【クライアントインタビュー】文具と銭湯がコラボ? 20-30代の認知率を巻き返した「話題化プロモーション」を振り返る(コクヨ)

2024/03/14
ニュースタ!編集部

2023年を通じて、NEW STANDARDではコクヨのステーショナリー(文具)部門とともに、大人向けの「話題化」を目的としたプロモーションを担当しました。

学生時代は身近な存在である「文具」も、大人になるにつれ触れる機会が減り、一部の文具ファン向けの存在になりがちですが、じつは大人になってからも日常のさまざまな課題を解決してくれたり、時を経て驚くほど機能が進化している、というケースもあるのです。ここでは、コクヨの文具の魅力について再度大人たちに向けて興味喚起を促した2つの「話題化プロモーション」をご紹介します。

クライアントとして年間プロジェクトに尽力いただいたコクヨ株式会社 グローバルステーショナリー事業本部 ダイレクトマーケティング部の柴田順子さんをお迎えし、NEW STANDARDのCX Plannerの進啓三郎、Business Producerの進藤萌那とともに振り返りたいと思います。

口コミやUGCが生まれづらい商材で、いかにして話題の波を広げるか

——改めて、今回のプロジェクトについて概要を教えてください。

NEW STANDARD(以下:NS)進藤:2023年の5月に「ハサミの音(ASMR)に着目したSNSキャンペーン」、10月に「ドットライナーというテープのりと銭湯とのコラボレーション」という2つの話題化プロモーションを実施しました。それだけ聞いてもよく分からないと思うのですが(笑)、取り組みの大きな方針としては、コクヨさんのプロダクトが消費者から第一想起されるような認知拡大を目的に、デジタルからリアルまで、幅広い話題化施策を設計〜運用させていただきました。アウトプットとしても多岐に渡っており、SNS動画やビジュアル作成、リアルイベントの企画設計、グッズ制作のディレクションなどを担当しました。

ハサミマスターによる正解を紹介した動画

10月には、東京・中野にある人気銭湯「松本湯」とテープのりがコラボ

参照:10月10日が共通点 テープのり「ドットライナー」が銭湯「松本湯」と”快適”コラボレーション(PR TIMES)

——2023年、コクヨとしてはどのような課題感や狙いがあり「話題化プロモーション」を実施したのでしょうか。

コクヨ柴田:私が担当しているのは学生向けの文具ではなく「大人向けの文具」なのですが、学生時代では身近だった文具も、大人になると趣味嗜好も多様化してくるため、なかなか情報がリーチしにくいという課題がありました。そのなかでも文具ファンだけではなく「非文具ファン(ライト層)」にどうリーチさせ、コクヨの商品を知ってもらい、購入時に第一想起してもらえるか——つまり非文具ファンに対して新たな接点を作り、興味を持ってもらうのが2023年の狙いでした。

——たしかに大人になるにつれて文具に触れる機会が減少したと感じる人は多いかもしれませんね。NEW STANDARDがプロモーションを考える際に意識していたのはどのようなことでしょうか?

NS進:「話題化」においては、接点を複数用意することと、間口を広く持つことを意識しました。たとえば、ハサミの音だけを聞いてどのハサミか当てる、というASMRを活用したクイズをSNSで展開したのですが「ハサミマニアなら本気で楽しめるし、ハサミに詳しくない人もツッコミを入れながら参加できる(=ツッコマレビリティ)」を意識した設計にしました。ドットライナー(テープのり)と銭湯のコラボを実施した際も「店頭には世代問わず楽しめるガチャガチャを設置し、一方でお湯の色を青にしてドット汗をかいてもらうような仕掛けやオリジナルのヒーリングミュージックをサウナ内で流し、コアなサウナファンも本気で楽しめるようにする」など、コクヨというブランドが持つユニークさをさまざまな形で体感してもらえるように、ターゲットとその周囲のサブターゲットまで巻き込んでいくプランニングをしました。

ワンチームで進めた「発散と収束」によるアイデーション

コクヨ柴田:NEW STANDARDさんは、毎週の定例もしかり、ブレストや議論、相談がしやすい空気感や体制が整っていて、とても頼りになる存在です。「文具の話題化」というお題に対しても、ただおもしろくて突拍子もない企画(How)を考えるわけではなく、なぜそれがターゲットに響くのか、なぜ引用リツイートやリアクションがしたくなるのか、という設計にしっかり落とし込まれていました。アイデア出しのプロセスや手法にも学びが多く、じつは私たちが他のプロモーションを考える際にも活用させてもらっているんです。

——具体的にはどのようなアイデア出しの方法だったのでしょうか?

NS進藤:コクヨさんとは本施策以外にも年間でお取り組みをさせてもらっていて、毎週の定例ミーティングがありました。そこで日頃からコミュニケーションが取れており、クライアントとベンダーという関係性を超え、フラットなワンチームになれていたことが企画会議やアイデア出しをする際にも効果的だったと思います。手法としては2つ意識しているポイントがあり、発散と収束をしっかり切り分けて考えること、それぞれ同じ発散フォーマットでアイデアを持ち寄ること、です。フォーマットが決まっていると同じ論点でアイデアを収束できますし、評価ポイントも分かりやすくなり、混乱なくスムーズに進められます。このとき、クライアントも我々も、プランナーやビジネスプロデューサーなどの職種も関係なく、みな平等に持ち寄ったということも大事なポイントかもしれません。

コクヨ柴田:この手法とプロセスがとても良かったので、社内の他のチームにも共有させていただきました。私にとっては、自分のチームメンバーの成長にも繋がったのが良かったです。

NS進:ありがとうございます。2つの話題化プロモーションは、結果的にアウトプットとして全く異なるものになりましたが、1回目がうまくいったからといって同じフォーマットに固執することなく、コクヨさんとして今後の型が見えてくるような再現性も意識していました。「単純に同じもの、単純に違うもの」ではなく、いくつかの型を試しながら、相性のいいプロモーションをラーニングし、蓄積していくことができた取り組みだったかなと思います。

お互いの「左脳と右脳」を信じていた

コクヨと松本湯のコラボ「ドットライナー湯」のグッズ

——「話題化プロモーション」を通じて、とくに印象に残っていることはありますか?

コクヨ柴田:ドットライナー(テープのり)で松本湯さんとコラボさせていただいた際に、SNS投稿をしていただいた方の約70%がターゲットとしていた非文具層(ライト層)だと分かったとき、手応えを感じました。ドットライナーの認知率がここ数年下がってきており、今回の施策で認知率の向上もKPIのひとつでしたが、この施策で大きく取り戻すことができました。また、そのなかでも20-30代の認知率を課題として捉えていたのですが、人気サウナとのコラボが実現し、狙いたいターゲットに波及できたことは大きな成果でした。また私がNEW STANDARDさんとの取り組みで印象に残っていることは、左脳的な数字のやりとりだけではなく、デザインや音楽を含めた遊び心の部分など、右脳的な側面も徹底的に一緒に作り込めたことです。チームとしても総合的に満足度が高かったです。

NS進:デジタル上の定量的なKPIへのコミットはもちろんなのですが、コクヨさんの社内やバイヤーさんとの会話のなかでも銭湯コラボの話題が上がったと伺い、そういったリアルな反応を聞くと、改めてやって良かったなと感じます。

NS進藤:リツイートが主な指標ではあったのですが、ユーザーに第一想起してもらうためには、数だけではなくどれだけ深い関心を持ってもらえるかにもこだわりました。しっかり感想が入っている投稿を増やすなど、良質なUGCを生む設計にできたことが、そういった評判形成に繋がったのかもしれませんね。

——今後NEW STANDARDとの取り組みに期待することや、やってみたいことはありますか?

コクヨ柴田:「コクヨって、なんかおもしろいことをしているな」ということを伝えていきたいんですけど、私はNEW STANDARDもおもしろくて尖っている会社だと思っているんですね(笑)。だからこそ、他にもたくさんおもしろくて一風変わったクライアントさんをお持ちだと思うので、コクヨを含めた3社でコラボやなにかお取り組みができると良いなと思っています。おもしろい企業同士が繋がる機会をぜひお願いします。

NS進藤:ありがとうございます。今回の取り組みを通して改めて感じたのは、柴田さんご自身も左脳的でロジカルな部分もありながら、右脳的な「おもしろい! かわいい!」といったトキメキもすごく大事にしているんだなということでした。今回のような「話題化プロモーション」はロジックだけでも難しいですし、もちろんトキメキだけでもうまくいかないので、その両面性が大事なんだなという学びがありました。

——お互いがお互いのことを「左脳的であり、右脳的である」と捉えているのが、とてもバランスのいいワンチームだなと感じました。貴重なお話をありがとうございました。ぜひまたご一緒できますことを楽しみにしています。

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