“同じ景色”を見るための企業アイデンティティのつくりかた

2019/08/25
ニュースタ!編集部

2019年8月1日、NEW STANDARDは株式会社TABILABOから正式に社名を変更し、コーポレートリブランディングの全貌を公開しています。
第二弾では、コーポレートアイデンティティの重要な要素であるMI(Mind Identity:理念)はどのように生まれたのか?その経緯を、代表の久志尚太郎、TABILABO創業初期から在籍し、今回のリブランディングプロジェクトに関わったアートディレクターの柴田、資本業務提携先の電通から弊社の経営に参画し、本プロジェクトに伴走していただいた浅井さんに聞きました。(聞き手:ニュースタ編集部)

この世界は、もっと広いはずだ

NEW STANDARD社は新たにMIとして、このようなメッセージを掲げています。代表の久志はこの言葉に込めた想いを次のように説明します。

久志:僕たちはTABILABOという社名を掲げていましたが、別に物理的な移動をするべきと言っているわけではないんです。旅というメタファーを用いながら、世界の可能性に気づいてほしい、知的好奇心を刺激され自らの世界を拡げてほしいという想いで事業に取り組んできました。それを改めて言語化したのが、今回のメッセージなんです。

創業当初からずっと大切にしてきた価値観を踏襲しているとも言える今回のMI。それを決める際に重要だったのが、TABILABO時代に採用していたVISION、MISSION、VALUEで構成されるフレームワークを使用しないことでした。その代わりにCI(Corporate Identity)=MI(Mind Identity)+VI(Visual Identity)+BI(Behavior Identity)として構成されるフレームワークを導入しました。

当初はVISION、MISSION、VALUEのフレームワークを使用し、TABILABO時代のものにステートメントを加える形にしようとしていました。「ムーブメント」や「覚醒」、「スタンダード」という言葉は目指すべき姿ではあるけれど、メンバーとの言葉の距離がどうも遠い。なぜ僕たちはムーブメントを起こしたいのか──。それを誰でも理解できるものにするため言葉とプロセスを説明するステートメントを添えました。この過程で久志はCI方式を採る決断をします。

(一番最初に作った原案。TABILABO時代のVISION、MISSIONをアップデートしようとしていた)

(VISION構築のために作成したステートメント。こちらが元になり、現在のMIが生まれている)

久志VISIONは実現したい社会の姿、MISSIONは組織の使命や役割を示す言葉だと思いますが、僕たちの場合は『NEW STANDARD』という社名そのものがVISIONだったんです。ですので、“私たちがNEW STANDARDです”と宣言しているのではありません。VISIONを社名にする最終意思決定をした段階で、このフレームワークに無理やり当てはめようとすることを止めたんです。

また、VISION、MISSION、VALUEのフレームワークのなかにはヴィジュアルを中心としたクリエイティブ、つまりVIが位置づけられていません。しかし、MI、VI、BIに分解されるCIのフレームワークであれば、VIを中心にクリエイティブの価値を経営資源として活かすことができると考えました。

メンバーが
自らの言葉で
語れるMIを

MIの策定には、浅井さんの他に、僕たちの想いと言葉をさらに洗練させ多くの人にエモーショナルに届くものにするために、コピーライターの辻中さんにも参加してもらいました。

久志どのようなメッセージを発信したいか、自分たちのなかにその確固たる想いはありました。しかし、「ムーブメントを生み出し、新しいスタンダードをつくりたい」という言葉だけではイメージが拡がりにくい。僕たちの素直な気持ちや社会に対する想いを削ぎ落とさずに、よりエモーショナルに伝わるものにしたかった。そこで今回、浅井さんに加えて、辻中さんにもプロジェクトに参加していただきました。

久志は浅井さんのことを「弊社の経営に参画してもらう前から僕が話していることを経営、事業、メディア、ものづくりのあらゆるレイヤーでわかってくれた」と語ります。そんな浅井さんは久志の考えをMIに落とし込むべく、仲間探しに奔走します。

浅井スタートアップの一員として、経営者の側に立って考えられるオープンマインドなコピーライターを探しました。辻中にNEW STANDARDの目指す方向性を説明し、「最終的な言葉につながるインスピレーションは、久志さんから直接聞いてください」と伝えました。気をつけたのは、久志さんの想いをなるべくそのまま辻中に伝え、決して翻訳しすぎないことです。

辻中さんの最初の提案で出てきたのは、「この世界は、もっと広いはずだ」と「熱狂の狼煙をあげろ」の2案でした。焚き火合宿をしている弊社のカルチャーを踏襲した上で「火種」や「熱狂」といった言葉を使い、その想いをMIに落とし込んでもらいました。

柴田NEW STANDARDとして大切にしたい想いや、これから事業として目指したい先が一言で表現されていて、驚いたんです。「この世界は、もっと広いはずだ」という言葉が出てきたときに、チームの目線が揃った気がしました。MIが決まり、プロジェクト自体にエンジンがかかったのを覚えています。

久志一発でいいと思ったのは「どのようにムーブメントをつくるべきか」が物語に昇華されていたからなんです。物語になっていれば、自分の世界が広がった経験を具体的にイメージしやすい。想像できれば、メンバーが自らの言葉でMIを語れると思いました。

辻中さんに言葉を選ぶ際に工夫していただいたのは「誰が読んでも同じ理解になる」と、「想像力が掻き立てられやすい」でした。一見、相反するかのように思えるこの2つの要素を両立できたのが今回のMIでした。熱量やぬくもりがある言葉を選んだからこそ、メンバーの行動に結びつきやすい。「私たちは何をするべきか」を明確にするのが重要でした。また、久志が考えていた「ムーブメントが生まれるまでのステップ」を理解し、それに手を加えずに物語に昇華したのもポイントでした。

世界の捉え方が
共鳴し合うことで、
言葉は生まれた

また今回のMIを生み出すための試行錯誤のなかで大事だったのは、役職や立場に縛られずに自由に意見を言い合えたことだと、柴田は振り返ります

柴田コーポレートリブランディングに関わったメンバーを「Our Members」としてウェブサイトに掲載しているんですが、そこに資本業務提携先の名称は入れていないんです。名実共に、NEW STANDARDの一員として取り組んだことを伝えたいから。NEW STANDARDのなかでも様々なレイヤーのメンバーが参加し、フラットに意見を言い合えたのが良かったと思っています。

久志自分と同じ景色が見えているかどうかが、相手への信頼感や、やりやすさにつながります。立場を超えて、そこに集まる人全員が同じ景色を見れたからこそ、納得できるMIを策定できたと思います。バイブスを大切に進めてんたんですが、ぼくは「バイブスとは世界の捉え方が共鳴し合うことを意味する」と思っています。

MIを軸に
VIやBIの策定へ

MIが決まりプロジェクトに携わる全員の目線が揃ってから、VIとBIの策定が同時に走り始めます。MIを考えることは、会社の歩んできた歴史や現在の事業、ひいては会社の未来について考えることでした。

久志「この世界は、もっと広いはずだ」には、さまざまな意味が込められています。今回のリブランディングにおいて、既存の方法論から飛び出し、新しい方法論を生み出そうという姿勢。『TABI LABO』というメディア事業から始まり、メディアや広告の可能性を信じて拡張しようとする姿勢。ひいては、社会や人間の可能性を信じることにもつながっています。このMIは経営、事業、行動指針、クリエイティブなどのさまざまなレイヤーで通用する言葉に昇華されました。クリエイティブの力が経営を未来へ推し進めたんですよね。

CIが企業活動の源泉であり、その企業に関わる全ての人のものであるならば、経営者、社員、クリエイター、関係者全員が同じ景色を見れるように導くものにする必要がある──そんな考えから、MIは現在のクリエイティブに落とし込まれていきました。全ての起点となるMIを、素直な気持ちや社会に対する想いを削ぎ落とさず、よりエモーショナルに伝えるものにすること。様々なレイヤーの人に通用するものに昇華すること。この2つを大切にしながら言葉が紡がれ、今回のMIは誕生したわけです。

※新しいCIはこちらのページからご覧いただけます。

<続編>CIリブランディング記事は随時公開予定!

>>vol.1:全貌<<
メディア企業からムーブメントカンパニーへ。
CI策定の全貌公開!
>>vol.3:BI<<
企業で働くクリエイターをどう評価する?
VALUESと評価制度が連動する組織デザイン

>>vol.4:VI<<
「感覚的に判断させない」NEW STANDARD社、
ビジュアルアイデンティティ刷新のプロセス公開

関連記事:「TABI LABO」に 収まりきらなくなった。 今、リブランディングする理由

私たちは、
新しいスタンダードを
創っていく企業です。
私たちは既成概念の壁を超え、自らが心の底から熱狂できるものを探し続けます。また、熱狂を発信することでムーブメントを起こしこの世界に、新しいスタンダードを創ります。