いまニュースタンダードが注目するZ世代に関するキーワードを解説していく本連載。第2回でご紹介するニュースタンダードキーワードは「エフォートレス」。Z世代にとって、「映え・完璧・理想・他人から見える自分」から、「自分がいかにリアルでオーセンティックな姿」を演出できるかが、今SNS上で人気者になる鍵として注目を集めてます。その考え方を総称する「エフォートレス」を紐解いていきましょう。
「エフォートレス」とは
エフォートレス(effortless)は、直訳すると「努力を要しない、軽々とやってのける」という意味ですが、主にファッションの世界では「肩肘はらない、がんばり過ぎないファッション」のことを指します。
「エフォートレス」の具体的な事例
>> SNSに見る「エフォートレス」
>> 飾らない投稿の増加
“映え”という言葉を、あまり耳にしなくなった昨今。SNS上では、どのような変化が起きているのでしょうか。
◆ 強めのフィルターや加工修正した写真 →自然光を生かした、ナチュラルな写真へ
◆ 映えを意識した、完璧な写真を投稿→あえてブレた写真や、画質の悪い写真、“カメラを気にしてない風“の写真へ
◆「リアル」より「面白さ」重視で引きの強いサムネとタイトル→「飾り気のない」シンプルなサムネとタイトルへ
現在、エンゲージを集めている投稿の傾向を見てみると、とくにZ世代のあいだでは「飾らない投稿や人柄」に魅力を感じる傾向があります。
しかし、一見「エフォートレス」に見えても、インフルエンサーたちにとっては「リアルっぽい作り物=エフォートレスイリュージョン」なのも現実。魅せ方や内容まで、じつは計算されているのも、とくに欧米のZ世代の傾向だと言えるでしょう。
>> 人気YouTuberに見る「エフォートレス」
>> 登録者数1180万人!「emma chamberlain(エマ・チェンバレン)」
かつては、憧れられるような充実したライフスタイルを送っている姿を演出したVlogなどが人気のコンテンツでした。しかし現在は、視聴者やフォロワーとの間にどれだけ「親密さ」を演出できるかがとても重要だと言われています。アメリカ・カリフォルニア州に住む「emma chamberlain」さんのYouTube動画は、肩肘はらない「エフォートレス」な姿に共感できると、多くのZ世代から人気を集めています。シンプルかつ現実的なサムネイルとタイトルが特徴的で、動画内では、ゲップをしたりグチを吐いたり……(笑)。ありのままの姿を発信しています。
>> 新興プラットフォームに見る「エフォートレス」
>> リアルの共有を楽しむBeReal
新しいSNSプラットフォームからも、「エフォートレス」へのシフトは読み取れます。フランス発“リアルな自分”をシェアするのがコンセプトのSNS「BeReal」が、ヨーロッパを中心に人気を集めています。「BeReal」の特徴である「デュアルカメラ」というスマートフォンの“前面カメラ”と“背面カメラ”を同時に使用して撮影できる機能は、今どこでなにをしているかを偽ることができず、人気のきっかけとなりました。「デュアルカメラ」機能は、TikTok、Instagram、Snapchatの大手SNSアプリにも追加され、プラットフォームサイドがエフォートレスを推奨する流れを感じます。
「エフォートレス」3つの注目ポイントまとめ
1. 飾らない投稿や人柄に、Z世代は魅力を感じる
2. “リアル”をシェアすることで湧きやすい「親近感」が重要に
3.「リアル」と「リアルっぽい」のバランスが大事
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