キダルト(Kidult)とは?意味や事例からZ世代の価値観をわかりやすく解説 | ニュースタンダードキーワード!!

2025/04/14
ニュースタ!編集部

ミレニアルズ及びZ世代に関する調査・研究をおこなう「NEW STANDARD THINK TANK」が、いま注目するZ世代に関するキーワードを解説していく本連載。新しい価値(イミ)を象徴するキーワードの意味や事例からZ世代の価値観をわかりやすく解説します。
▶️ 【ニュースタンダード キーワード!!】一覧はこちら

キダルト(Kidult)とは?

キダルト(Kidult)とは、「子ども」(Kid)と「大人」(Adult)を組み合わせた造語で、従来子ども向けとされる商品やコンテンツ、趣味を楽しむ大人を指します。

玩具市場では、コロナ禍をきっかけに大人が自分のためにおもちゃを購入するケースが増加し、注目を集めています。日本玩具協会主催の「東京おもちゃショー2024」では、「日本おもちゃ大賞2024」の「ハイターゲット・トイ部門」が「キダルト部門」に名称変更され、日本でもキダルト(Kidult)という概念が認知されるようになりました。

アニメから、漫画、ゲーム、フィギュア、プラモデル、トレーディングカード、キャラクターグッズ、ぬいぐるみまで、かつては「子ども向け」であって「大人らしくない」とみなされてきた趣味や活動はニッチの範疇を超えて、自分らしさを表す趣味や活動として社会的に認められつつあり、子どもと大人の境界線が曖昧になって「大人らしさ」の価値(イミ)そのものが変化しているといえるでしょう。

参照:Kidult(Cambridge Dictionary)
参照:日本おもちゃ大賞2024(東京おもちゃショー2024)

おもちゃ業界から広がるキダルト(Kidult)消費

一般社団法人 日本玩具協会の調査によると、2023年度の日本国内の玩具市場規模は、前年度比107.1%の成長を記録し、初めて1兆円の大台を突破。2019年度以降4年連続で増加し、2年連続で過去最高を更新。さらにカプセル玩具の売り上げも、前年度比5.0%増の640億円と市場拡大が続いています。

2023年度に顕著な成長を見せたのは、カードゲーム、ホビー、ぬいぐるみ、ミニカー、ハイテク系トレンドトイで、少子化の中にあっても、キダルト層やインバウンド層の取り込みが、玩具産業の成長を支える大きな要因となっているといいます。

キダルト(Kidult)の背景には、まず、キャラクター産業の発展や玩具のクオリティの進化、コレクターズアイテム化などによって、玩具が「子ども向け」から世代を超えて楽しめる対象へと変化していることが挙げられるでしょう。

さらに、近年、MZ世代の間では、自身が子ども時代を過ごした平成や2000年代へのノスタルジーが注目を集めています。これは単なる懐古趣味ではなく、社会の不確実性が高まる中で、よりシンプルで人とのつながりを実感できた過去の象徴的なアイテムに癒しや安らぎを見出すものです。ノスタルジー消費は、日常のストレスや社会的プレッシャーから自分を解放するセルフケアとして機能しているのです。

また、SNSの普及によって、これらの活動が個人の趣味を超えて、新たなコミュニティやつながりを生み出し、キダルト(Kidult)現象を加速させているとも考えられます。SNSでゆるく繋がる「界隈」や「推し活」は、個人の価値観を表現したり、自己肯定感を高める重要な手段となっています。

キダルト(Kidult)の概念や価値観は、玩具市場に限らず、美容や食品など業界を超えて広がっていくことが予想されます。

参照:一般社団法人日本玩具協会「2023年国内玩具市場規模調査結果データ」
参照:おもちゃ市場1兆円に 成長支える“キダルト”とは(NHK)
参照:Why kidults are rediscovering the joy of toys(BBC)
参照:2025年、注目すべきMZ世代の文脈キーワードとは?(ニュースタ!)
参照:◯◯コア(-core)とは?(ニュースタ!)

いつでも一緒に。キダルト(Kidult)に寄り添う心のお守り「ぬい活」

Z世代の約8割が、お気に入りのぬいぐるみを持ち歩いたり写真を撮ったりして日常を楽しむ「ぬい活(ぬいぐるみ活動)」を経験しているという調査結果も。コロナ禍では、ぬいぐるみが心の支えとなり、SNSでの「ぬい撮り」が特に人気を集めた。ぬいぐるみは玩具としてだけでなく、癒やしやお守りとして認識されているといいます。

参照記事:Z世代の8割が実践する「ぬい活」とは?推しと過ごす新たな文化(TABI LABO)

「そばかすメイク」で表現するキダルト(Kidult)な美学

多様性を重視し、画一的な美の基準にとらわれないZ世代は、そばかすを隠すべきものではなく、個性を表現するチャームポイントとして捉えています。「そばかすメイク」は、自然体でさりげない印象と、あどけなくヘルシーな魅力を演出することで人気を集めています。

参照記事:ヘルシーな「そばかすメイク」を叶える、時短で失敗しないスタンプ型メイクツール | MZ世代の価値観トレンドレポート【2025年4月号】(ニュースタ)

キダルト(Kidult)も虜にする、Ulta Beautyの子ども向けミニチュアコスメ

Ulta Beautyは、早期から消費者との関係を築くことを目的に、子ども向けのおもちゃコレクション「Mini Brand」を展開。人気の美容製品の精巧なミニチュアレプリカを詰め合わせた、9.99ドルのミステリーボールはオンラインで話題になり、TikTokやYouTubeでは開封動画が人気を集めています。ただし、子どもへの影響を懸念する声も上がっている。

参照記事:6歳児を将来の顧客に。再現性の高いミニュチュアコスメのミステリーボール | MZ世代の価値観トレンドレポート【2025年4月号】(ニュースタ)

カプセルトイでキダルト(Kidult)欲を満たす、話題沸騰のミニチュアコスメ

株式会社バンダイは、人気のメイクアップブランド「マジョリカ マジョルカ」のコスメをミニチュアチャームにした「マジョリカ マジョルカ ミニチュアチャーム」を2024年12月第3週より発売。アイシャドウやチークなど、実際のアイテムを再現した40-55mmのチャームで、バッグなどに付けて楽しむことができる。

カプセルトイはもはや子どもがお小遣いで楽しむものではなく、キダルトをターゲットに進化。カプセルトイ化する美容ブランド数は増えており、レプリカだけでなく本物のコスメも登場も見逃せない。

参照記事:本物じゃない、でもかわいい。再現性の高いミニュチュアコスメのカプセルトイ | MZ世代の価値観トレンドレポート【2025年4月号】(ニュースタ)

キダルト(Kidult)なお菓子、SNSで話題の人気シリーズ!リアルな「ピュレグミ」リング

2002年の誕生から20年以上親しまれる「ピュレグミ」は、大人女子のキダルト(Kidult)心理を見事に捉えている。カンロ株式会社は、バンダイが発売するカプセルトイ「ガシャポン(R)」から「ピュレグミ」を再現した『Ringcolle! ピュレグミ リングコレクション3 きゅっとはじけてver.』を発売。ピュレグミの特徴であるハート型のグミ粒やカラフルなパッケージを再現した、全種類集めたくなるようなかわいらしい仕上がり。

参照記事:ノスタルジーを刺激する、人気のグミをリアルに再現したリングをカプセルトイで販売 | MZ世代の価値観トレンドレポート【2025年3月号】(ニュースタ)

キダルト(Kidult)のキーポイント

・少子化にも関わらず、キダルト層を取り込んで拡大する玩具市場

・大人も推せる玩具の進化と、「大人らしく」より「自分らしく」を認める価値観

・玩具業界を超えた広がりが予想されるキダルト消費

What’s NEW STANDARD?

「玩具」

STANDARD:成長や発達を目的に、子どもの遊び心を刺激して豊かな心を育む

NEW STANDARD:大人の内なる子ども心に寄り添い、喜びや充足感を提供


ニュースレター

毎週配信!新しい価値(イミ)創造のためのTipsや
最新のTHINK TANKレポートをお届けします。 詳しくはコチラ >

このシリーズをもっと読む

NEW STANDARDロゴ

私たちは
ミレニアルズ及びZ世代のスペシャリストとして、
新しい価値(イミ)創造を
“ユーザー起点”でアジャイルに実現する、
ブランドDXカンパニーです。