Boysober(ボーイソバー)とは?意味や事例からZ世代の価値観をわかりやすく解説 | ニュースタンダードキーワード!!

2024/08/15
ニュースタ!編集部

ミレニアルズ及びZ世代に関する調査・研究をおこなう「NEW STANDARD THINK TANK」が、いま注目するZ世代に関するキーワードを解説していく本連載。新しい価値(イミ)を象徴するキーワードの意味や事例からZ世代の価値観をわかりやすく解説します。
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Boysober(ボーイソバー)とは

「Boysober」(ボーイソバー/ボーイソーバー)は、セルフケアの一環として、1年間セックスを含むすべての恋愛(デートやシチュエーションシップ、元恋人、ナンパ、デートアプリなど)を控える決断を指します。自分にとって不健全な人間関係や出会いなどを完全にデトックスし、代わりに自分を大切にすることに集中するトレンドとして注目を集めています。

「Sober」は、しらふである、お酒を飲んでいない、酔っていない状態を意味します。自分の飲酒習慣を見つめ直し、あえて飲まない「Sober Curious」(ソーバーキュリアス)が新たな選択肢として定着するなか、一旦アルコールを断つことで不適切な飲酒習慣を見直すのと同様に、非対等な関係性や交際をやめ、悪いデート習慣を断ち切るという考え方に共感が集まっています。

「ボーイソバー」が若者に支持される理由

「Boysober」(ボーイソバー)は、アメリカのコメディアンであるホープ・ウッダードが提唱したのち、瞬く間にZ世代の間で注目を浴び、欧米、オーストラリア、インドなど多くの国へと拡大。女性の間だけでなく、 性別を問わずに広まっている考え方で、TikTokでは関連動画の再生回数は2500万回にも達しています(2024年7月現在)。

ボーイソバーを実践するZ世代は、「独身でありたい」と思っているわけでも、「セックスやデートをしない方が立派だ」と考えているわけでもないようです。一時的にあらゆる恋愛関係をリセットしてみることで、自分の時間や体の自主性を取り戻し、他者との境界線や、自身が人間関係に求めるものについて見つめ直すことがボーイソバーの目的となっています。

@justhopinalong

The official boysober rules lmk if you had questions or feedback

♬ original sound – Hope Woodard

マッチングアプリと距離を置く若者が増加

若者の間で恋愛断ちが支持される背景には、昨今の「マッチングアプリ疲れ」も。コロナ禍を経て、マッチングアプリの利用が増加したなかで、アプリによって多くの出会いが生まれた一方、いきなり音信不通になる「ghosting」や偽りのプロフィールで騙す「catfishing」、望んでいない関係に発展してしまうなどのトラブルを経験する人も少なくないようです。

2022年のSavantaの調査によると、Z世代の90%以上が出会い系アプリを使うことにフラストレーションを感じていると主張し、Forbesの健康調査では、Z世代の79%が「出会い系アプリで燃え尽きた」と報告しています。アプリを経由したデートの難しさや悩ましさから、恋愛と距離を置く若者が増加していると考えられます。

参照:Gen Z’s dating story: pre and post pandemic trends(Savanta)

参照:Forbes Health Survey: 79% Of Gen Z Report Dating App Burnout(Forbes HEALTH)

Z世代にとって「恋愛やセックス=人生に不可欠」ではない?

そもそも最近のZ世代は、性的な関係に価値を見出す人が少ない傾向にあるようです。UCLAの調査によると、Z世代は映画やテレビ番組について、性的な関係よりもプラトニックな関係を描いた作品を好み、調査対象者の48%が「ほとんどのテレビ番組や映画の筋書きに、性的な内容は必要ない」と答えています。

単にZ世代がセックスを否定しているというわけではなく、ロマンスや性的な関係こそが人間関係の頂点であるという考え方に疑問を抱いているようです。より多様で複雑な人間関係のあり方を重視する彼らにとって、もはや恋愛やセックスは必ずしも重要ではなくなっているといえるでしょう。

参照:UCLA Study: Gen Z Wants Less Sex Onscreen, Prefers Platonic Relationships Depicted to Romantic Rollercoasters(IndieWire)

デートのあり方を再定義するZ世代

また大手出会い系アプリ「QuackQuack」の調査からは、多くのZ世代が自分のペースで慎重に楽しむ恋愛を支持していることがわかります。都市部に住むZ世代の47%が、これまで主流だったクイックなマッチングや出会いではなく、「シマーデーティング」と呼ばれるスローペースのアプローチを好む結果に。 また、過去の恋愛が自分のメンタルヘルスにどう影響を与えたかを振り返り、次の恋愛の準備に時間をかける人が多く、 20~25歳の女性の35%が、恋愛を急ぐよりも心の健康を重視すると答えているそうです。

自分を大切にしながらサステナブルな恋愛を楽しみたいZ世代にとって、自身の恋愛のあり方を見つめ直す「ボーイソバー」の流行は、ある意味必然的なことなのかもしれません。

参照:From Simmer Dating to Blank Canvassing: New Gen Z Dating Trends Revealed(GDI)

Boysober(ボーイソバー)のキーポイント

・ボーイソバーは、自分自身に向き合うためのポジティブなセルフケア

・ロマンス至上主義ではない、よりオーセンティックな人間関係を重視するZ世代

相手と徐々に関係を深めながら、自分のペースで無理なく楽しむ恋愛へ

What’s NEW STANDARD?

「Z世代のデートスタイル」

STANDARD:さまざまな出会いから、理想の相手を見極める
  ↓
NEW STANDARD:信頼できる相手とのサステナブルな関係をじっくり築く

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