NEW STANDARD THINK TANKでは、Z世代リサーチャーが世界中のミレニアルズやZ世代から生まれる新しい価値観やトレンドを日々収集・分析し、定期レポートとして発信しています!
「若年層のトレンドや消費行動への理解が不十分」と感じる方や、「創造的な手法で若年層市場、特にZ世代にアプローチしたい」という方に向けて、NEW STANDARD THINK TANKの定例ミーティングの様子を大公開。話題の事象についてZ世代のインサイトを堀り下げながら、新しい意味(価値)を共に考えるブレスト会議の様子をぜひ、のぞき見していってください。
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「はじめて」が怖くないことをZ世代に示す、GoogleのTikTokキャンペーン
なるみ・X世代:今日は、皆さんの意見を聞きたくて、私が気になったキャンペーン事例を持ち込みます。まず、あの……Z世代さんって、「失敗したくない世代」と言われるじゃないですか?
ももか・Z世代:まぁ、そうですけど 😂
のん・Z世代:誰だって失敗したくないじゃないですか 🥺
Kenken・M世代:ミレニアル世代も、そりゃ失敗は嫌だけどね 🥹
Z世代が想定外の出来事にストレスを感じやすく、デジタルネイティブらしくクレバーにリスク回避する傾向があることはレポート「Z世代を理解するための16のポイント」でもまとめました。
実は、ショート動画に代表される「タイパ」という概念も、彼らにとって想定外の無駄=リスクを回避しようとする行動だと捉えれば、わかりやすいんですよね。
参照:NEW STANDARD THINK TANK|ミレニアルズ及びZ世代の価値観をまとめた四半期レポート「Quarterly Report 2024<Spring>」を公開(ニュースタ)
なるみ・X世代:まさに!そこで、こちらのGoogle Australiaが実施した、初のTikTokキャンペーン事例を見ていただきたいんです。
参照:Google shows Gen Z that ‘first times’ aren’t scary in new TikTok campaign, via Emotive(Mumbrella)
ももか・Z世代:へぇ〜。「ググる」じゃなくて「トクる」検索行動を持つZ世代の関心を集めるため、GoogleもキャンペーンにTikTokを活用するんですね!
参照:さらに変容する若者の検索行動。キーワードは「タムパ」と「ミーム」?──ニュースタンダードセミナー!!レポート【“TikTok売れ”編】(ニュースタ)
なるみ・X世代:そうなのよ。このGoogle検索アプリの利用を促進するキャンペーンでは、人気TikTokerを起用して、エキサイティングだけれど、ちょっぴり不安な「はじめて」を乗り越える上でGoogleアプリが果たせる役割を、TikTokerたちがコンテンツ化してるの。
のん・Z世代:これ、とってもいい!TikTokerたちの「はじめて」が等身大で共感できる。記事にもあるように、Z世代はこれを広告として見ず、自分を「はじめて」の体験に誘ってくれるコンテンツとして見るはずです。
ももか・Z世代:そうだよね。自分が信頼するインフルエンサーと一緒に、”本物”の「はじめて」を体験し、不安を乗り越えて、その先の喜びや達成を自分のことのように喜べる。これ、素敵なイマーシブ体験です。
参照:イマーシブ(immersive)とは?意味や事例からZ世代の価値観をわかりやすく解説 |ニュースタンダードキーワード!!(ニュースタ)
Kenken・M世代:Googleアプリが、失敗を回避しながら「はじめて」を乗り越えるZ世代のガイドのような役割を果たすことを伝えているのか。それにしても、ローンチ後、数ヶ月で1,330万人リーチとはすごい!
なるみ・X世代:この事例を見て、最近の傾向として、酒・飲料業界、食品業界でも、失敗したくないZ世代に対して「安全な冒険」を提供する事例を目にすることが増えてるなって思ったんですよ。
Z世代は、失敗はしたくないけど、冒険したい!
ももか・Z世代:お酒や食品における「安全な冒険」ですか 😀
のん・Z世代:そういえば、モンデリーズ・インターナショナルの「State of Snacking」レポートによると、消費者はSNSを活用して、目新しいスナックを探しており、10人中6人が、自分自身を新しいスナックを試すのが好きな「スナック冒険家」(snack adventurers)であると認識しているとか。
なるみ・X世代:そうなのよ!Z世代は失敗はしたくないけど、体験価値を重視するし、実ははじめての体験を通じて冒険したいのではないかと。
ももか・Z世代:確かに。失敗はしたくないけど、冒険したいです 😀
のん・Z世代:絶対失敗しない「安全な冒険」、そのコンセプト大賛成 🥹
なるみ・X世代:話題になった「ハイチュウ<そのまんま味>」って、思わず「そのまんま味って何味?」と言いたくなるフックがあって、「ハイチュウ」というブランドへの信頼があるから安全に冒険できる。仮に想定外の味だったとしても、SNSで「話題の商品を試してみた」ってつぶやけばいいから、リスクはゼロ。むしろプラス。
のん・Z世代:確かに!「スナック冒険家」が好みそうな「安全な冒険」ですね。
ももか・Z世代:そういえば、サントリー「鏡月Green」が実施したプロモーション「ロールプレイング居酒屋『あの人の家』」も、そうかもしれない。宅飲みというお酒の失敗につながりやすい場面を、リスクゼロでイマーシブ体験できる「安全な冒険」を提供している事例といえるかもしれませんね。
参照:「ハイチュウ」で初!独自食感をとことん楽しめる香り色味をおさえたシンプルな味わい「ハイチュウ<そのまんま味>」(PR TIMES)
参照:まんま「宅飲み」……個性派店主と語れる、オモシロ居酒屋(TABI LABO)
Kenken・M世代:製品もプロモーションも、「安全な冒険」体験の提供が、失敗したくないけど冒険したいZ世代に刺さっているのか。なるほどな〜。
なるみ・X世代:Z世代が失敗したくないのは、学校や親、そして社会から、絶対失敗しないように育てられてきたからでもあると思うんですよ。ブランドはZ世代との信頼関係を起点に、失敗を許さない同調圧力を軽やかに打ち破る「安全な冒険」を体験として提供することで共感を得ているように思います。
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