直し)」というキーワード。現在、20代後半から30代後半を中心に構成されるミレニアルズは、組織内で中堅層を担う人たちも多く、X世代以上の上司や、Z世代の若手とスムーズに働いていくべく、ビジネスパーソンとして の「リスキリング」が求められています。
リスキリングについては経済産業省も重要視しており、主に人材が不足していると言われるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の領域は、コロナ禍を経てさらに急速にニーズが広がり、世界のイノベーション企業と戦っていくための一手として、ますます注目が高まっています。
これまでのスキルに掛け算できるような新しいスキルや知識が身につけられるか、がミレニアルズの転職市場や起業機会に影響することは間違いないでしょう。
>ミレニアルズが無視できない「DX」と「リスキリング」
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