前回は記事広告の価値についてお伝えしましたが、今回は『TABI LABO』が独自に展開する特集(動画×記事)広告の提供価値について、改めて考えてみました。
NEW STANDARD代表の久志尚太郎、ビデオディレクター・石井壮太郎、編集者・大嶋健司の3名が事例を振り返りながら、その価値を語ります。
参考記事:「記事広告ってどんな効果があるんですか?」『TABI LABO』が6年間の制作で考えてきたこと
動画と記事を
かけ合わせることの強み
──『TABI LABO』では特集記事のフォーマットを開発すると同時に、クライアント向けの商材としても展開していますよね。なかには、動画も制作したリッチなコンテンツが多いです。このフォーマットの開発経緯から教えてください。
久志:前回、記事広告がマーケティング・ファネルのなかに位置づけられた変遷についてお話しました。
その観点から考えれば、動画、記事、イベントなどを複合的に展開すると、認知や理解などの点からユーザーにブランドの魅力を伝えられます。それに私たちの会社にはBPMというイベントスペース&カフェもあり、動画広告、記事広告ととも複合的に訴求できる手段を持っているのが強みのひとつなんです。
久志:動画と記事は相互補完の関係にあると思います。
動画はそのブランドの世界観や空気感を演出しやすく、ユーザーは感覚的に情報を受け取れます。一方で、記事はブランドの価値を論理的に説明し、理解を促すもの。
動画、記事単体よりも掛け算してブランドの魅力を伝えることが、インターネットメディアや広告において効果的だと考えているんです。
石井:日常の動画制作の現場では、動画内でプロダクトの機能説明をしなければならないケースも存在します。しかし、この特集フォーマットではブランドの世界観や雰囲気にフォーカスして伝えることができるのが強みですね。
大嶋:そうですね。ビジュアルを動画が担保し、世界観を引っ張ってくれるので、記事ではユーザーがプロダクトの理解を深める部分を担っています。
──動画や記事を単体で観るケースでも、ブランドの価値を理解できるのでしょうか?
石井:『TABI LABO』の特集コーナーから入ってくるユーザーもいれば、各記事から特集全体のことを知る方もいるので、ある程度の余白や選択肢は残しています。それぞれの記事や動画がもつ強度はそのままで、かけ合わせたときにより効果が出るように工夫しています。
──訴求効果を計測するための指標はどのように考えていますか?
久志:もちろんカスタマージャーニーを設計しますが、それ通りに人が動かなくてもよいと考えています。マクロな観点で言えば、クライアントのブランドにおけるさまざまなマーケティング施策が存在し、そのなかに『TABI LABO』に掲載する記事や動画は位置づけられますよね。
私たちの特集の強みは、『TABI LABO』というメディアにしかできないことに挑戦しつつも、ブランド価値のアップデートを提案していること。
そのコンテンツこそが新しいブランドの価値を体現するものであり、ブランドサイトに載せても遜色がないクオリティに仕上げています。例えば、レクサスやエドウインの案件では、クライアントのブランドサイトにも私たちがメディアを通じて企画制作したコンテンツが、ブランドコンテンツとしても掲載されています。
『TABI LABO』の世界観を踏まえながら
ブランド価値をアップデートしていく
──具体的な制作事例についても聞きたいのですが、大塚製薬と制作した「イオンウォーター」の特集がありますよね。
【特集】EVERYDAY PURE SWEAT with イオンウォーター
久志:ブランド価値を新しい基準や価値観で捉え直し、新しい価値を表現した事例ですね。
これまでスポーツって、競争してうまくなるための競技という認識だったと思うんです。しかし、現代において心と身体のコンディションを整えるために運動をしたりスポーツをする人が多い。運動やスポーツをして汗をかくことは、人々の心や体の充足感につながる、つまりマインドフルネスやウェルビーイング向上に貢献する。単純に運動やスポーツを競技の延長線上とどらえるのではなく、運動やスポーツを通じて汗をかくということの、新しい価値を再提案したんです。
大嶋:久志の話を聞いたときに、新しいブランド価値を記事で表現するのはなかなか難しいと思ったんです。ただ、久志がタグラインを整理し、「-ありのままを好きになる- EVERYDAY PURE SWEAT」というメッセージが浮かび上がってきて、突破口が見えてきました。
大塚製薬の公式サイトに「サウナといえばイオンウォーター」という記事が掲載されているように、もともと「ととのう」ためのドリンクとして認知されていたのが、イオンウォーターです。「サウナドリンク」という異名もあるように、イオンウォーター自体はサウナと相性が良い。
今回の記事では4名のインフルエンサーの方に話を聞いたのですが、本田直之さんと徳谷柿次郎さんはサウナ好きで、3月7日の「サウナの日」に記事公開を合わせたり……。それだけではなく、日常的に汗をかく気持ちよさを知っている方──ヨガやランニングなどを通じてコンディショニングを整える工夫をしている方にインタビューしていきました。
石井:動画の場合も発想の起点は同じです。タグラインが出てきたなかで、ロケーションや音楽を考えていきました。ロケに行く前に久志に言われたのは、「気持ちいい動画にしてくれ」ということ。先ほども話しましたが、記事と動画の補完関係を考え、動画では世界観を伝える表現に思いっきり振り切ったんです。
ただ、当然のことながらイオンウォーターのテレビCMとは動画のトンマナが異なります。どちらかと言えば、『TABI LABO』の世界観で勝負しています。
これまでスクラッチでつくってきたのでまだ言語化ができていない部分も多いのですが、ミレニアルズが動画を観たときに、心地よく感じられる点を意識していますね。テレビよりも、スマートフォンで観たときにしっくり来るというか。ひとつのカットが長すぎずに次に入っていける没入感などですね。
──特集フォーマットの案件で言えば、レクサスと制作したものは「LIFEGENIC」がコンセプトでしたよね。
【特集】僕たちが“旅”を続ける理由 LIFEGENIC Journey
久志:「LIFEGENIC Journey」というコンセプトをいただいた上で、ぼくが考えたのは「ラグジュアリー」のアップデートでした。現代において、ラグジュアリーとは単に値段が高く、高級なものを指すのではないと考えています。ラグジュアリーとは知的好奇心を刺激し、自身の五感を見拡げていく体験にシフトしているのではないか、と思うんです。
「自分らしさ=これからのラグジュアリー」と定義し、ミレニアル世代のクリエイターとともに、「自分らしく生きる」ことを探求しました。
石井:動画に出演いただいたもともと仲の良い三人、宮崎のローカルの人、宮崎がもっている空気感を映像に閉じ込めることを意識しました。「北海道」や「沖縄」といったわかりやすい観光地ではないからこそ、実際に自分たちが旅に同行し感じとった生の感覚を映像にしようと心がけましたね。レクサスの車の映し方も広告っぽくなりすぎないトーンで、彼らの旅の工程に自然と出てくるのを心がけています。
久志:私たちは、クライアントやブランドのオーダーに応えるべく、記事×動画だけではなくリアルイベントやツアー、冊子などのコンテンツも含めて、スマホを起点にした、トータルプロモーションも企画制作しています。デジタルコンテンツやマーケティングは年々かなり複雑化していると思いますので、クライアントのパートナーとして認めていただけるように今後も頑張っていきたいと思います。
記事内で紹介した事例以外にも、『TABI LABO』では特集ページを起点とした様々なプロモーションを行なっています。企業やブランドの従来の価値を新しい基準や価値観で捉え直し、『TABI LABO』独自の世界観と掛け合わせながら、クリエイティブやコミュニケーションを創造しています。
【特集】EDWIN|エキシビジョン“MADE BY EDWIN”
エキシビジョン「The LIVE -MADE BY EDWIN-」と連動し、エドウインのクラフトマンシップの価値を伝える一連の記事や動画を束ねる特集ページを企画。ジーンズのもつ価値を「クラフト」の視点から捉え直し、秋田県と青森県の自社工場で働く職人たちの「クラフトマンシップ」に焦点を当てました。
【特集】沖縄で過ごす、ディープな1日
『TABI LABO』が手掛ける「JAPAN LOCAL」では、地域の魅力をスマホ世代に届けるディープシティガイドを多数制作。その特集のひとつが、沖縄。青い海や白いビーチといった従来の魅力にとどまらない、沖縄のディープな側面をお届けしました。