2020年代の新しい基準で捉え直す vol.5

2021/02/08
ニュースタ!編集部

2020年代の新しい基準や価値観で従来の価値を捉え直す──。そんなテーマでスタートした本連載。第4回目では、音楽イベントやファッション、ゼロ・ウェイストなどの価値のアップデートを紹介しました。

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国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)策定が採択された2015年から、年を追うごとに世界の方向性を指し示すアジェンダが、日本の社会に、企業やブランドのコミュニケーションを通して私たちの暮らしまで、浸透し始めています。

また、新型コロナウイルスに伴う感染症(COVID-19)によって、私たちが生きる社会は大きな変化を迎えることになります。その世界において重要なのは、いま現在、世界中で生まれている新しい基準や価値観をまずは理解すること。そして、既にある価値を変えようとするのではなく、新しい基準や価値観で従来の価値を捉え直すフレームワークが鍵になると考えています。

今回は映画上映からリトリートまで、2020年代の価値観を紐解いていきます。

すでに多くの人が体感しているかもしれませんが、新型コロナウイルスに伴う感染症の影響で映画上映のあり方が変化しています。10月5日、アメリカで2番目に大きい映画館運営事業者「リーガル・シネマズ」は新作映画の公開がないことを理由に、同国内で運営する536の映画館を閉鎖すると発表しました。これまでは映画館で上映することが当たり前でしたが、現在はNetflixやHulu、Amazon Prime Video、Disney+など、ストリーミング配信サービスが新作を公開する場所となっているのです。

たとえば、ディズニーは『ムーラン』に引き続き、新作『ソウルフル・ワールド』の映画館上映を辞め、Disney+で配信すると発表。ワーナー・ブラザースは、2021年に劇場公開される映画を、同日にHBO Maxでもストリーミング配信すると明らかにしています。

また、Netflixは2020年末に同社の契約者数が2億人を突破したと発表しており、いま、ストリーミング配信サービスが非常に大きな影響力を持っていることがわかるのではないでしょうか。

一方で、自宅では再現できない音響システムのなか大画面で迫力のあるシーンを楽しむ──映画館だからこそ味わえていた体験は、ストリーミング配信が第一の選択肢となることで損なわれてしまう可能性もあります。そもそも、映画館の大画面で上映することを前提とした映画と、自宅の画面でのストリーミング上映を前提とする映画は、その制作プロセスや表現がまったく異なるものになるはず。ストリーミング時代に求められる新しいフォーマットや表現方法、クリエイティビティのあり方というのが、今後考えるべきテーマになりそうです。

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健康についても変化が起きています。心と身体のバランスを整えるウェルビーイングを大切にする考えが浸透し始め、多くの人が日常的に健康を意識するようになってきました。今回の新型コロナウイルスに伴う感染症の拡大によって、人々は「常に健康でいなければならない」あるいは健康を強いられるような状況になりました。日々の検温やちょっとした体調不良で新型コロナウイルスへの感染を疑ってしまったりと、健康を意識するシーンはとても増えました。これまでは健康に対して無自覚であったとしても、これからは自らが積極的に体調を管理していく重要性に気づいてきたわけです。

また、高いパフォーマンスかつウェルビーイングに働き続けるためには単なるハードワークではなく、体調を管理したりコンディショニングを整えたりすることが重要だとNEW STANDARD社は考えています。弊社では2020年4月1日コンディショニングをサポートするサプリメント「Tune」をローンチ。

日々の生活を送るうえでも、高いパフォーマンスを出して働くうえでも「健康」や「コンディショニング」に気を配ることは求められています。食事にこだわることはもちろんのこと、ヘルスケアガジェットや瞑想アプリなど、テクノロジーの力を借りながら個人がスマートに体調を管理する時代がやってくるでしょう。

関連サイト:Tune

欧州を中心として「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の考え方が徐々に浸透し始めており、それまで使い捨てだったものが循環型へとシフトしようとしています。

これまでホテルのアメニティは使い捨てのものが多く、それが環境に負荷をかけていました。しかし、その潮流は変わろうとしています。

2019年、星野リゾートは運営する国内宿泊施設にて個包装ソープ類の提供を廃止しポンプボトルを採用し、年間約49トンのプラスチック容器、約73キロリットルのソープ類の破棄削減につなげると発表しました。

京都のホテル「GOOD NATURE HOTEL」は「使い捨てない社会、循環する社会」を目指し、使い捨てタイプの歯ブラシやヘアブラシ、シェーバーを置かない取り組みを実施しています。

また、「オーガニック竹歯ブラシ」や「竹綿棒」「竹ヘアコーム」などを販売するブランド「MiYO-oragnic-」は、「AS A GIFT, FOR YOUR GUEST」というコンセプトのもとホテル向けにも製品をデザインしており、家に持ち帰って使い続けたくなる気持ちにさせるのが特徴です。

ホテルのアメニティは、サーキュラーエコノミーへのシフトの一例でしかありません。ほかにも「使い捨て」タイプが主流の製品に対して「これを循環型に変えると、どのようなビジネスモデルが考えられるだろう?」という視点を常に持っておくと、日常生活からサステイナビリティを意識する時代において、多くの人に必要とされるプロダクト開発のヒントになるかもしれません。

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働き方と、所属する組織のあり方の関係は、密接に結びついています。今回のパンデミックによりリモートワークが推進されるなか、それを認めない企業は旧来型の価値観をもつ組織という印象を持たれてしまうでしょう。

これまでは狭い価値観でヒエラルキー構造を持つ組織であっても問題視されることは少なかったかもしれませんが、これからの企業は多様な価値観を認めることが求められていくと考えられます。

KDDIや資生堂などは、年功序列を廃止するべくメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への移行を進め、よりオープンな組織をつくろうとしています。富士通は原則在宅勤務とし、新型コロナウイルスと共に生きる「ニューノーマル」の時代に適応しました。ミクシィやソフトバンクは同性パートナーを配偶者と認め福利厚生制度を適用するなど、多様な価値観を認める動きが出てきています。

組織の制度設計以外にも、そこで働く人々の服装も変わり始めています。ナノ・ユニバースは、服装の自由を認められた新たなワークスタイルに適応し、ジャケットと合わせて着ることに特化した「ジャケT」や「フォーマルジャージー」をリリースしました。従来のTシャツはカジュアルという価値観にとらわれず、オフィスシーンで頻繁に着用されるようになったワークウェアとしてのTシャツを受け入れたのです。

異なる価値観を否定するのではなく認める意識を持っておくことは、多様性と包括性が当たり前となる社会で消費者からの支持につながるのではないでしょうか。

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新型コロナウイルスに伴う感染症の影響により、小売店や飲食店を訪れた際にアルコール除菌液での消毒を求められるケースが増えました。ただ、アルコール除菌液は皮膚のうるおいを奪いすぎてしまうことでも知られており、いま多くの人が手荒れや乾燥で悩んでいます。

そんななか、ハチ公前広場にできた待ち合わせスポット「SHIBU HACHI BOX」では、水道のない場所でも手軽に設置が可能な水循環型ポータブル手洗い機「WOSH」が設置されており、膜ろ過・塩素添加・紫外線照射の3段階の水再生処理を搭載し、「WHO」の基準などもクリアした完全に衛生的な水を供給できるようになっています。

また、「WOSH」によれば、アルコール消毒ではなく手洗いを選択することにより、ノロウィルスなど、除菌できないウイルスにも対応できるようになるといいます。循環型の水を使用しているため節水につながっているのも大きな特徴です。

アルコール消毒から、皮膚にも地球にも優しい手洗いへ──水道管いらずでどこでも設置できるポータブル手洗い機によって、外出先での感染症対策のあり方も変わっていくはずです。

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新型コロナウイルスに伴う感染症の拡大により外出自粛が求められ、メンタルヘルスの問題が顕在化してきています。自然と触れるリトリート需要は高まっていますが、緊急事態宣言が発令されているなかでは、移動そのものが難しいです。

しかし、郊外や地方にある自然のなかに長期間滞在することのみがリトリートではありません。心身のウェルビーイングを追求する手段として、最近では「Calm」や「Headspace」などの瞑想アプリもあります。そのほかの代替案として考えられるのが「アイソレーションタンク」です。

完全会員制で住所は非公開となっていますが、都内某所に、塩水に浮かぶ「アイソレーションタンク」、カラーサウンドを浴びる「メディテーションルーム」、そして現代アートのエネルギーを感じる「クリエイティブラウンジ」で構成されるリトリートラウンジ「UNBORN(アンボーン)」がオープンしました。

光も音も遮断されたカプセル装置のなかで塩水に浮かぶ体験は、無重力状態を体験でき、深い瞑想状態に入ることができるといいます。忘我の境地にいたるようなゾーンに入る体験を通じて、自分自身を見つめ直すこともリトリートの一種であり、心身のウェルビーイングを追求するうえでも重要になっていきそうです。

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