2020年代の新しい基準や価値観で従来の価値を捉え直す──。そんなテーマでスタートした本連載。第2回目では、結婚式やメイク、購買活動などの価値のアップデートを紹介しました。
2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)策定から5年が経ち、世界の方向性を指し示すアジェンダが、日本の社会に、企業やブランドのコミュニケーションを通して私たちの暮らしまで、浸透し始めています。
また、新型コロナウイルスに伴う感染症「COVID-19」によって、私たちが生きる社会は大きな変化を迎えることになります。その世界において重要なのは、いま現在、世界中で生まれている新しい基準や価値観をまずは理解すること。そして、既にある価値を変えようとするのではなく、新しい基準や価値観で従来の価値を捉え直すフレームワークが鍵になると考えています。
今回は、ビールからオフィスの未来まで、2020年代の価値観を紐解いていきます。
ノンアルコールバー「0%」や「Bar Straw」などが登場するなど、ノンアルコール市場に注目が集まっています。
今年の8月21日に発売されたクラフトノンアルコールビール「昼ビ」は、ランチタイムやリモートワーク中のリフレッシュのために「昼に飲むビール」を提案しています。「ビール」と言えば、これまでは仕事終わりに飲むものでしたが、”飲酒シーン”が夜から昼へ拡張しつつあるのです。ノンアルコール市場の拡大は、この動きを後押ししていくことでしょう。
<関連記事>
▶︎お昼を解放する、新しいクラフトノンアルビール「昼ビ」
▶︎日本初の完全ノンアルコールバー「0%」が六本木にオープン。内装にも注目!
新型コロナウイルス感染症により、さまざまな企業がリモートワークを推進するなかで、当然ながらオフィスの価値も変わりつつあります。
NEW STANDARD社ではデザインシンキングのアプローチを活用し、「生産性と創造性を最大化するオフィスづくり」に取り組んでいます。
その結果として、オフィスを「人と人が交わる場」として再定義しました。ハードウェアの面では、オフィスフロアの中央にキャンプファイヤースペースをつくったり、本は家でひとりでも読めるからライブラリースペースを思い切って撤去したりと、さまざまな施策のプロトタイプを行なっています。
出社とリモートワークを使い分ける時代において、オフィスの意味もますます問い直されていくでしょう。
<関連記事>
▶︎「働く場所」から「人が交わる場所」へ。デザインシンキングを活用した、オフィス&カルチャー再編プロジェクトの全貌 vol.1 (ニュースタ!)
ものの「所有」についても、価値観の変化が起き始めています。これまで注目されてきたのは、いかにものを所有しないかという考えを突き詰めた「ミニマリスト」でした。
しかし、自然災害や経済恐慌などによる“世界の終末”に備えるべく、食料を備蓄したり核シェルターをつくったりする「プレッパー(Prepper)」と称される人々に注目が集まるようになりました。
今回の新型コロナウイルス感染症によっても、トイレットペーパーの買い占めなどが発生しましたが、この世界規模のパンデミックはプレッパーの増加を後押ししていくことになるでしょう。
<関連記事>
▶︎ 終末を恐れて準備するプレッパーの生き方は、楽観主義の意義を問う
これまでの労働では「感情的にならないこと」が重視されてきました。「アンガーマネジメント」が注目されたように、「怒り」の感情はコントロールするべきものとして捉えられてきました。
近年、心理的資本という言葉が取り上げられるようになってきました。心理的資本とは、一人ひとりがもつポジティブな心のエネルギーで、積極的な反応や自律的な目標達成を促すエンジンになるものであり、業績に影響するという研究が出ています。仕事を創造的に進めていくうえでは、ポジティブな感情を活かしていくことが重要になってくるわけです。
<関連書籍>
▶︎こころの資本
無地のTシャツと言えば、カジュアルな印象が強かったと思います。しかしながら、新型コロナウイルス感染症によるリモートワークの推進も背景に、“フォーマル”のあり方が見直されようとしています。
そんななか、ナノ・ユニバースは「ジャケットの中に着るためのTシャツ」をリリース。これまでカジュアルの代名詞であった無地のTシャツを、オフィスシーンまで拡大しました。
<関連記事>
▶︎ ジャケットの中に着るためのTシャツ3選
NEW STANDARDでは、新しい基準や価値観で従来の価値を捉え直すフレームワークを活用しながら、社会のさまざまなトレンドの裏側にある変化を考察していきます。次回も、ぜひご期待ください。