「今回の飲み会、来なくてもよかったかな……」「プレゼント交換、控えてもいいよね……」そんな風に感じたことはないでしょうか。
じつは今、海外発の考え方で「フレンドフレーション(Friendflation)」という現象が起きているようです。略して「フレフレ」というキーワードで紹介されることも。
「友達(Friend)」と「インフレ(Inflation)」を掛け合わせたこの言葉。私たちが直面している、友情を維持する「コストの高騰」についてどう向き合い、サバイブしていくべきかを一緒に探っていきましょう。
なぜ、友情を維持するコストが高騰しているのか
それは単に「コーヒーが100円値上がりした」というような物価の話だけではないようです(もちろんそれもありますが……)。もう少し詳しく見ていきましょう。背景には、現代特有の3つのコストが潜んでいそうです。
・経済的コスト:
外食、イベント、チケット代、移動費。かつての「ちょっとお茶しよう」が、今や数千円の出費になることも珍しくありません。
・時間的コスト:
どの世代にとっても時間は有限ですが、とくにMZ世代にとって「移動時間」や「ただ集まるだけ」の時間はコストが高い投資になりつつあります。無駄な失敗はしたくない(=タイパを重視)しているからこそ、付き合いをシビアに見極めるようになりつつあります。
・心理的コスト:
意外と大きいのがこのコスト。マッチングアプリなどを通じた「初対面の相手と会ってはリセットする」という効率的な人間関係に慣れすぎて、ゼロから関係を築くプロセスに疲れている人が増えています。
無意識のうちに「友情の断捨離」が始まっている
上で紹介したような、経済的/時間的/心理的コストの高まりにより、MZ世代の人間関係には変化が起きています。また、それらが自然発生的にグラデーションで起きているので、無自覚な人が多いのも特徴的です。
・付き合いの選別:
すべてのお誘いに乗ってしまうと経済的な破産は心理的な疲弊が嵩んでしまうため、優先順位の低い集まりから疎遠になる動きが加速しています。
・経済格差による疎外感:
収入や実家の事情などの経済力の差が「誘いづらさ」や「断りづらさ」を生んでいます。結果的に似たような金銭感覚の人同士で固まらざるを得なくなります。
・マチアプ的な人間関係の弊害:
マッチングアプリで条件を絞るように、友達も自分と趣味や経済レベルが合う人だけを選別するようになり、価値観の異なる友人と付き合い続けるコスト(忍耐や調整)が払えなくなってきています。
・NOと言えないプレッシャー:
仲間外れを恐れて、自分にとってはリッチなグループ旅行に無理して参加し、あとからカードの支払いに追われる……なんてことも。メンタルへの悪影響も無視できません。
現代の人間関係をサステナブルに続けるヒント
と、このようにまとめいくと、なんだか世知辛い世の中になってしまったような印象を抱くかもしれませんが、お金や時間の余裕がなくても、合理的かつ誠実なアプローチでスマートに「繋がり」を維持することだってできるはずです。
まず「お金をかけないこと」を創意工夫のチャンスと捉え直す「ローコスト・ラグジュアリー」の視点を持つことが大切です。例えば、高価な外食に頼る代わりに、手頃なデリを持ち寄ったり特定のテーマで食べ比べをしたりと、工夫次第で日常を非日常なコンテンツへと変貌させることができます。カフェに座る代わりにコーヒーを片手に長めの散歩を楽しむといった消費に依存しない過ごし方は、心理的な満足度を高める新しい贅沢の形となります。
また、こうした関係性を維持するためには「お金と時間の透明化」をマナーとして定着させることが欠かせません。予算やタイパの話をタブー視せず、「今日は予算3,000円以内で楽しみたい」と正直に伝えたり、あらかじめ解散時間を共有することは、自分と相手の双方に対する誠実なスタンスとも言えます。断る際も「家飲みにしない?」といった代替案を添えることで、角を立てずにサステナブルな関係性を築けます。
また、効率が重視される現代だからこそ、あえて目的を持たずに集まったり、ただ同じ空間で別々の作業をするといった「何もしない時間」を共有することは、即物的な楽しさを求める現代に対するちょうどいい解毒剤となります。
さらに、デジタルとリアルを使い分ける「ハイブリッドな交流」を取り入れることで、心理的・経済的なコストを分散できます。普段はプレイリストの共有やオンラインゲーム、ビデ通などで細く長く繋がり、リアルの時間を「ご褒美」として位置づけることで心地よいメリハリが生まれます。
集まる目的そのものを「消費」から「活動」へとシフトさせることも有効です。スポーツや読書会、ボランティア、あるいは公共施設を使った学びの場など、飲食代への依存度が低い活動を軸に据えることで、経済的な負担を抑えながら、深い結びつきを得ることができるでしょう。
リサーチャーの視点:これからの豊かさは「正直さ」にあるのかも
友人関係において、たとえば「見栄」のために背伸びをする時代は終わりを迎えつつあります(価値観としてもそうですし、現実的に対応できない、というケースもあるでしょう)。
だからこそ、これからの時代に本当に価値があるのは、お金がない時や疲れている時に、それを正直に言えて、それでも変わらずに隣にいてくれる関係ではないでしょうか。飲食店に入らずとも、公園のベンチでお菓子を食べながら「最近疲れてるんだよね〜」と本音をこぼせる——低燃費だけど高純度な友情を育もうとする姿勢が「フレンドフレーション」の根底には流れている気がします。
当たり前かもしれませんが、友情は、投資や取引ではありません。今の関係性をお互い無理なく続けていける新しいスタンダードを模索してみてください。
一方で、無理して自分を演じるコストはカットして、その分、素の自分でいられる友情や時間を増やしてみることは、未来の自分への投資にもなるのではないでしょうか。


