NEW STANDARDは、SDGsなどを背景にミレニアルズから生まれた、世界の新しい基準や価値観をまとめたレポート「GLOBAL CREATIVE REPORT」の企業向け販売を行なっています。毎月異なるテーマを届けるなかで、6月は「D2C/DNVB」を特集しました。
デジタルネイティブであるミレニアルズやZ世代をターゲットとし、バーティカル産業に特化してブランドを育む「D2C/DNVB」とは、いかなる特徴をもつのか。同レポートの制作を担当したリサーチャーのYan Yushuが、その読みドコロを語ります。
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ミレニアルズやZ世代にとっての
D2C/DNVBとはなにか?
D2Cとは、自社で企画・製造した商品を、自社の販売チャネルを用いて直接消費者に販売するビジネスモデルのことですが、DNVBとは、Walmartに買収されたアメリカのD2Cブランド「Bonobos」創業者による造語です。デジタルネイティブであるミレニアルズやZ世代を起源として立ち上がったビジネスが、「バーティカル産業に」特化し、「ブランドを育む」ことを通じて新しい価値を生み出すことを指します。
自分たちの信念に基づく消費行動を行う傾向の強いミレニアルズとZ世代はパーパス・ドリブンのD2C/DNVBと強く共鳴し、ブランドを中心とした熱意の高いコミュニティがうまれていきます。
彼/彼女らの高い社会貢献意識や消費主義への疑問といったソーシャルイシューへの関心も、社会課題に対して本気で取り込もうとしているD2C/DNVBを広く支持する理由のひとつ。
また、「コト消費」を好むデジタルネイティブに向けてテーラーメイドされているブランドコミュニケーションは、彼/彼女らの生活のあらゆる側面に浸透しており、商品・サービスを超えて、より濃密なブランド体験が求める世代ともいえます。
つまり、D2C/DNVBの特徴を私なりに解釈すると、以下の3点にまとめられると考えています。
1:パーパス・ドリブンへの共鳴・熱狂
2:社会課題への取り組み
3:テーラーメイドのコミュニケーション
Yan Yushu:6月の「GLOBAL CREATIVE REPORT」は「D2C/DNVB」を総力特集しました。NEW STANDARD社でもセルフコンディショニング・サプリメント「Tune」をローンチするなど、D2C/DNVBに関する取り組みを推進しています。新型コロナウイルスによるパンデミックを経て「ニューノーマル」が叫ばれていますが、D2C/DNVBの形態こそがリテールにおける「ニューノーマル」であり、いまこそ再考の価値があると考え、今回のテーマを選定しました。
D2C/DNVBのブランド群から私たちが学ぶべきなのは、「顧客との関係性」のつくり方です。従来のビジネスと顧客の関係性が、提供者と消費者であることに対し、D2C/DNVBは共にブランドをつくる仲間に変化しています。また、PR施策ではなく、消費者自身がブランドを自分ごと化して広めていくというスタンスであり、ブランド側はその仕組みを整えていることが伺えます。
ペンシルバニア大学ウォートン校教授であり、Warby ParkerやBonobosに投資するエンジェル投資家の側面をもつDavid Bell氏はこれからのブランドの特徴をこう表現しています。彼の言葉こそが、D2C/DNVBの特徴を端的に表していると言えるでしょう。
[事例]
中国における気鋭の国産コスメブランド「完美日記」
D2C/DNVBの事例として紹介したいのが、中国において「国産の光」と呼ばれるコスメブランド「完美日記」です。中国においては国外のコスメブランドが中心で、国産ブランドは10本の指で数えられるくらいしか存在しませんでした。
しかし、2016年創業の「完美日記(Perfect Dairy)」は、18年にT-mall大型セールイベント「双11」にて開始1時間28分で10億円を売り上げた初の化粧品ブランドとなり、19年には国際的なブランドを抑えてT-mall化粧品部門の1位に輝きました。
創立4年で「中国のミレニアルズに人気な国産ブランド」第2位(1位はHuawei)を獲得し、「国産の光」とも言われるようになりました。
中国のミレニアルズ女性がターゲットの「完美日記」は、スキンケアやメイクアップに特化したSNSプラットフォーム「小紅書(RED)」で、芸能人×KOL×KOCという構成で口コミとコミュニティを醸成し、200万近いフォロワーを獲得しています(M·A·Cのフォロワー数は約28万)。
SNSで良質なUGCサイクルを作り上げた一方、よりクローズドなチャネルでの密度の高いコミュニケーションとして、ユーザーは「小完子」と呼ばれるブランドのアンバサダーとWechatで繋がり、購入後も商品の紹介やクーポンなどが定期的に届けられます。
チャネルという観点から、中国のマーケットは日本と大きく異なります。中国はFacebookやTwitterなどのグローバルに浸透しているSNSが使用できない代わりに、ドメスティックなSNSがたくさんあります。それを有効活用したのが、完美日記でした。
チャネル別のコミュニケーションを徹底し、プロダクトをユーザーの生活のあらゆる側面に浸透させるという、顧客とのコミュニケーションをテーラーメイドしたのがその特徴です。
また、完美日記のペルソナである「小完子」は、「化粧好きな友達」のような立ち位置でユーザーとブランドの距離感を絶妙に設計することで信頼性を高め、招待制の「完美研究所」など数千もの関連コミュニティによりユーザーのコミュニティ化も促しています。さらに、ミレニアルズ女性の個性的な商品や、文化や価値観といったコンテキストへの欲求をもとに、幅広い分野のブランドとコラボし、「メトロポリタン美術館×完美日記」など続々と大ヒット商品を生み、化粧品という枠組を超えていくわけです。
「GLOBAL CREATIVE REPORT」は、SDGsなどを背景にミレニアルズから生まれた、世界の新しい基準や価値観を企業向けにまとめたレポートです。
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