マキシマリズム(Maximalism)が新たなライフスタイルの潮流へ。ミニマリズムとの関係性は? ──ニュースタンダードキーワード!!

2023/11/19
ニュースタ!編集部

ミレニアルズ及びZ世代に関する調査・研究をおこなう「NEW STANDARD THINK TANK」が、いま注目するZ世代に関するキーワードを解説していく本連載。第17回にご紹介するキーワードは「マキシマリズム」。

ここ10年ほどは、最小限のものに囲まれて暮らす「ミニマリズム/ミニマリスト」が大きなムーブメントとなりましたが、その反動とも言える新たなトレンドとして「マキシマリズム」がZ世代を中心に広がりつつあります。多様性と遊び心を追求するマキシマリズムとは、一体どんなムーブメントなのでしょうか。さっそく注目のニュースタンダードキーワード「マキシマリズム」を紐解いていきましょう。

マキシマリズム」とは

マキシマリズム(Maximalism)は、直訳すると「過剰主義」のこと。ライフスタイルにおいては、好きなモノや大切なモノで囲まれて過ごすことに幸福を感じる概念のことです。 ミニマリズムと比較するとイメージが湧きやすいかもしれません。最小限のものに囲まれて生活するミニマリズムの対極にあるのが、「レス・イズ・モア」ではなく「モア・イズ・モア(=多いほど良い)」をモットーとする「マキシマリズム」なのです。

>> Z世代におけるミニマリズムからの反動
過去10年以上にわたり、Apple製品や無印良品などを代表する「ミニマル」「シンプル」「機能的」といった、無駄を削ぎ落としたデザインが大きなトレンドとなりました。その傾向は今でも続いている一方、Z世代のあいだではミレニアルズのミニマリズム的な思想や表現に対しての反動や、そこから脱却していこうという動きも活発に見受けられるようになりました。

>> マキシマリズムと、自分らしさ
マキシマリズムの台頭には、コロナウイルスによるパンデミックの影響が大きいとも言われています。長期にわたる在宅時間の増大に伴い、Z世代のあいだでは「いかに自宅での生活を充実させるか」という動きが盛り上がりを見せました。自分の部屋には推しや好きなものを増やし、気持ちが明るくなるように派手な要素も取り入れるといった傾向です。マキシマリズムを支持する人たちは、明るいカラーリングや柄物を取り入れ、どんよりとした日常に少しでも活気をもたらそうとする傾向にあります。それは、ショート動画プラットフォームのTikTokやInstagramのリールを見ていても顕著に変化しています。

マキシマリズム」の具体的な事例

>> TikTok「#maximalist」の事例

TikTokで「#maximalist」を検索すると、派手でカラフルな視覚的要素や、独創的なデザインをチェックすることができます。ファッション、インテリアデザイン、アート、メイクアップなど、投稿されているカテゴリも幅広いのが特徴的です。

なかには、「WHICH ONE MINIMALISM or MAXIMALISM?」という質問を投げかけ、ミニマリズムとマキシマリズムのどちらを好むかについての意見を聞くコンテンツもあります。ミニマリズム同様にマキシマリズムが浸透してきていることを示す一例だと言えるでしょう。また、レトロブームやY2K、平成リバイバルなど、どこか懐古主義的なエネルギーを求める動きも、ミニマリズムとは逆行するムーブメントとして注目したい存在です。

@runwaynyc Maximalism ftw #runwaynyc #streetwear #style #fashion #newyork #nyc #minimalism #maximalism #southasian #colors #gotooutfit #neutral #comfortable #loud ♬ original sound – RunwayNYC

>>メルボルンの人気マキシマリスト「Josh&Matt」の事例

@joshandmattdesign What other giant objects would you recommend for our house?! 😄💖 #housetour #interiordesign ♬ original sound – Josh & Matt

人気のマキシマリストとして、オーストラリアのメルボルンに住むカップル「Josh & Matt」が挙げられます。テーブル、ソファ、花瓶、アートポスターなど、個性的な配色でまさに「自分たちの好きなものを詰め込んだ空間」が印象的です。彼らのカラフルな部屋作りやDIYスタイルは、Z世代からも支持を受けています。

>>SHEINの事例

©︎SHEIN

マキシマリズムの根底にあるのは、好きなものに溢れて暮らしたい! という価値観ですが、Z世代やα世代にとって中国発の格安ファッションECサイト「SHEIN」も象徴的な存在のひとつです。トレンドアイテムが手頃な価格で手に入り、所有欲を満たしてくれるサービスだと言えるでしょう。一方で「Z世代のサステイナブルな価値観」に反しているのでは? と感じるかもしれませんが、高価格でなかなか手が出せないエシカルなアイテムだけではなく、手頃な価格で収集できる「SHEIN」が選択肢に入ってくる両面性も、Z世代らしい価値観と言えるのかもしれません。

マキシマリズム」3つの注目ポイントまとめ

1. パンデミック以降、Z世代を中心にエネルギッシュで遊び心が溢れる「マキシマリズム」が台頭
2. マキシマリズムはファッション、インテリアデザイン、アート、メイクアップなどさまざまなカテゴリで表現されている
3. 「減らす」だけではなく、好きなものを「増やす」ことで、自分らしさを大切にする生き方へのシフト

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