「OMO先進国」の中国を真似するだけでは、意味がない。

2020/09/01
ニュースタ!編集部

NEW STANDARDは、SDGsなどを背景にミレニアルズから生まれた、世界の新しい基準や価値観をまとめたレポート「GLOBAL CREATIVE REPORT」の企業向け販売を行なっています。毎月異なるテーマを届けるなかで、8月は「OMO(Online Merges with Offline)」を特集しました。

新型コロナウイルスの感染拡大により、オンラインを中心とした生活への急速なシフトが起こるなかで、どのようにユーザーに商品・サービスを届けるべきか。同レポートの制作を担当したリサーチャーのYu-shuが、その読みドコロを語ります。

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ミレニアルズやZ世代にとっての
「OMO」とはどういうものか?


OMOとは「Online Merges with Offline」の略語で、元Google ChinaのCEO李開復氏が提唱した考え方です。提供する商品やサービス、人々のライフスタイルにおいてオンラインとオフラインの垣根がなくなり、IoT(Internet of Things:モノのインターネット化)や5Gの普及によりオンラインがオフラインを呑み込んでいくことを指します。

ミレニアルズやZ世代は、オンラインとオフラインの有効的な融合を通じて、よりスムーズで消費者のライフスタイルに溶け込むようなCX(Customer Experience:顧客体験)の提供や、オンラインに蓄積されていく膨大なデータをもとに商品やサービスの改善、彼/彼女らの多種多様な趣味嗜好、価値観に沿うパーソナライズされた体験を求めています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、オンラインを中心とする新しい行動基準が確立されていますが、デジタルネイティブのミレニアルズとZ世代はパンデミック収束後も伝統産業のデジタルトランスフォーメーションを求め続けていくでしょう。


Yushu Yan:8月の「GLOBAL CREATIVE REPORT」では、「OMO」を総力特集しました。オンラインを中心とした生活への急速なシフトが起こるなかで、どのようにオンラインとオフラインを融合させた顧客体験を設計し、ユーザーに商品・サービスを届けるべきか。まずは、その前提となる「OMO」の概念を学ぶことが重要になります。

日本よりOMOが浸透している国は多数ありますが、海外の事例を参考する際には、国による前提の違いにも注目する必要があります。中国はOMOが進んでいると言われていますが、その背景には国土の広さに由来するオンライン決済の浸透があります。その前提を無視して、単にオンラインを軸とした商品販売方法を真似することはあまり効果的ではありません。重要なのは、風土やカルチャー、国民性などを理解して顧客体験を設計することだと思います。

「OMO」はこれからの時代における前提となる考え方であり、スムーズなCXを設計するうえでも重要です。過去の「CX」や「DNVB/D2C」をまとめたレポートと合わせて読んでいただくと、より理解が深まるでしょう。

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[事例:データ×顧客体験]
世界で最も優れた交通データ×
スマート交通「DiDi」

Yushu Yan:2012年に設立された中国の配車サービス「DiDi」は、2018年に大阪を皮切りに日本上陸を果たしました。2019年には5.5億人という膨大なユーザーを抱えた、世界最大の配車サービスとなっています。配車はタクシーだけでなく、Uberのように自家用車で登録している運転手もいるため、サービスの「品質管理」を肝として、自社開発のドライバー評価システムを導入しています。

Uberや従来の配車サービスのように「人」を頼る評価システムではなく、データの活用を徹底しています。評価は、配車依頼する際のドライバーのレスポンスの早さ、顧客をピックアップするまでの時間の早さ、乗車地から目的地まで適切な時間で到着するかどうか、などアプリで取得できるデータに基づいています。さらに、アプリにはGPSがついており、運転中のスピードや急ブレーキなども評価対象とし、ユーザー体験の「品質管理」を実現しています。

ドライバーも評価が上がることによってランクが上がり、収入も上がるので双方にとって満足度の高いサービスを提供できるようになります。DiDiのデータ革命は評価システムだけにとどまりません。1日で数千万にも及ぶユーザーの膨大なデータをもとに「交通大脳」というAI、交通データ、交通システムを使って道路情報を予測、最適化、自動化を行うスマート交通インフラを構築しました。DiDiのスマート交通は中国の20都市に導入され、配車の最適化や道路の渋滞改善などに活用されています。

[事例:伝統産業のDX]
TikTokの生みの親が
オンライン教育に参入

Yushu Yan:新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、中国のオンライン教育市場は急成長し、利用者数が一年で倍増し4.23億人規模に達しました。厳しいロックダウン政策を受け、中国政府は「停課不停学」(学校は止めるが、教育は止めない)」の方針を発表し、多くの企業も応じています。

なかでも、動画プラットフォームは積極的に教育機関と提携したオンライン教育に参入しています。中国版Tik Tok̶抖音(ドウイン)を運営するByteDanceは、同アプリ内での教育コンテンツの配信とライブ配信を開始しました。名門校や有名講師を起用し無償で提供される教育コンテンツは、地理的な制限をなくし地方や農村エリアでも視聴でき、中国の教育格差を軽減することにもつながっています。

4月には幼少時向けAIオンライン教育アプリ「GuaGuaLongシリーズ」をリリース。英語、国語、数学の内容を含めたアニメーションが中心のAIチューターサービスで、子供は毎日15分ほどのインタラクティブレッスンに参加。5分の教育アニメーション動画と練習、宿題が含まれているパッケージです。

英語や国語の発音が間違っている場合でもAIが検出でき、さらに、アプリはWechatとも連動し、リアル教師とのコミュニケーションをとれたり、コースの進捗を確認できたりします。パンデミックによってオンライン教育普及の加速は相性の良い動画プラットフォームにチャンスを与えました。ByteDanceのCEO張一鳴氏は「教育事業にはもっと根本的なイノベーションが必要だ」と述べ、アフターコロナの時代でこそ、オンライン教育サービスは普及していくと考えられます。

「GLOBAL CREATIVE REPORT」は、SDGsなどを背景にミレニアルズから生まれた、世界の新しい基準や価値観を企業向けにまとめたレポートです。
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