ミレニアルズ及びZ世代に関する調査・研究をおこなう「NEW STANDARD THINK TANK」が、いま注目するZ世代に関するキーワードを解説していく本連載。新しい価値(イミ)を象徴するキーワードの意味や事例からZ世代の価値観をわかりやすく解説します。
▶️ 【ニュースタンダード キーワード!!】一覧はこちら
Dry-tripping(ドライトリッピング)とは
Dry-tripping(ドライトリッピング)とは、アルコールを一切摂取せずに旅行を楽しむトレンドを指します。一年の始まりに飲酒を控えるDry January(ドライジャニュアリー)に続き、アルコールとの関係を見直すための新たな流行として注目を集めそうです。
旅行予約サイト「エクスペディア」の調査によると、旅行者の4割以上(41%)が「2024年はデトックス旅をしたい」と考えており、半数(49%)は「アルコールフリーを選択しやすいホテルでの宿泊」に関心を寄せているとのこと。アルコールを避ける旅行スタイルは、Sober Travel(ソバートラベル)、Sober Tourism(ソバーツーリズム)とも呼ばれています。
シラフでの旅行が注目を浴びている理由
Z世代の価値観から生まれた、あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」は、健康志向への高まりから、現在は幅広い世代で定着しつつあります。
その影響は旅行スタイルにも現れ、先のエクスペディアの調査では、休暇中にアルコールを控える主な理由に、4人に1人(26%)が「自制心を保ち、心身ともに良い状態を維持するため」と回答。旅行を二日酔いで台無しにせず、心身をクリアな状態に保って特別な体験を楽しみたいと考えているようです。
コト消費を重視するZ世代の旅行スタイル
BBC Travelによれば、学生の春休み旅行においても Dry-trippingが増加する傾向がみられるとのこと。
Z世代は飲酒への関心の低さに加え、旅行においてモノではなく「体験にお金を使いたい」という考えも持っています。これらを踏まえると、長距離移動や時差ボケで体調を崩しやすくなる旅先で、お酒を飲んで羽目を外すよりも、そこでしかできない特別な体験を存分に味わえるDry-trippingのトレンドは、肉体的・感情的にも、そして経済的にも理にかなっているといえるでしょう。
ノンアル旅の提供に特化した旅行会社の登場
こうした消費者側の変化を受け、アルコールフリーの旅行に特化したイギリスの旅行会社「We Love Lucid」は、アルコールを避けながらも充実した旅行体験を求める人々に向けたさまざまなプランを提供。
同じ志を持つ人々とつながりながら自然の中を冒険するアウトドアアクティビティ中心の企画で、アルコールに頼らない健康的で活動的な旅の選択肢を広げています。
空港やホテルでのノンアルオプションの拡充
旅行業界全体でも、ノンアルコールオプションの提供が拡大。たとえばヒルトンの最新ホテルブランド「テンポ バイ ヒルトン」では、バーの定番メニューにノンアルコールカクテルを加えるなど、宿泊客の多様なニーズに応える対応をとっています。また、日本航空(JAL)は2024年2月から、顧客の要望に応えてラウンジでのアルコールフリーのビール・ワインの提供を開始しました。
各旅行関連企業がノンアルコールオプションを積極的に取り入れることで、アルコールを避けたい旅行者にも満足度の高いサービスの提供が可能になってきています。
Dry-trippingのキーポイント
・Z世代から始まった「Sober」トレンドが全世代へと拡大
・アルコールと距離を置くライフスタイルは次第に旅行業界にも影響
・ウェルネスツーリズムが加速する中、ノンアルコールオプションの拡充が鍵に
What’s NEW STANDARD?
STANDARD:お酒を楽しむことで日常から離れ、旅行を特別なものにする
↓
NEW STANDARD:酔わなくても楽しめる、本物の体験ができる旅をする
***
ミレニアルズ及びZ世代に関する調査・研究をおこなう「NEW STANDARD THINK TANK」による、世界中で今生まれている新しい基準や価値観をまとめた四半期レポートは、以下から無料でダウンロードいただけます。
***