「親子消費」という言葉から、何を連想するでしょうか? かつては、親が子どものために買い与える「教育」や「プレゼント」がその中心でした。しかし今、その力学が変化しています。
ミレニアル世代の親と、その子どもであるα(アルファ)世代。この両者がフラットに価値観を共鳴させ、まるで親友のように同じトレンドを熱狂的に享受しているシーンを見かける機会が増えているのです。この新しい “ニコイチ消費” のあり方を、ミレニアル+アルファで「ミレニアルファ消費」と定義しました。
なぜ今、世代を超えた「親子間での共鳴」が起きているのか。その背景と象徴的な事例から、マーケットの変化を読み解きます。
ミレニアルファ消費:「一方向」から「双方向」へ。世代を超えたフラットな関係性
ここでは「ミレニアルファ消費」を、1980〜90年代に生まれたミレニアル世代の親と、2010年以降に生まれたα世代の子どもが、共通の趣味や価値観に基づいて行う共同消費のことを指します。
最大の特徴は、消費の主導権がどちらか一方にあるのではなく、「双方向の共感」によって駆動している点にあります。親がかつて親しんだコンテンツを子どもが「レトロで新しい」と再発見し、子どもが見つけてきたトレンドに親が共感して経済的にサポートする、といった動きです。
そこには、これまでの「保護者と被保護者」という関係ではなく、同じ「好き」を共有するパートナーシップが存在しています。

なぜ今、ニコイチ消費が注目されるのか。「デジタルネイティブ」という共通言語
この現象の背景には、両世代が持つ「デジタルへの親和性」と「自分らしさの追求」という共通のDNAがあります。
・価値観のシンクロ率:ミレニアル世代は多様性や自己表現を重視して育った世代のため、自分の子どもに対しても「親の価値観を押し付ける」のではなく、「一人の人間としての感性」を尊重する傾向があります。
・SNSによる情報のフラット化:TikTokやYouTubeなどのプラットフォームを通じて、親子が同じタイミングで同じトレンドに接触します。情報の時間差がなくなったことで、「親子で同時にハマる土壌」が整っているのです。
・「推し」の世襲化:自分の好きなものに情熱を注ぐ「推し活」を肯定的に捉える親が、子どもと一緒にライブに行ったり、グッズをコレクションしたりすることを、家族の重要なコミュニケーションの1つとして位置づけるケースが増えています。
象徴的な「ミレニアルファ消費」の事例
では、具体的にどのような消費の連動が行われているのでしょうか。
・「たべっ子どうぶつ」に見るニューレトロの合流
親にとっては懐かしいお菓子が、α世代にはそのポップなビジュアルから「キャラクター」として再定義されました。親子でアパレルや雑貨を身につける現象は、ノスタルジーと新鮮さが合流した事例と言えます。
参照:Z世代リサーチャーと考える、お菓子における新しい文脈と「意味のイノベーション」事例
・ただの付き添いではない。親子でライブ・イベント参戦
特定のアーティスト(例:TikTokで話題のアーティストやK-POPグループなど)を親子で追いかけ、一緒にライブ会場や映画館へ足を運ぶ現象です。SNSでは、親子でダンス動画を投稿したり、共通の推しについて語り合う姿も見られます。また近年の歌番組の構成やコラボレーションもこれらを意識していることは間違いありません。
・シェアを前提とした美容・ファッション
「これはママのもの、これは子どものもの」という境界線が溶け、親子でシェアできるジェンダーレス・エイジレスなコスメやシャンプー・トリートメントなど、ブランドのコンセプトを共有することも支持されています。
これからの親子消費に求められる視点。「ファミリー向け」という括りからの脱却
「ミレニアルファ消費」を捉える上で重要なのは、従来の「子どもだまし」の終焉とも言えるかもしれません。これからのプロダクトやサービスには、子ども向けにレベルを合わせるのではなく、「大人も子どもも一人の熱狂的なファンとして満足させるクオリティ」が求められます。
親と子ども、それぞれの文脈で「自分たちのことだ」と感じられるストーリーをどう設計するか。その接点にこそ、これからの時代の新しい熱狂が生まれるはずです。
「ミレニアルファ消費」は、単なる一時的なブームではなく、家族間での消費が「共創」へとシフトした結果なのではないでしょうか。この新しいパートナーシップによる消費行動を理解することは、2030年に向けた新しいスタンダードを理解することにも繋がるでしょう。

