「ミレニアル世代以降の新しい基準や価値観」とは何か?

2021/04/16
久志尚太郎

いま、急速なテクノロジーの進化やSDGs策定から約6年が経ち、社会環境や人々の価値観は大きく変わろうとしています。これまでは見過ごされてきた価値観が注目されることも増え、例えば「昆虫食」などもサスティナブルな食の可能性として受け入れられるようになってきました。

「社会課題に対する意識が高い」「透明性やリアルな物語への共感を重視する」「つくられた広告訴求にたいする嫌悪感」……ミレニアル世代以降の価値観として、このようなことが言われます。では、彼/彼女らにとっての新しい基準や価値観とは具体的にどのようなものでしょうか? NEW STANDARD代表の久志尚太郎が紐解いてみました。

ミレニアル世代やZ世代が
育った時代で起きたこと

ミレニアル世代以降はアメリカ同時多発テロ事件やリーマンショック、東日本大震災をはじめとした世界中でおこる天災、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックなど、大きく社会を変えるような出来事を目の当たりにしてきました。そのため、彼/彼女らは他の世代と比べても社会課題に対する意識が高いのです。

また、これまで見過ごされてきた「多様性」にも、幼少期からアニメや映画、そして様々なカルチャーを通じて、ミレニアル世代以降の人々は気づいていたのではないでしょうか。LGBTQIAといった性的マイノリティやセクシャリティの多様性、あるいはプラスサイズモデルが注目されていることも、人々が本来は「多様」であることが社会の中で新しいスタンダードとして定着しつつある。ということだと思います。

また、ミレニアル世代以降はフラッシュマーケティングなどによる“煽り”を経験しており、多くの失敗を積み重ねてきました。彼/彼女らの情報リテラシーは高く、嘘や膨張表現をすることは容易だと知っており、だからこそ透明性を大切にしているため、企業やブランドはしっかりと消費者に向き合い、ありのままの姿をさらけ出し、独自の想いを届ける必要があるのです。

一方で、テクノロジーが進化していくなかで弊害も生まれています。情報の非対称性がなくなると考えられていましたが、アルゴリズムによって人々がフィルターバブルのなかに閉じ込められてしまったのです。つまり「まわりで起きていること」は知っているけれど、自分と違うコミュニティ、つまり「自分の外の世界で起きていること」は知らない状態になってしまう……。多くの場所で情報格差が生まれていると言います。

そうなった場合、情報には偏りがあり、主義主張は矛盾を内包していることも多いと私たち自身がクリティカルに考えつづける必要があるはずです。これを理解しておかなければ他人を傷つけてしまう可能性もありますし、だからこそ常に完璧ではないと考えることが大切になります。あたりまえですが、どんなに正しく感じることでも、全てが完璧なわけではありません。

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オルタナティブな価値観が
メインストリームへ

SDGsは2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として採択されましたが、掲げられている目標はここ最近になって提唱され始めたものではありません。例えば、LOVE&PEACEを謳ったヒッピーたちが1960年代に目指していたのはサステナブルな地球環境の実現でした。インターネットなどの情報環境が整っていない状況において、彼/彼女らには社会に中指を突き立てるようなカウンターという方法しかありませんでした。しかし、現在はそのオルタナティブな価値観がメインストリームに躍り出てきたのです。

地球を破壊してまで経済活動を行うことはおかしいという考えのもとで、全球的にアジェンダを設定し、その課題解決に取り組んでいることは、非常に素晴らしいと感じています。2030年に向けて、SDGsがリードする世界の新しい基準や価値観はより社会に浸透していくと考えています。

一方で、SDGsにより個人の生活がどれだけ変化したのかも考えなければなりません。より多くの人に影響を与えるには“上から下へ”ではなく“下から上へ”というボトムアップでムーブメントを起こしていく必要があると考えています。例えば、多くの企業やブランドがウェルビーイングを実現できるような商品やサービスを提供していますが、より個々人の行動の変化に注目し、しっかりとその変化を促すサポートをする必要があるはずです。そうして一人ひとりが主体的にウェルビーイングを実現していくことが、社会がSDGsの達成に近づく方法なのではないでしょうか。

ほかにもSDGsと密接に関わることは多くあります。昆虫食はこれまでゲテモノ扱いされてきましたが、SDGsを達成するための具体的な可能性として位置づけられています。今では無印良品がコオロギせんべいを2020年春から販売したり、渋谷PARCOの地下一階に昆虫を提供するレストランがオープンしたりと、まさに過去オルタナティヴだったことが徐々に時代の中心になっています。

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過去を否定せず
CXそのものを商品に

中国や米国ではOMO(Online Merges with Offline)やCX(Customer Experience:顧客体験)といった考え方がスタンダードとして定着していますが、日本では一過性の流行のように捉えられているきらいがあります。しかし、OMOやCXはマーケティング・コミュニケーションを考える上での大きな地殻変動だと私は捉えています。

偶然にも、新型コロナウイルスの感染拡大によりOMOは促進されることになりました。会議を例にとっても、アフターコロナの時代に「物理的な空間に集まる」方法を選ばない人は多いのではないでしょうか。デジタルコミュニケーションが増えていくなかで“リアル”はより人と人のつながりを重視する傾向が強くなるため、お祝いなどの意味を含んだ定義へと捉え直す必要がありそうです。

また、ビジネスにおいてはこうしたOMOの時代における変化を理解したうえで、CXそのものを商品にすることが求められるでしょう。いま業界変革を起こしているD2C/DNVB事業は、ユーザーのインサイトやニーズからマーケティングやクリエイティブを通した提供価値を考え、製造を行なっています。製造業の起点が「ユーザー体験」へと変化しているのです。

CXには一貫性が重要となります。マーケティングやカスタマーサポートなど、各タッチポイントでコミュニケーションがバラバラになってしまうと、企業やブランドとして伝えたいメッセージが不明瞭となり、ミレニアル世代以降の消費者の購買意欲を刺激できないのです。

NEW STANDARD社では独自のフレームワークを活用し、過去のモノやコトを否定するのではなく、いまあるものの捉え直しを促しています。ミレニアル世代以降の基準や価値観により、自分たちの事業やブランドが過去から現在まで積み重ねてきた経験と価値に自覚的になりながらも、それをミレニアル世代以降の基準や価値観を踏まえて捉え直してみる。それが、これからの事業成長やブランディングにおいて、大きなヒントになっていくかもしれないと考えているんです。

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