2023年4月、NEW STANDARDではオーストラリア政府観光局とともに、オーストラリア観光誘致のためのオンラインプロモーションを担当しました。
本施策では、「G’Day(グッデイ)」という挨拶に象徴されるオーストラリア人のカジュアルでフレンドリーな気質を伝えるべく、プロモーションコンセプトを「誰もがローカルになれる!誰もがローカルを楽しめる!」と置き、全体のプロモーションを設計しました。
ここでは、オーストラリア政府観光局デジタルマーケティング担当の菊池卓也さんをゲストにお迎えし、NEW STANDARDのCX Designer村上トニー、Business Producerの関夏織と振り返りたいと思います。
「毎回、ミーティングをするのが楽しみでした」
——改めて、今回のプロジェクトについて教えてください。
NEW STANDARD(以下:NS)関:2023年、観光地としてオーストラリアを選んでいただきたいというメッセージを伝えるため、オーストラリアのフレンドリーな挨拶「G’Day(グッデイ)」を体験してもらうデジタル上のプロモーション設計と運用までをトータルで実施しました。具体的なアウトプットとしては、弊社が運営するライフスタイルメディア「TABI LABO」でのタイアップ記事や、SNS用の動画・静止画制作、YouTube動画制作も行いました。また「旅の上級者」をターゲットにしていたので、定番のスポット紹介だけではなく、旅慣れた人向けにテーマやスポットを設定した点は本プロモーションの特徴と言っていいかと思います。
TOURISM AUSTRALIA(以下:TA)菊池:まさに今回のプロモーションにおいては「G’Day」がキーワードでした。G’Dayはオーストラリアオリジナルのものであり、ハワイでいうAlohaと同様にオージー(オーストラリア人の愛称)の人柄を表す合言葉です。今回のマーケティングキャンペーンでは、特にG’Dayという親しみやすいキーワードでフレンドリーな雰囲気を演出し、そこから旅先の会話が始まっていくというコンセプトを大切にしたかったのです。日頃から「TABI LABO」を運営しているNEW STANDARDさんなら、我々が表現したい世界観をカタチにしていただけそうだと感じていました。
——今回のお取り組みを通じて、一番印象に残っていることはなんでしょうか?
TA菊池:「楽しい仕事ってこういうことだな」と思えたことです。つまらない仕事だったらミーティングにも出たくなくなるじゃないですか(笑)。今回のNEW STANDARDさんとの取り組みでは定例のミーティングが楽しみでしたし、毎回「こういうふうにやろうよ」とディスカッションが盛り上がったのも印象的です。個人的に日本ではディスカッションが難しいなと感じることが多いんです。意見を言うと相手が「否定されてる」と感じてしまうこともある。でもこのプロジェクトではそういうストレスが一切なく、僕がクライアントとして率直に意見を言っても、プランナーのトニーさんが「でもこう思うんです」と、さまざまなアプローチを提案してくれて、しっかりディスカッションしながら進めることができました。クライアントとベンダーという関係性ではあっても、同じゴールに向かって一緒に設計していこう、という良い関係性が作れました。
NSトニー:ミーティングを通して、毎回しっかり議論をアップデートさせることを意識していました。たとえば、企画が始まった当初は「現地で暮らしてる日本人にフォーカスしましょう」という話だったんです。でもそこから「いや、本当にローカルな方を取り上げたほうがいいんじゃないか」などアイデアが変化していきました。そうなると当然アサインや取材のハードルが上がるわけですが、そこでもチームで1つひとつ解決案を出していき、建設的な「足し算」ができる場にしました。
TA菊池:メール中心のフォーマルなやりとりだけではなく、Slackを活用して、常にカジュアルな会話量を増やしたこともポイントかなと思います。NEW STANDARDさんから「これは◯◯ということですよね?」と聞かれたことに対して僕は意思決定する立場ですが、みなさんの質問力が高く、やりとりのなかでクイックに意思統一が図れたことが大きかったです。
「ローカル×人軸」にフォーカスし、動画完全視聴率は予想の5倍を実現
——記事と動画の連携においてはどのような狙いがあったのでしょうか?
TA菊池:ホリスティックなマーケティングコミュニケーションがしたいと考えていました。オージーが軽い感じで「おいでよ!」と紹介するような空気感は動画を通じて伝えたかったですし、その流れから記事を読んでさらに詳細を知っていただく、という住み分けができたことが良い成果に繋がったと感じています。
NSトニー:大きかったのは、プロジェクトの序盤で「記事と動画の目的(KPI)をしっかり分けましょう」と目線を揃えられたことです。記事は、LPへの遷移。動画は、G’Dayの空気をしっかり感じてもらうこと。結果的に両面の目的が果たせたと思います。もしも動画からの遷移もしたい、完全視聴も狙いたいなど複数の狙いがあったら、「とりあえずショートにしましょう」など、まったく別の作りになっていたはずです。しかしその目的がしっかりディスカッションできていたので、観ていただいた方の高い満足度に貢献できたのかなと思います。
NS関:動画の完全視聴率については、当初の想定よりも5倍ほど高い結果となり、3分以上ある動画であってもしっかり読者の方に見ていただけたのかなと思います。オージーの地元っ子たちの「G’Day」な空気感が伝わる動画になってますので、ぜひ見てみてください。また記事やSNSクリエイティブも複数クリエイティブを運用し、成果が出やすいキーワードも見えました。たとえば「地元っ子が教える」という今回の企画に沿ったタイトルを含んだものは他のクリエイティブと比べて数倍のCTRになるなど、今後のラーニングポイントにもつながる施策となりました。
——今回のプロモーションでは「ローカル」が1つのテーマになっていましたが、その背景やこだわりについて詳しく教えてください。
NSトニー:じつは昨年もオーストラリア政府観光局のプロモーションをお手伝いしたのですが、そのときは「訪れる人」を軸に展開しました。今回は同じ人軸でも「ローカル」にフォーカスしました。というのも、オーストラリアってそもそもコンテンツが豊富なんですよね。しかも1つひとつが強い。なので人軸にしなくても成り立ってしまうんですが、コンテンツが多いからこそ、どういう切り口で、誰に語ってもらうかが重要だと考えたんです。ローカルというテーマのなかでも、誰に取材するか、何を教えてもらうのか、にはこだわりました。
参照:ローカルを知ればもっと楽しい! いま「オーストラリア」へ行くならここだ(TABI LABO)
——記事を見ると、本当にローカルな、言葉を選ばずにいうとマニアックな場所も紹介されてますが、オーストラリア政府観光局としては「さすがにもっとメジャーな観光地も入れてほしい」とはならなかったのですか?
TA菊池:まったくなかったですね。我々にとっても今回は「ローカルの人を起点にする」というのが1番でした。本当にフレンドリーで人懐っこいオージーの目線を通して伝えることを何より優先すべきだと考えていました。もちろんオーストラリアには絶景や観光スポットなどコンテンツが豊富にありますが、それらはソーシャル上にもすでにたくさんありますし、過去のプロモーションで何度も挑戦してきました。なので今回はブレることなく、フォーカスすべきはローカルだと判断できました。おそらくみなさんも知らない土地へ行ったとき、友人や地元の人が熱意をもって勧めてくれたお店に行きたくなると思うんですよね。それが今回のプロモーションの軸でした。
NSトニー:取り上げているスポットはローカルなんですが、じつはいずれもシドニー、メルボルン、ゴールドコーストと、行きやすい都市にしているんです。ただマニアックなだけではなく、あくまでもまだ知られてない本当にローカルの魅力的な場所で、かつアクセスしやすいところを紹介できたのがポイントかなと思います。
「それぞれに役割がありながらも、ボーダレスなチーム感が心地よかった」
——NEW STANDARDとの取り組みのなかで感じた特徴があれば教えてください。
TA菊池:ワンチームになりやすかったことでしょうか。これまでも色々な企画やプロジェクトをやってきましたが、どうしても会社同士の付き合いになるし、そこにボーダーがあるんですよね。NEW STANDARDのみなさんとは、そのボーダーを超えて1つのチームになりやすいなと感じました。振り返ってみても、同じゴールに向かってどのようにそのプロジェクトを成立させようか、という目線のすり合わせがしっかりできたことが大きかったなと感じます。
——今日は貴重なお時間いただきありがとうございました。ぜひまたご一緒できますことを楽しみにしています。
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