街を歩くとふと出会う、バッグが見えなくなるくらいまでぶら下げられたキーホルダーや、スマホに重なり合う、ステッカー、ビーズ。
チャームやアクセサリーのお店は、いつしかお出かけの目的地になるほどのトレンドになりつつあります。ジャラジャラと音が鳴るほど(ある意味で雑多に、無秩序に)装飾されたこのムーブメントには、どのような背景があるのでしょうか。
「ジャラ活」について深堀りしていきたいと思います。
不況とカスタムカルチャーの関係性
ミニマリズムのような引き算の美学とは異なる「ジャラ活」。なぜZα世代は「足し算」に惹かれるのでしょうか。
・トレンドの影響
2024年頃、MIU MIUやバレンシアガが披露した「バッグへのじゃら付け」が発端。美しさへの「スパイス」ともいえるスタイルが、SNSを通じて等身大なカスタムカルチャーへと波及。
・物価高への抵抗:
新しいバッグを次々と買うのが難しい経済状況下で、装飾をアップデートする手法が定着。比較的手に入れやすい価格のパーツを重ねて、日々を新鮮に。
・自分だけが分かる正解の希求:
SNSやAIが提示する正解ではなく、自分だけが分かる、一見無秩序な「ジャラジャラ」に癒やしと満足感を求める傾向。偏愛を束ねることで、自分なりの世界感を確保。
バッグやスマホだけじゃない「ジャラ活」
・カスタムキーリング:
新大久保の「lattencos」のような専門店で何百種類ものパーツからときめきで選んで、自分らしい等身大な価格帯でカスタマイズ。世界に一つだけの組み合わせを完成させるワクワク感あり。
・イタリアンチャーム:
ブレスレットとしてだけでなく、バッグや時計のストラップに「じゃら付け」する90年代リバイバル。一つひとつのコマに刻まれた記号や思い出を繋ぎ合わせたり、自分だけの履歴を持ち歩く感覚も。
・デコボールペン:
文房具もジャラ活の対象に。実用性のあるボールペンに、あえてデコラティブなパーツを盛り、特別な自分仕様に変えるトレンドも。
なぜ「ジャラジャラ」させたいのか
これまでもデコレーションやカスタムトレンドは何度もありましたが、どちらかというと世界観を統一したり、自分のファッションや好みに合わせて「センス良く見せる」ための一種のスタイリング作業でした。一方で現代の「ジャラ活」の特徴は、まるで整合性を求めていないように見えることです(少なくとも他人からは!)。
手持ちのアイテムに「今の気分」や「どんどん増えていく推し」をレイヤー状に重ねていきます。そうして生まれたバラバラなチャームたちに、たとえカオスであっても、多面的で唯一無二な「自分自身」を投影しているのです。
その時々の記憶をアイテムとして残しながら持ち運ぶことは、精神的な安心感にも繋がっています。「愛着」を物理的に束ねることで、ふと気を抜くと忘れてしまいそうな自分の個性を無意識のうちに守ろうとしているのかもしれません。
リサーチャーの視点:「履歴」を身につけることが自己肯定に
「ジャラ活」をしている人たちのバッグは、まるでその人の「人生の地層」のようです。 週末にショップで作ったアクセサリーの隣に、10年前から持っているお気に入りのキーホルダーが並んで、その隙間は親友からもらったお土産のチャームで埋まっている、なんてことも。
効率やタイパが重視される社会で生きながら、整理できない「思い出」をすべて持ち歩くこと。それは、過去の自分も、今の気分も、バラバラなまま全部連れて歩きたいという、自己肯定感に近い「優しさ」とも言えるではないでしょうか。
「それ、何がついているの?」と聞かれたとき、一言では説明できないくらいの思い出が詰まっていることもあるでしょう。小さな “物語” をジャラジャラまとめていくことで、誰にも真似できない自分だけのときめきや可愛いを表現できることが、Zα世代のこだわりのようです。


