ミレニアルズ及びZ世代に関する調査・研究をおこなう「NEW STANDARD THINK TANK」が、いま注目するZ世代に関するキーワードを解説していく本連載。第10回でご紹介するキーワードは「〇〇コア」。2022年は「バービーコア」「バレエコア」などの「〇〇コア」なファッションがSNSやインターネットを中心に話題になりました。2023年はファッションの観点だけでなく、新たなジャンルの「〇〇コア」が登場し始めています。今、Z世代が注目する「〇〇コア」について紐解きます。
「〇〇コア」とは
あるジャンルの末尾につける単語のことで、独立させた新たなサブジャンルを作りたいときやあるグループ（同じ興味関心の集団）の一員だと示したい時に使用する言葉を指します。
以前から“ハードコア”などの言葉は使われていましたが、特定のジャンルを総称する言葉としては“〇〇系”が多用されていたかと思います。例えば、原宿系やサブカル系などといったジャンル分けの仕方が流行していました。近年では、〇〇系などの総称の仕方と同様に、あるジャンルの末尾につけ、そのジャンルをまとめる総称として「コア」という言葉が海外を中心に盛り上がりを見せています。言葉にはできないけど特定の雰囲気をまとめて共感を得られるようにするといった、概念をまとめる総称としても用いられています。
「〇〇コア」の具体的な事例
＞＞ 2023年、さらに加速する？
＞＞ ファッションから見る〇〇コア「バレエコア」
「バレエコア」とは、ファッションにおけるカテゴリの一つで、バレリーナのようなアイテムを意識したファッションやバレリーナのライフスタイルを真似たり、取り入れたりすることです。「BLACKPINK」のジェニが取り入れたことをきっかけに、韓国で話題になり、Z世代を中心に今注目され始めています。
過去にもバレエやバレリーナにインスパイアされたファッションは数多くありましたが、最新の「バレエコア」は、バレエシューズ風のシューズにレッグウォーマーを合わせたスタイルや、バレリーナの練習着のような実用的且つ機能性を兼ね備えたアイテムやスタイルを含んでいます。ステージでバレリーナが着用するような、華やかなバレエ衣装とは異なり、バレエ教室帰りのようなリラックス感を演出するのが、最新のバレエコアを取り入れる上でポイントになっています。
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＞＞ まるでバービー人形のような全身ピンクのスタイル
＞＞「バービーコア（Barbiecore）」
近年、海外セレブの間で「バービーコア（Barbiecore）」がビッグトレンドになっています。名前の通り、全身ピンクで着飾ったバービー人形にインスパイアされたスタイルです。2022年秋冬コレクションに「ヴァレンティノ」がピンク一色の鮮烈なコレクションを発表し、ピンクがトレンドカラーの筆頭になりました。そのトレンドを後押しするかのように、2023年8月に公開される映画『バービー』から、マーゴット・ロビー演じるバービーのファーストルックが解禁。本格的に「バービーコア」の波がトレンドになっています。
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＞＞ TikTokで大流行のディストピア動画「#corecore（コアコア）」
TikTokで大流行のディストピア動画と言われている「#corecore（コアコア）」は、“脱構築アートの一種で、内省的なコンテンツ”を指します。
「#corecore」は、動画や画像などの様々なビジュアルのクリップを合わせることで、じつは思っていたけど言葉にできない感情を引き出すコンテンツです。
動画ごとにテーマは様々ですが、「現代社会の辛さ」をテーマにした内容や「ルッキズム評価」に焦点を当てている内容、他にも「学校、会社へ行きたくない。人生に疲れた。」など、資本主義の中で生きる辛さを訴えるcorecore動画などもあります。一見暗いコンテンツに思えるトレンドですが、100万超えのいいねが集まっているTikTok動画が多数あることからも、多くの「共感」を集めているコンテンツであることは明らかです。重い感情を抱えているのは自分だけじゃないことを思い出させてくれることがcorecoreの魅力であり、社会が求める“ポジティブ”さの反対をいくスタイルです。米国『NBCニュース』では、corecoreに共感するユーザーの声が紹介されています。
関連記事：なんとも言えない感情にさせる「#corecore」って知ってる？（TABI LABO）
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＞＞ ユーザーの共感を集める“美学的ミーム”
＞＞「#dreamcore（ドリームコア）」「#namecore（ネームコア）」
「#dreamcore（ドリームコア）」とは、夢で見たことや訪れたことのあるような場所や、既視感のある場所を再現したような写真や動画のことを言います。美学的なミームの一種として、幻想的な雰囲気やノスタルジックな要素が、TikTokやTumblrなどを中心に多くの若者たちの心を掴んでいます。
また、日本のZ世代の間でも、TikTokのミームとして「#namecore」が話題になっています。Pinterestで、「自分の名前の後にcore（コア）をつけて検索すると、自分の好きな雰囲気の画像が出てくる」といったミームで、実際に検索した人々がコンテンツとして投稿したり、視聴者が「自分の好きな雰囲気だった！」と数多くコメントを残しています。
こうした〇〇コアを始めとした、ユーザーの共感を集める“美学的ミーム”は今後も増加していくのではないでしょうか。
「〇〇コア」3つの注目ポイントまとめ
1. 特定のジャンルをトライブとして総称する「〇〇コア」がZ世代を中心に多用されている
2. ファッションやメイク、ライフスタイルだけでなく、ユーザーの共感を集める“美学的ミーム”としても広がりを見せている
3. 同じ興味関心の集団の一員であると示す「〇〇コア」という括り方が、属しているという認識がなくても一種のコミュニティ的な要素を含んでいる
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