ミレニアルズのお金に対する価値観の変化

2020/08/03
ニュースタ!編集部

NEW STANDARDは、SDGsなどを背景にミレニアルズから生まれた、世界の新しい基準や価値観をまとめたレポート「GLOBAL CREATIVE REPORT」の企業向け販売を行なっています。毎月異なるテーマをお届けするなかで、7月は「Money」を特集しました。

パンデミックに伴う経済変化や格差拡大が進み、ミレニアルズ・Z世代はいかにしてお金と向き合っているのか。同レポートの制作を担当したリサーチャーのYan Yushuが、その読みドコロを語ります。

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ミレニアルズやZ世代にとっての
Moneyとはなにか?


2008年のリーマンショックを経験し、景気後退期と低迷期に就職活動を始めたミレニアル世代とZ世代は、キャリアの初期において経済の成長をほどんと経験していません。ベビーブーマーやX世代と比べると、実収入が低く資産が少ない一方、高額な学費や医療などが原因で負債の額が高いため、消費・投資・財務管理などの古い体制が残りがちで保守的な金融業界を根本的に変える力を持っています。

景気拡大を特徴とする戦後とは異なり、過去10年間で社会・経済格差の急拡大、危機対応に対して機能不全な政府に対して、若い世代は不信感を募らせています。ブロックチェーンや信用スコアなど、デジタルネイティブとソーシャルネイティブであるミレニアルズとZ世代にとって親和性の高いテクノロジーの登場によって、通貨の社会的意味と支払い手段としての役割は日々変容していくでしょう。

つまり、「世界金融危機・高い負債レベル」「政府・機関への不信感」「通貨の価値・役割の変容」という3つの特徴をもった世代なわけです。


Yan Yushu:7月の「GLOBAL CREATIVE REPORT」は「Money」を総力特集しました。「老後資金2000万円問題」が日本でも話題になりましたが、今回のパンデミックによる世界経済の変化によって、将来への不安は増すばかりです。ミレニアルズと括られる人々の最年長の層はキャリアが10年を超え、Z世代も働き始める年齢となり、長期的なスパンでお金のことを考える人々が増えています。

お金に対する価値観がミレニアルズの消費活動に反映されているからこそ、そこにビジネスのヒントがあります。たとえば、「Affirm」という後払いと分割支払いに特化した決済サービスを提供するスタートアップがあります。
米国ではクレジットカードの審査が厳しく、払い漏れによる罰金も若い世代にはつらく、アルゴリズムで金利を計算をしてくれるシステムは画期的だったわけです。PelotonやCasperなど、ミレニアルズの消費者が中心のDNVB(Digitally Native Vertical Bland)とも提携を結んでおり、その支払いプロセスの設計はCX(Customer Experience)の観点からも見事です。

こう考えると、ミレニアルズのお金に関する価値観を理解することは、以前特集したCXやDNVBとも密接に関連する重要なテーマです。

[事例]
「男女格差の縮小」をテーマとした女性専用の投資アプリが登場

Yan Yushu:今回事例として取り上げるのは、「男女格差の縮小」をテーマとした女性専用の投資アプリ「Ellevest」です。

スキンケア、アクセサリー、美容など女性をターゲットにしている商品やサービスは少なくないですが、投資・資産運用業界においては「男性に主導された、男性のため」のサービスしかいないことに憤りを感じ、ウォール街の重役を歴任してきた数少ない女性のサリー・クロウチェックは、女性専用の資産運用プラットフォーム「Ellevest」を立ち上げました。

Ellevestの調査によると、女性は男性と比べて寿命の長さや所得のピーク、家族の世話にかける時間が異なるにもかかわらず、多くの投資商品・サービスはこのような男女の差を考慮していないため女性が投資ミスを起こしやすく、生涯で得られる平均的な資産が男性より32万ドル(約3400万)も少ないそうです。

そこで、Ellevestは女性が投資・資産運用を楽しめる環境の創出を目指し、収入とライフサイクルを合わせて、女性ならではの経済面の特徴をアルゴリズムに取り込んだサービスを開発しました。例えば、女性は金額よりもお金の用途や目的を中心に投資を検討する傾向があるため、Ellevestの商品は「退職貯金」「子供の教育費」や「家を買う」などのゴールに対した投資プランを提供します。

一般的な投資サービスの場合は、目標金額の半分で投資の再検討をアドバイスしますが、これは70%を下回ると投資調整をアドバイスしてくれます。なぜなら、男性にとっての投資と、女性にとっての投資の意味合いが異なるからです。男性は趣味やゲームの人も多いが、女性は子どもの教育費などに向けた資金集めを目的に行っていることが多いため、慎重な投資サポートと安定したポートフォリオの組み方に注力しているわけです。

さらに、女性は男性よりも投資金額が少ない傾向があるため、安価での当期収益を重視し、頻繁に株を交換する必要のない価値あるファンドを見つけることにも注力しています。また、Impact Portfolioという特殊な投資ポートフォリオは、投資金額の53%を女性主導な企業やファンドに投資し、女性企業家や女性の社会影響力の向上を支援しています。


「GLOBAL CREATIVE REPORT」は、SDGsなどを背景にミレニアルズから生まれた、世界の新しい基準や価値観を企業向けにまとめたレポートです。
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